HappyBirthday  5(司 20years)

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色とりどりの花に飾られた派手やかな会場。

タキシードにイブニングドレスの正装を身にまとった紳士に淑女。

どこが小さなパーティーだ!

去年のパーティーより盛大になってないか?

相変わらずどこかで見たことのある顔がちらほら。

道明寺財閥の力を見せつけられている。

一緒にステージに出ようという道明寺の申し出は丁寧に断った。

つーか逃げたんだけどね。

会場の隅っこにいた私をステージの前まで引っ張りだしたのは残りのF3。

私の後ろに3人が逃げないように張り付いている。

周りから見たら超一流の美男子ホストを引きつれてるようだ。

目立つなという方が無理がある。

道明寺に勝るともおとらない独身お婿さん候補だぞ。

その3人にエスコートされて現れたのが絶世の美女だったらここまで値踏みされる様な視線は感じなくて済むのではないのだろうか?

つま先から頭の先まで舐められる様にみる失礼な視線が増えていくよう。

「どこのお嬢様?」

なんて声が外野から上がりっぱなしだ。

「ただの平社員の娘です!」

なんて大声で言えるほど今の私は気が強くない。

ステージの上の道明寺をこわばる顔に必死で笑顔を作って胸の前で遠慮がちに手を振った。

笑顔の下に引きつる頬。

口角がピクついてるのは・・・

触れ合うほどの肩越しにいる花沢類に西門さんに美作さんのせいだと気がつくのに数秒とかからなかった。

「さわんなッ」そう読みとれる様に動く口元。

叫ばなかったのは横にいる道明寺のお母様が睨みを利かせてるからだ。

「ププッ」

頭の上で我慢できずに吹き出す3つの声。

「わりぃ」

西門さんが口を手で押さえて後ろを向いた。

一通りの挨拶がすんで壇上から話かける相手を無視してずんずんと私たちの元へ道明寺がやってきた。

「返せ」

伸ばした道明寺の腕が私の手首をグッっと掴む。

抱きつかれるのを拒否するように道明寺から引き寄せられる前に自分から歩み寄った。

「誕生日おめでとう」

「おう」

ようやく道明寺の優しい笑顔が見れた。

「相変わらずすごい招待客だよね」

「こんなもんだろう」

会場を見渡しながどうでもいい様な道明寺の口ぶり。

「やっぱっ住む世界が違うよ」

筋肉が緊張しっぱなしで落ち着けない雰囲気。

食べ物も飲み物もスリーランクはUPしていそうだ。

「俺にとっちゃお前のいる世界がおれの住む世界だけど」

「お前は違うの?」

されりと言って覗き込む熱いまなざし。

すぐに返事なんて返せそうもなくて火照る頬。

「俺達のこと忘れんじゃねえよ」

横から美作さんが道明寺の背に乗っかって首を締め付ける。

「バカ!やめろ!苦しいっ」

一気に笑いに包まれた。

「司はさ、牧野にだけ祝ってもらいたかったんだってさ」

花沢類がグラスを私に渡してコツンとグラスを軽く当てて乾杯の仕草。

顔から火が噴きでてきそうだ。

「二人でケーキでも食べるとかすれば、司もよろこぶんじゃねぇ?」

西門さんにそう言われても素直に納得なんて出来るわけない。

誕生日のプレゼント何がいいかって聞いたら、あいつ!

「ほらよくあるだろう、彼氏の誕生日に彼氏の目の前で服脱いで私がプレゼントって抱きつくやつ」

ご褒美待ってる犬見たいな顔で言ったんだからッ。

あれは絶対本気だと身の危険を感じた。

それが頭から離れなくてプレゼントの準備もできなかったんだからッ。

そのことこの人たちに話したら・・・

「司の望み叶えてやれ」って言うに決まってる。

「丁度いいプレゼントじゃん。牧野の好きなタダだろう」と付け足されそう。

心の中を暴露できるはずがない。

「それだけで喜ぶと思う?」

「「「ああ」」」

三人同時に返事を返された。

本当に大丈夫か?

花沢類は別として残りの二人の顔がニンマリとなったのは気のせいだろうか。

不安を打ち消す様にグラスの中の液体を一気に喉に流し込む。

「わーバカ!なに一気飲みすんだ」

道明寺が私からグラスを取り上げて中の臭いをかぐ様に鼻をグラスのふちに近づける。

「・・・・・?」

「大丈夫、それアルコール入ってないから」

ほほ笑む花沢類とホッとした様な道明寺の顔を交互に見つめながらくすぐったい笑いが浮かんできた。

「このパーティー終わったら、一緒に誕生日のお祝いやり直さない?」

腕を掴んで道明寺を見上げる。

考えが止まった様に静止する道明寺。

信じられねぇと言う様に驚いた顔がムニュッと崩れた。

やばいこと言った?

ケーキ食べるだけだからぁぁぁぁぁぁぁ。

通じるか不安になった。

もう一息♪

煽りつつ結果は最初に書いたとおりです(^_^;)