white day side story 4

 *

窓辺にもたれて物思いにふける様にボーッと空を見上げる横顔。

愁いに沈む様に上向きからうつむく様に頭を下げてため息が一つ漏れる。

確かに悩むよな。

俺・・・

気が付くの遅せー。

「妊娠してたら牧野を取り巻く環境一気に変わるだろうね」

「大学は休学だよな」

「弁護士の夢も遠のくぞ」

「司、牧野の前で結婚できるってあんまり喜ぶなよ」

散々あいつらに言われた。

「しかし初めての1回で出来るってすげー 確率」

「俺ら未だにないもんな」

「さすがは司」

「やること早すぎ」

「1発100中?」

あいつらにも喋ったのばれたら西田にしゃべった時より怒りだすの間違いねえだろうけど。

「おい、大丈夫か?」

「あっ・・・道明寺か・・・」

妊娠すると体調変わると聞くし、つわりつーのが始まって気分が悪いとか・・・。

妊娠してる前提で心配する俺。

その俺に対してつまんなそーな生返事。

「道明寺じゃねぇだろう、人が心配してるのにッ」

廊下に響く俺の声にビクッとなった学生が蜘蛛の子を散らす様にその場から消えた。

人の多い校内で俺と牧野、二人っきりの空間ができる。

「あれからさ、いろいろ考えたんだけど・・・・・」

「出来てたらどうしようって考えるのは止めたから」

俺を見つめる瞳は意思の強さをあらわす様にしっかりとした輝きを放って優しい色を湛える。

「まだはっきりしたわけじゃないし、そうなってから考えても遅くないしね」

付け加えられた台詞は俺を飛び越して別な次元へと飛んでいって、耳に入らない。

「牧野ぉぉぉぉぉぉ」

牧野をガシッと抱きしめた。

久しぶりの抱擁。

こいつの頭ん中、腹の中でも赤ん坊が成長して俺との結婚考えてんだろうな。

そう思ったらとてつもないうれしい感情が沸き起こる。

もうそこに子供が生まれた様な喜び。

「えっ?」

「おぉぉぉぉぉーっ」

「いきなり抱きつかないでよ」

俺を遠ざける様に両腕を牧野が突っ張る。

「結婚しよう」

「はぁ?」

「結婚が早まっても問題ないだろう?」

「ど・どうみょうじ!」

「人の話を聞いてないでしょう!?」

「はっきりしてから考えよう。それからっでも遅くないんだから」

「はっきりしたら、結婚すんだよな」

「・・・まあ・・・それは・・・そうだけど・・・」

頭の中で鳴り響くウエディングベル。

牧野と腕組んで歩くヴァージンロード。

妊婦でもヴァージンロードでいいんだよな?

「それだけ聞ければいい」

6月の結婚式なんていいんじゃねぇ。

想像して頬が緩む。

あいつらに忠告されても、最終的に行きつくのは結婚の2文字には変わりはない。

「あっ・・・ちょっとごめん、トイレ・・・」

顔色変えて牧野がトイレに向かう。

「道明寺、始まったよーーーーー」

さっき俺に抱きつかれ怒ったやつが俺の首に飛びついて抱きついた。

その拍子で牧野に抱きつかれたまま尻もちをついて倒れ込む俺。

「やー今回はドキドキだったな」

明るくはじけた声。

始まったって・・・

あれのことだよな?

妊娠してないってことは、結婚は?

遠のく・・・。

さっきまでの夢。

どーすんだよーーーーーッ。

立ち上がる気力ゼロ。

「もう、これからはちゃんとしてくれないとダメだからね」

耳元に囁やいて牧野が照れくさそうにほほ笑む。

それって・・・

次OKってことだよな。

俺の方の心臓がドキドキと言い出した。

単純だ。

この辺でお開き~

えっ?まだホワイトデーまで行ってない?

や~本編でお楽しみということで♪ ← 本当か?