HappyBirthday  3(司 20years)

 *

「ほらこれ、やるよ」

無造作に渡される封筒。

この時期に渡されるどうみても招待状らしき手ごたえ。

大体の見当はつく。

「いらない」

道明寺の胸の前につき返した。

「中身を見ねぇで断ると後悔するぞ」

招待状を受け取らずに渋い顔を見せる。

「道明寺の誕生日パーティーの招待状でしょう?」

「だったらなおさら断らねえだろうがぁ」

気を悪くした不機嫌さを隠そうともしない見慣れた反応。

「あんましいい思い出ないし」

「道明寺が変なこと考えていそうだから嫌だ」

イーッってべろ出してのしかめっ面。

「それ以上見られない顔してどうすんだ」

余計なお世話とそっぽを向く。

「その招待状お袋からだからな」

思わず視線を戻したその先で、断るつもりかと皮肉る笑い。

さすがに将来のことを考えるとここで未来のお姑さんと対立するわけにはいかない。

今のところ波風立てずに無難に過ごしているのだから。

それはやっぱり道明寺の為に少しでも気にいられたいわけで・・・

道明寺よりお母様の相手の方が気苦労が多い。

道明寺の場合もハラハラの気苦労は絶えない。

二人を相手にしてたら私は3日でげっそりとやせ細りそうだ。

結局招待状を鞄の中に入れ込んだ。

「心配するな、俺がしっかりとエスコートするから」

それが一番心配なんだけど。

溜息といっしょに心の中から飛び出す無言の声。

「さー忙しいぞ」

手をすり合わせるような仕草で道明寺はにこやかな声を上げる。

別に道明寺が忙しくなる必要はないはずだ。

「何が忙しいの?」

「普通忙しいのは祝う側で、お祝い受ける道明寺がなんで忙しくなるのよ?」

「俺そんなこと言ったか?」

今さらとぼけても遅いッーの。

「何か企んでないよね?」

「ば・ばか!自分の誕生日に何企むっんだ」

私から視線を外して泳ぐ目つき。

あやしすぎる反応。

グッと背伸びして鼻をつきつけるように顔を近づける。

「絶対何か隠してる」

「何も隠してねって」

口調を荒げて顔をそむける道明寺。

その態度があやしーつーの。

「とにかく当日は俺ンチでめかしこんでやるから朝迎えの車をやる。いいな」

怒ったような態度のままスタスタと歩いて道明寺が小さくなった。

おい!

こら!

今日・・・

久しぶりに会えた大事な時間。

デートする約束・・・

おいていかれた。

いったいなに考えてるのよッ!

バカ野郎ーーーーーッ!

叫びたい相手はどこ行った?

いよいよ次はBirthday♪