HappyBirthday  4(司 20years)

 *

「何考えてるのよッ」

携帯から聞こえる鼓膜が破れそうな怒鳴り声。

牧野のやつ何をそんなに機嫌が悪いんだ。

俺の誕生日の招待状だぞ!

そこまで怒鳴られる必要あるのか?

「耳が痛てぇよ。もっと静かにしゃべれ」

「今日の予定なんだった?」

「予定?」

「あーッ!」

仕事のキャンセルで久しぶりにとれた自由時間。

あいつのだんご屋のバイトも無理に休ませてとりつけた久しぶりのデート。

忘れてた・・・。

誕生パーティーのあるホテルの最上階の部屋をしっかり確保。

当日までばれたらやばい。

「何企んでる?」

なんて核心部分の牧野の言葉。

焦るよな。

今、牧野とデートとしたらやべぇかも。

経験のない妄想的部分だけが以上?異常?に膨らんでしまいそうだ。

顔をまともに保てないかも。

「デートしようって言ったのそっちだからね」

「わりぃ」

「明日が忙しくなりそうだから・・・そう!明日!明日は朝から一緒にいよう」

「・・・・」

無言で返事が返ってこない。

この沈黙やけに長くないか?

「牧野・・・」

「お~い~」

「何よ」

携帯を飛び越して背中越しに聞こえる声。

「追いかけてきたんだけど」

「何企んでるか正直に話さないと許さないからねッ」

ドスを利かせた唸り声を上げている。

牧野に引け目があるからモチベーションが今一つ上がらない俺。

「何も企んでねって」

「ただ、ほら・・・なんだ」

頭の中はどうごまかすかの言葉を必死に探してる。

「この機会に俺とお前の関係しっかりしときたいと思って」

だからもう一つ親密な関係をお願いしたいと企む俺。

言えねぇけど。

「俺達婚約者だろう、お前のことそろそろ紹介したいとかさあるじゃん」

さっきの俺の言葉は牧野にはそう捉えてもいいはずだ。

「騒がれるの嫌なんだけど・・・」

戸惑った表情にほんのりと赤く染まる頬。

「少しずつオープンにしてた方が俺が楽なんだ」

「未だに娘を売り込む親が多くてさ、お前を連れていれば無駄なエネルギー使わなくて済む」

「本当に何もない?」

「お前が嫌がることするわけねえだろう」

その気にさせる必要はあるけどな。

胸の中に包み込むように牧野を抱きしめる。

「・・・じゃ、頑張る」

甘ったるく響く牧野の声。

「おっ!」

頑張るのは俺の割合が多いけどなッ。

何とか誤魔化せた。

そのあとのデート。

なに話したか全然覚えてねぇ。

今度こそ本当にパーティーだ♪

拍手コメント返礼

b-moka

なんとも言えない二人のやりとりを結構いろいろ考えている私は子供に白い目で見られています。

めげません!

でも子供に読まれたら恥ずかしいかも[emoji:v-404]