大人になるために 9
成人式のお話も9話まで書いてしまいました。
短編の1話で終わらせるつもりがなぜ?
自分でも解からない(^_^;)
お付き合いありがとうございます。
*邪魔でしかない目の前のざわめき。
牧野はあいつのダチとなにやら手を取り合って喜んでいる。
今も一緒に和菓子屋で週に3日はバイトして会ってるんじゃなかったか?
数年来の再会みたいに飛びあがって喜んでる感情って理解できねぇよ。
目の前の牧野がなんだか小さくなっているように見えた。
「なぁ、類、牧野が俺達から離れていないか?」
「俺にもそう見える」
おい!
バカ!
俺から離れるなッ!
人垣は2重3重でかき分けるのも無理な込み具合。
「触るなブス!」
俺の怒鳴り声もざわめきに溶け込んでしまってる。
俺のイラつきも関知しない態度の総二郎とあきら。
今日の相手を物色してんじゃねぇよ。
「どけ!」
俺の半径数メートルがサッと空白地帯を生む。
ざわめきが止まったのはホンの一瞬で目の前に迫る人の波。
数人のSPじゃ何の足しにもなんね。
俺達の周りには見なれたSP。
その周りに打ち寄せる人の波。
小さな会場っことが逆に俺達の存在感を増殖させてるようだ。
逃げ場も確保できない密集度。
女性が7割。
俺の側に牧野が入ればこれ幸いと抱きしめあえる。
その中に牧野を探すが見当たらねぇーーーーッ。
「もしかしてわざと逃げたとか?」
聞き捨てならねぇあきらの声。
クスッと笑みを浮かべる総二郎。
「会場に入ったみたいだよ」
落ち着き払った類の声が耳元に届く。
俺達置いてきぼりか?
上等じゃねぇかぁぁぁぁぁぁ。
「ここで終わるの待つか?」
んな訳ねだろう。
「なあ、この会場どうとでもなるよな?」
「「「はあ?」」」
困惑ぎみ!呆れ気味!のこいつらなんて目じゃねぇ。
俺から離れたことをどう弁明するんだ牧野!
「司、今日は牧野の成人式だからなッ」
俺の腕をとり切羽詰まった表情のあきら。
「大丈夫か?壊すなよ」
いったい俺がなにすると言いたいんだ総二郎。
「ほどほどにね」って、類は落ち着きすぎなんだよ。
「まぁ、お祝いだからな」
言いながら牧野の消えた会場をじっと見つめてた。
拍手コメント返礼
こう様
この後の展開はやっぱりお仕置きでしょうか?
卒業プロム、おっしゃる通り思いだしますねぇ。