第14話 DOUBT!! 13
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「大変そうだね」
講義が終わってに話しかけてきたのはほとんど話したしたこともない顔だけ知ってるかな?という程度の間柄の同級生。
確か学部は違っているはずだ。
ガタガタと席を立つ学生の合間をぬって私の隣に席を下ろした。
「なにが?」
「今でも一人護衛の人付いてるでしょう?」
SPが女性に変わったといっても目つきの鋭きダークグレーのスーツの女性一人に講義中も背中にへばりつかれてる。
大学内は警備も一流だからということで一人の警備の数に減らしてもらってた。
それでも校門までは4人のSPの護衛付き。
ついでに大学の周りは定期的に警察が巡回してるという念の入れよう。
私一人の為に国家機構を動かすのはどうかと思うけど「必要だ」とF4に口をそろえられた。
今の私は首相よりも警護が厳重ではないのだろうかと気も重い。
私に話しかけてきた女性を観察する目つきの神田さん。
ずっと、四六時中トイレの中まで行動を共にする神田さんは合気道2段、柔道3段。
見た感じは到底そうは思えないきゃしゃな体つきでギャップを感じる。
最初の護衛の日に後ろから私に近づいてきた男子学生をひとひねりで神田さんは地面に押し付けた。
神田さんの優秀さは証明済み。
それ以来誰も私には近づいてこない。
この数日で神田さんとはずいぶんと仲よくなっていい関係になってると思う。
25歳の神田さんと話す内容が恋愛の話じゃなくてもっぱら護衛術の伝授というのは情けない。
お前には要らねえだろうと道明寺には言われそうだ。
神田さんは警戒モード全開で女性でも容赦しないとさっきから鋭い視線を向けたままだ。
そこまでの緊迫感があるのだろうか。
怪しい人物には見えないと思うんだけど。
英徳大学の学生だし身元もしっかりしてると思うぞ。
大学の方が安心感はありそうな気がしている。
「前から話しかけたかったんだけどなかなか機会がなくて、最近牧野さん一人でいること多いでしょう」
「だから今なら話しかけられるなんて思ってたの」
そう言ってにっこりとほほ笑んだ。
この状況で笑える人は少ないと思う。
どう言う神経の持ち主だ?
お金持ちのお嬢様特有の世間知らずの典型か?
笑いかけられても心から笑える状況ではない私の笑いはぎこちなくなるのもしょうがない。
私が最近一人でいるのは仲がいい友達を騒ぎに巻きこみたくないという思いがあるからだ。
少なからず私に張り付いている神田さんの影響はあると思うけど。
最近みんなメールでしか話してくれないもんな。
この後の大体の会話はF4と仲いいよね。
このパターンが一般的。
F4との仲介を私に求めてもらっても本当に困るんだ。
「牧野さん法学部だったでしょ?」
「えぇ・・・まあ」
今までにない展開に多少の戸惑いが生まれてた。
「それで相談があって・・・」
「はぁ?」
法学部だからって相談を持ちかけられたのは初めてだ。
今の私に何もできるわけないんだけど。
「法学部の人で知ってる人いなくて・・・」
知ってる人って・・・・・
そこまで知ってる間ガラじゃない。
「弁護士に相談した方がいいんじゃな?」
「誰にも内緒にしたいの、大げさにもしたくないから」
切羽詰まった表情で手を握りしめられた。
もともと人に頼まれると弱いんだよなぁ私。
道明寺の不服そうな顔が浮かぶがその占める割合はどんどん小さくなっていく。
「二人で話せない?」
松川と名乗った女性が神田さんにちらりと視線を送る。
「神田さん、講堂では大丈夫だと思うので席をはずしてもらえません」
「でも・・・」
「大丈夫ですから」
「10分だけですよ」
席を立って講堂を出ていく神田さんを見送った。
講堂の中には私達二人のほかに数名のまばらな人数。
さっきまでざわついていた講堂も静けさを取り戻している。
「この講堂の入り口一つだけじゃないって知ってた?」
「えっ?」
何も言わぬ間に後ろから伸びてきた手に塞がれる口元。
いくつもの手に身体の自由が奪われていく。
だれだッ!
なんだかやばくなってる。
考えようとしても虚ろになって停滞気味の思考回路。
立ちあがって私を見下ろす松川さんの姿が揺れて見えだした。
ど・・・みょ・・じ・・ごめん
そう思いながら徐々に体の力も抜けていった。
お待たせしました。
なかなか他の更新に一生懸命で(^_^;)
けしてこちらのお話を忘れていたわけじゃありません。
さあ!ここからここから!
って、この前から言いながら核心部分まで行きつきません。
ドキドキ、ワクワク、ハラハラのままの展開でごめんなさい~~~~~。
拍手コメント返礼
b-moka様
つくしの性格が事件を招くと言うところで♪
どうなるのかな~この続き(^_^;)
薔薇の花屋様
お待ちいただきありがとうございます。
きたーー♪のコメントがうれしくなってしまいました。