HAPPY LIFE 18

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そろそろ来るかな?

つくしに携帯をかけてから2時間後、俺の仕事も片付いた。

何食わぬ顔でちらりとドアをうかがう。

まだなんの気配も感じないドアの向こう側。

何してんだ。

俺を待たせるのはお前らぐらいだよな。

不満を打ち消して机の上の書類に最後のサインを記入する。

これで帰れるぞ。

ざわつき出すドアの向こう側。

どうやら来たようだ。

数秒・・・

数十秒・・・

数分・・・

ざわつきは止まったまま微動だにしない。

「何やってんだ!」

いらつきを顔に乗せたままドアを開ける。

駿を抱いたつくしの横には西田。

そのまわりで3人の女性秘書に取り囲まれてしまってる。

「可愛い♪」

「坊ちゃんこちらへ~」

「いえ、私の方に」

三方向から手を出されて見比べるように駿は指をくわえてきょろきょろと首を左右に動かしている。

駿が手を伸ばした相手が西田ってどういう感性してんだ?

俺なら逃げるぞ。

絶対つくしから離れないだろうけど。

「駿は西田さんに慣れてるもんね」

「よくお屋敷に伺ってますからね」

メガネの向こうでまんざらでもないように目を細めてる西田。

どうやら西田の表情を動かす才能が駿にはあるようだ。

「室長に負けるなんて~」

女性秘書のショックは相当なものじゃねえの。

完全に肩をうなだれてる女性3人。

立ち直れるのか?

余計な心配しちまった。

「じーさんと勘違いしてんじゃないの?」

駿を西田から奪うように抱き取る。

「パパと勘違いしてるかもしれませんよ」

真面目な顔のまま冗談いうな。

「そんなわけねぇだろう、なぁ駿」

俺の顔を見て声を出して駿が笑った。

「ほらなぁ」

自信満々の表情を西田に向ける。

「ぎゃーぁ」

突然泣き出す駿。

つくしに手を伸ばして助けを求めてる。

こうなったら母親には勝てねぇよ。

「1分と待ちませんでしたが」

「るせっ!腹でもすいてんじゃねぇのか?」

眉間にしわを寄せて西田を睨む。

「オムツみたい」

つくしがばつの悪そうな顔で駿のお尻に顔を近づけた。

「ちょっと失礼します」

執務室の方へと駿を抱いて足早に歩いて行く。

そっち行っても何もないぞ?

それを追う俺。

俺のデスクの上に駿を寝かせて、服を脱がせにかかっている。

ウソだろう!?

目の前に広がる光景に数回の瞬き。

「いい場所があってよかったね」

そんな問題じゃねえだろう。

そこは俺の仕事をするところだ。

大事な書類も置いてある神聖な場所だぞ。

今までにそれ以外の物を置いたこと・・・あった。

デスクの上につくしを押し倒して殴られた思い出。

余計なこと思い出してしまった。

くるっと丸めてデスクの左横に置かれた使用済の紙オムツ。

笑うしかねぇよな。

匂いだけは残すなよ。

HAPPY LIFEシリーズ 本当に皆様の反応いいですね。

うちの人気シリーズというところでしょうか?

どこまで書き続けられるのか~

拍手コメント御礼

kobuta様

笑ってもらってうれしいです。

またクスッとした笑いを埋める作品をお届けします♪。

リゲル様

言われてみれば今はやりのイケメンにイクメンですね。

もっと奮闘させてみたいですね♪