HAPPY LIFE 27

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「こら!まて!」

いつもは静かなはずの邸宅で響く元気な声。

わりと乱暴気味に聞こえてくる。

それは奥に足を進めるたびに大きくなる。

声でけーよ。

なにやってんだ?

目の前で繰り広げられる珍事。

思わず「ククッ」と笑いが漏れた。

生まれたまんまの姿で走り回る駿。

それも水滴を撒き散らしながら。

右に左に向きを変えてつくしから逃げ回る。

テーブルの下に潜った。

身長がないから楽勝だよな。

追いついたつくしは膝をテーブルの端にぶつけて動きが止まった。

足をつかまれそうになる手前で二足歩行からハイハイに変わって這いだした駿。

そのままグランドピアノの下に滑り込む。

「もう!許さないからね」

俺の目の前をバスタオルを握りしめたつくしが通り過ぎた。

・・・じゃなくて・・・。

「ドン!」と地響き立てる床。

通りすぎる前で態勢を崩してつくしがこけた。

駿に遊ばれてるようにしか見えねぇーーーッ。

俺の目の前で四つん這い気味に膝をつくつくし。

俺の視線の先にはバスローブがはだけて露わになった下肢。

下着を着けてないからもろ見えで・・・

いい眺めに頬がゆるむ。

どうせなら全部見えるってことにはなんねぇかな。

今さら何に期待してるのか。

馬鹿げてる。

が・・・

やらしい気分になるのもこいつに惚れてるってことの証明だ。

「み・みてないで手伝ってよ」

慌てた様にめくれ上がったバスローブで足を隠す。

怒った声はどもりながらも俺を責める。

今さら恥ずかしがることもないと思いながら赤く色づく頬を見つめて笑いが止まらない。

「見てる方が面白そうだ」

「駿が風邪ひくでしょう!」

お前も風邪ひきそうだけど。

しょうがねぇと俺に体当たり気味にやってきた駿を抱き上げた。

「こら、ママを困らせるな」

お帰りとでもいう様に駿がベタッと顔を胸に押し当ててきた。

片方の手でまだ濡れている髪の毛をなでる。

濡れて直毛になるのも俺譲り。

こんな駿の俺に甘える仕草は最高に俺を幸せな気分にさせる。

可愛くてたまんなくなってそしてまた頬がゆるむ。

「駿、スーツで顔を拭かないの」

つくしがバスタオルで駿をおおいながら俺の腕から駿を取り上げた。

もう少しスキンシップしたい想いがプチっと途切れた。

「最近風呂に入るといつもこれなんだから困っちゃうのよね」

ゴシゴシと手を休めることなく駿をつくしが拭きあげていく。

愚痴も楽しいと言ってるみたいに聞こえてくる。

「誰か手伝いさせればいいだろう、人はいるだろうが」

つーか、タマを筆頭に駿の世話がこの屋敷の使用人の優先順位一位の座に君臨しているはずだ。

お前は俺の世話だけしてればいい。

なんてことも言えるんだけど言ったら「ヤダ」と絶対反発は間違いない。

「駿の世話ぐらい一人で出来るわよ、これが普通なんだし」

着変えの終わった駿を当たり前の様に「ハイ」とつくしが俺に渡す。

「私も着替えてくるから」

「別にそのままでも俺は構わないけど」

「私が構う」

キッと睨んだ顔がそのままクスッと優しく笑った。

歩き出して手のかかる幼児期。

この頃は思うようにならない子育てに悪戦苦闘していました。

ただいま子育て真っ最中の方はきっとバタバタな日々を送っていることだと思います。

今となればいい思い出、笑い話として小説ネタに使わせてもらってます。

こんなエピソードもありますなんてお助けいただけたら喜びますのでよろしく。

つかつくのセレブの子育ては想像の範囲を超えませんけどね。

きっと子供を預けるのに苦労することはないでしょうね。

拍手コメント

けい様

一番乗りありがとうございます。

春休み中もそうそうのお越し感謝。

しずか様

あんでも「いや」の反抗期ありますよね。

うちも苦労させられました。

この頃の子供って何を考えているのか(^_^;)

今となれば子供と笑えるいい思い出です。

あやっち様

はじめまして、拍手コメントありがとうございます。

新婚生活~育児生活はまだ続きます。

あと数話で一旦このカテゴリーを区切って別なカテゴリーで登場させる予定ですのでお楽しみに。