HAPPY LIFE 25

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抜ける様な青空にふんわりと霞むような春の雲が一つ浮かぶ。

ゆるやかに流れる風に吹かれて舞い落ちるひとひらの淡いピンクの花びら。

それを受け止める様にそっと手のひらを伸ばした。

「それ食うのか?」

手の中をのぞき込む様に首を伸ばした横顔は今にも頬に触れそうだ。

未だにドキッとする整い過ぎた横顔。

きっと何年たっても慣れそうもない。

漏れる息に花弁が手のひらから舞い上がって足元に落ちた。

茶色の土色を隠す様に散り落ちた桜の花びらの中の一つに混ざり合って花びらは姿を隠す。

今年の桜も次の日曜日まではすべて散ってしまいそうだ。

「誰が食べるのよ」

「俺じゃないことは確かだ」

顎を上にわずかに動かして示す先。

よちよちと今にもこけそうな足の運びで頭のはるか上から散り落ちてくる桜の花びらを駿が追いかけている。

小さい指さきを曲げてつかみ取ったと思った花弁は小さな手を通り越して地面へと落ちた。

「ギャー、食べないのッ」

ゆっくりと腰を落として指先で掴んだ花弁。

そのまま口元へと運ばれる右手。

口の中に入り込むギリギリのところで駿を抱きあげた。

「危なかった」

ため息つく私の横で司はげらげらと笑い声を上げる。

「もっとおいしいもんあるぞ」

駿の頭に置かれた大きな手の平がくしゃくしゃと黒髪のくせっ毛の中に潜り込む。

「食べ物じゃないからね」

ダメだと顔をしかめた目の前で駿が「キャッ」と声を上げた。

「こいつ、怒られて喜ぶのか?」

「意味ねぇな」

やたらそれにうれしそうな反応を示す司。

喜び過ぎだつーの。

「子供の頃、公園にある桜の木の全部にサクランボが生らないかなって思ってたことあったな」

ソメイヨシノじゃいくら待っても赤い実がなるわけないのにね」

桜を見てきれいとかの感嘆符じゃなくてサクランボ、食べ物につなげるあたりは「やっぱ、お前は喰い気だな」とまた司に笑われそうだ。

「子供の頃ってそんな馬鹿げたこと本気で思うことあるよね」

誤魔化す様に駿をあやす。

「ねぇよ」

「つーか、ほとんどのことは思った時にはかなってたからな」

「つまんねよな、俺の子供時代」

貸せとでもいう様に駿を司が私の腕から抱き取る。

「贅沢だな」

「俺に言わせればお前の方が贅沢だよ」

「いろんな夢見れたろう」

「叶わないほうが多かったけど」

「駿には子供らし夢見せてやりたいよな」

両腕を伸ばして頭の上に高く身体をあげられた駿が御機嫌に笑い声を上げた。

笑いが止まった後にじっと見つめる一点の先。

頭の上の桜の枝に必死で駿が手を伸ばしてる。

「駿のやつ、今はどうしても桜が食べたいらしいぞ」

引きちぎる様に動いた手の中には無残な原形をとどめてない花弁が一枚しっかりと握られていた。

昨日は愚痴へのお付き合いありがとうございました。

今は復活してます。

コメントの書き込みは携帯の方に知らせが届く様にしてるのですが、昨日はひっきりなしでした。

気が付くと携帯の電池のメモリが2つほど消失してました。

たくさんのコメントに拍手読みながら涙が止まりませんでした。

今回は温かい皆様のコメントと拍手に感謝をこめて春らしいお話をUPしてみました。

被災に遭われた方が桜の花を眺める頃には復旧が少しでも進んでることを願いつつ。

拍手コメント返礼

sako様

元気でました。

ありがとうございます。

しずか様

お陰さまで皆様から元気をいただきました。

無事復活です。

annie様

ホッコリとしていただきUPして良かったと本当に思います。

コメントに感謝。

りんごじゃむ様

ご心配をおかけしました。

本当に心温まるコメントに元気をもらいました。

この場所を本気で楽しんで下さっている思いがひしひしと伝わってきて、感謝の言葉もありません。

まだまだ頑張れそうです。

しな様

励ましありがとうございます。

人それぞれ必要なものは違うと思います。

こんな時だからこそ気のまぎれるものも必要その場所に少しでもなれたらいい。

そんな思いで更新してみました。

HAPPY LIFEが好きと言ってもらえて私も幸せな気持ちになれます。

マリエ様

ご心配おかけしました。

こちらこそ感謝です。

RICO様

応援メッセージありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

mamin様

ホンワカした気持ちと共感していただくことがなによりもうれしく更新の励みとなります。

ありがとうございます。