愛してると言わせたい side story 1

『愛してると言わせたい』

最後までお付き合いありがとうございました。

最近本編が終わってもちょこちょこと短編をUPしています。

なぜかその流れが出来上がりつつあるような。(^_^;)

『まだ見たい』『終わると淋しい』というお言葉に励まされてついつい悪乗り気味に妄想が続いています。

私のつたない作品が受け入れられてるんだと思う、うれしい瞬間でもあります。

もう少し短編にお付き合いをお願いたします。

 *

「大学行かなきゃ・・・」

俺を拒否するようにつぶやいてベットの上でごそごそと手と眼をせわしく動かしてる。

「何してんだ?」

「・・・服がないから」

言いながら染まる頬。

その辺にどっか投げ捨てられてると思うけど。

床に脱ぎ捨てられたまんまの俺のシャツ。

牧野を抱きしめてキスをした瞬間に止まらなくなっていた。

急ぐように牧野の服のボタンをはずして露わになる肌に唇を落とす。

久しぶりに優しく壊れないように抱いた気がする。

あいつとの初めての時みたいに・・・。

自分の脱ぎ捨てた服を見て過ぎ去った時間を思いだして欲情してしまってる。

目の前で隠すように見付けた下着をつけてる牧野。

止めたばかりのブラの金具に指を伸ばす。

次の瞬間に胸元を覆っていた布が緩んで隠れていた胸元がわずかに現れる。

脇の下からわずかに見える膨らみ。

誘われる様に両手を背中から回した。

手の平に包み込む感覚。

「ちょっと・・・何してん・・・」

振り返った顔が目の前で困った様に口をとがらせる。

その口をふさぐように覆い尽くす。

「大学行かなきゃいけないんだから!」

拒むように離れた唇は酸素不足みたいに空気を吸い込んでつぶやいた。

ベットから飛び降りてこれ以上触らせないみたいに下着をつけ直す牧野。

速攻で服を着やがった。

つまんねぇ~。

「司法試験は済んだから暇だって言ってたよな?」

責める様に見つめてる。

「今日はどうしても出なきゃ単位が取れない講義があるの。

昨日友達が教えてくれたんだから」

「友達って誰だよ?」

覚えてなかった友達の存在は昨日確かに聞いている。

「・・・え?誰だ?私、昨日大学行ってた?」

「どうやって道明寺の屋敷に来た・・・の?」

訳がわかんない様な顔で考え込んでしまってる。

「里井さんが迎えに来てて・・・車で・・・」

ぶつぶつ言いながら牧野は頭を抱え込んだ。

事故を起こした後の記憶さっきまでなかったもんな。

思いだすのか?

「キャッ!」

頭を抱え込むように目の前で牧野が身をかがめる。

「トラックにぶつかったんだ!」

スクッと立ち上がって牧野が叫んだ。

「オッ!キャッシュバック!」

「・・・?」

「もしかして・・・フラッシュバックって言いたかった?」

諦めてるみたいな顔で疑問符付けるな。

たいして変わんねえだろう。

「お前は事故に遭って記憶をなくした」

「俺とのことを全部忘れてな」

責める様に牧野に詰め寄る俺。

「全部は忘れてなかったけど・・・」

数歩、後ずさった牧野は背中に壁を背負う。

「どうやって思いだしたんだっけ?」

真っ赤になって黙り込む牧野。

それにニンマリとなる俺はきっと必要以上に牧野をいじめて楽しんでる。

「俺のおかげだよな?」

「・・最低ッ」

感情を隠す様に牧野の頭が俺の胸元に落ち込んだ。