大人になるために 10

成人式のお話もいよいよ10話目。

これで終われるのかッ!

微妙~~~~~

 *

優紀を説得して会場の玄関フロアーにたどりつく。

少しホッと息を吐いた。

が・・・

安心感には今一つたどりついてない思いで入口から目が離せなかった。

感嘆の声は道明寺が車を降りたあたりから大した距離は移動してない様子だ。

「本当に大丈夫?」

優紀の心の半分は西門さんに置いてきたままなのだと思う。

後ろ髪を引かれる思いとい言う気持ちがそのまま一直線に伸びたまんまだもん。

「キャッ!つくし!優紀!」

「久しぶり~」

あっという間に同級生数名の輪があちらこちらにできている。

その固まりが何だか私の所が一番大きい気がした。

「それにしてもつくし、目立ってたわね」

「わかった?」

分かるわよなんて視線が興味ありありで痛い。

私と気がつかれない様に着物の袖で顔を隠しながら降りたはずなのになんの得策にもなってなかった。

「天下のF4が見れるなんてしあわせ」

「実物はやっぱりかっこいい」

「目の保養」

「成人式のいい思い出だ」

勝手に上がる賛美の声。

F4が見れたのが成人式の思い出になるとは思わないんだけど?と首をかしげたくなった。

「ところでなんでそのF4がつくしと一緒なの?」

いい質問とでも言う様に周りの声がぴたりと収まった。

だれだよ~もっ!

その質問!いきなりぶしつけすぎないか?

会場全体の耳が私に向いてるような錯覚。

そのうちの一人が私の恋人で婚約者なんて言ったら、火に油を注ぐ状態で騒ぎが大きくなりそうだよね。

大学の先輩!

それじゃ・・・無理だよな。

真剣に悩んでる私を優紀が正直に言った方がいいんじゃないかという様に私の横を肘で突っついてくる。

それが一番妥当な考えだとは思うんだけど騒がれるのは大学だけで十分なんだ!

「おっ!牧野久しぶり!」

「なあ、この騒ぎいったい何だ?」

「F4を知らないの?」

「アイドル?モデル?なに?」

私が喋る間もなく目の前で繰り広げられる会話。

F4のことを知らないのが不思議な様に皆から説明を受けてる田中君。

「なぁ、このあとのお祝!&同窓会の幹事が俺なんだけど、牧野も来るよな?」

F4なんてほとんど無関心な表情だ。

「同窓会?優紀知ってた?」

コクンと軽く頷く優紀を見ながら行けるわけないよなぁと浮かぶ道明寺の不機嫌な顔。

ブルッと頭を左右に振って追い出しにかかる。

「キャー」

「ヤダー!ウソ!」

突然上がる黄色い叫び声。

それは玄関先で上がってる。

パッと広がる人波は映画の十戒の海が左右に分かれて道を作ったシーンを彷彿。

私と道明寺の間にはなんの隔たりもなくなっている。

警備員も成人者以外の入場を阻止することを忘れた様に見いってた。

残りの3人は何やら関係者らしき人と話を付けてる感じだ。

威圧感十分に足音を響かせながら近づいてきたのは爆発秒読み段階の爆弾的不機嫌さを隠しもしない道明寺。

ぴくぴくとこめかみを引きつらせるのはかわいいもんだと思えてくる。

思わず目をつぶってしまってた。

圧迫感に耐えられず開いた時には道明寺のネクタイが鼻の先についていた。

「誰だ、こいつ」

頭のてっぺんから冷や水を浴びせられた様な低い声。

顔を上げるのにもためらいが浮かぶ。

「同級生の田中君」

無言の重圧感と威圧感に私の声も小さくなる。

会場内が暖房から冷房に切り替わってないか?

そんな冷たさが私を包んでいた。

さぁ♪

次も行こう!

って・・・どこへ?

成人式の会場でしょう~~~~~~。

お仕置き部屋じゃないことを祈っております。

拍手コメント返礼

b-moka

司的お仕置き♪

なにがまっているのでしょうか?[emoji:v-398]