木漏れ日の下で 24
*-From 1 -
夕方過ぎにロスの屋敷に到着。
ここに来るのも1年ぶり。
ゆっくり時間の出来たときにつくしと二人で過ごそうと思っていた場所。
西海岸の明るい日差しとさわやかな風はきっとあいつも気にいるはずだと思っていた。
噴き抜けのエントランス。
部屋に差し込む光は外の明るさを部屋中に集める。
ふわっと軽く風に揺れて温かな空気が揺れて俺を包む。
背中から回された華奢な腕。
いきなり抱きつかれるなんて久しぶりだ。
「どうせなら前から抱きつけ」
振り向いた俺の同じ視線の高さでぶつかる瞳。
姉貴がニコッとほほ笑んだ。
「アーーーッ!なんで姉貴が抱きつくんだ!」
その後ろで「クク」と笑い声を上げるつくし。
その後ろには西田。
表情読めねぇ。
「たまにはいいじゃない」
「昔はあんなにまとわりついて『抱っこ~』ってねだってたのに」
いったいいつの話だ!
ここ十数年抱き付いてた覚えはないぞ。
「早かったわね」
よっぽど会たかったんたんだとつぶやいて姉貴はちらりと視線をつくしに向ける。
「まあな」
姉貴には勝てねえとふてくされ気味に答える。
「西田さん困らせてないよね」
ここにきて俺より西田の心配って・・・
色気ねぇやつ。
昨日の夜の「声を聞いていたい」と言って俺を煽った態度が欲しいんだけど。
「抱きつくとかねぇの?」
「姉貴に抱きつかれてもちっとも嬉しくないんだけど」
鼻先が触れ合うほどに顔を近づけた。
半歩後ろに下がるつくしの身体。
間が広がらに様に半歩つめる俺。
「キャー」
よろけるつくしの腰に手をまわして抱きとめる。
相変わらず危なっかしい。
「落ち着きねぇやつ」
「・・・だってぇ」
すっぽりと俺の腕の中に収まって照れくさそうに頬を染めて膨らむ頬。
頬にそっと当てる唇。
「会いたかった」
耳元にわずかに触れる唇から洩れる音が愛しく響く。
「3日はゆっくりできそうだ」
俺を見つめる瞳がまんまるくなってすぐに喜びと照れくささを一色たんに混ぜ合わせた。
「何したい?」
「まだなにがしたいって思いつかないよ」
胸元に置かれたつくしの腕を俺を抱き締めろというつもりで両肩に導く。
「俺は一日中ベットの中で過ごしたいけど」
「・・・それじゃ、ロスに来てる意味ない・・・」
言葉尻が小さく消え入りそうに細くなる。
完全に俺を否定できない態度が可愛くて、愛しさは膨張するばかり。
あんまり持ちそうもねぇ。
「二人で世界作るの早過ぎなんじゃない?」
姉貴の言葉に反射するようにギョッとなったつくしが俺を突き放した。
「明日にはつくしちゃん返すから、今日までは私に貸してね」
ウインクして牧野を腕の中に囲い込む姉貴。
姉貴の腕の中でドギマギと視線が落ち着かなく動くつくし。
俺・・・
早く来た意味がなくなるじゃねぇか。
「ヤダ」
じろりと威圧的、攻撃的な姉貴の顔が俺を睨む。
この状態で逆らうなと小さいころから刷り込まれてる記憶。
「夜中には返すから、あんたは邪魔しないでよ」
反論できずに押し込まれてしまってた。
deko様の『椿姉様と一緒に着飾ってパーティーなんてのもいいですね』のコメントからお話を考えました。
楽しそうにパーティーに参加する二人。
「邪魔するな」のお姉さまの一言でつくしに近づけない司なんていかがでしょう?
S的気分がふつふつとわき上がってます。
拍手コメント返礼
噴火の影響は降灰だけですが、マスクが欠かせなくなっています。
キックやパンチじゃなくたまに抱きつく意外性♪。
キリ番お待ちしております。