幸せの1歩手前 12

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-From 1 -

ややこしい。

もともとMBAを取得してる道明寺とは比べようがない。

経営的なことは金儲けみたいな気がして私の性格には合わない。

節約なら喜んで協力するんだけど、お金を使うのも持ってる者の務めだという道明寺の理論も分かる。

値段に躊躇することなく消費できる生活にはまだ慣れそうもない。

「弁護士になるのは心強いわ」と結納の席でほほ笑んだお母様。

期待は道明寺の利益になることだ。

道明寺からのプレッシャーよりこっちの方が怖い。

甘いことを言ってられない道明寺総帥の嫁の立場を初めて自覚する。

企業という特定の領域を対象に弁護する予定は考えてなかった。

弱いものを助ける弁護士!

目標だったんだけど・・・。

日本、いや世界の一流企業の道明寺どう考えても弱い方じゃない。

覚えることは山盛りだと岬所長から借りてきた今までの訴訟だという書類の束を目の前にして出るのは溜息。

パラッとめくってちらりと見た文章を見て「徹夜かな」小さく声が漏れた。

デスクの上に覆いかぶさる様な影。

何気に見上げた視線。

「おかえり」

興味なさそうにそのまま目の前の書類に視線を戻す。

「それだけか?」

低めに凄む様な声。

不服そうに不機嫌に響く。

対応を間違えたみたいだと気が付いた。

今、道明寺の相手をのんびりするゆとりがあるはずない。

挽回出来るか?

「今日も遅いんじゃなかったの?」

「お前が行かないんじゃ意味がない」

完全に闘争心に火を付けたみたいな不敵な笑み。

「行かなかったの?」

「西田がキャンセルしてくれてたんだよ」

そのまま西田さん道明寺に仕事させておいてくれてよかったのにッ。

道明寺に見られない様に顔をそむけて心の中で西田さんを恨んだ。

「嫌そうな顔すんじゃねぇよ」

「えっ?」

「別に嫌そうな顔してないけど」

「俺から顔を背けたろううがぁ」

こんな時だけ敏感になるんだからぁぁぁぁぁ。

「今回の仕事のことは道明寺が言ったんだからね。」

気を取り直して少し強めに両目に力を入れた。

「帰ってまで仕事させるつもりはねぇぞ」

「急いでする必要もねぇし、すぐに使えるようになるとは思ってねぇから」

厭味ったらしく言った唇は口角を上げたままフッと笑みを浮かべてる。

「人を能力ないみたいに言わないでよね」

「道明寺の為に頑張ろうって思ったんだから」

「俺の為ならほかにもすることあるだろうが」

ゆっくりと近づいた指先が私の顎先を捉える。

腰を折るようにかがんだ体勢で目の前に迫る精悍な顔立ち。

熱い瞳が惜しげもなく私を見下ろす。

「お前にしかできないこと・・・」

「それだけですぐ天国に行ける」

天国ってーーーッ。

私は地獄か?

そうでもないですけど・・・。

考えなおして火照る頬。

まだ、デスクの上の書類の内容は一行も頭の中に入ってはいない。

今日の徹夜の予定は別な事に置き換わる予感。

お構いなしに戸惑いを持ったままの私を胸の中に押し込められる。

いつまでもこの状況にはなれなくて、溺れそうになる。

「仕事・・・したいんだけど・・・」

流されそうになる気持ちに理性で耐える。

「あとでな」

後で仕事する気力、体力が残ってるはずはない。

あからさまに欲望を押しつけるように道明寺の唇が、指先が熱く身体を責める。

「勘弁」

言った口元を塞がれた。

 

-From 2 -

「久しぶりだって分かってるか?」

「久しぶりって・・・」

唇を離した口元は喘ぐように息を吐く。

「日本に帰ってきてからまだお前を抱いちゃいない」

「そうだっけ?」

虚ろに開いた瞼がようやく俺を捉えた。

「帰ってきてから3日目だよね?」

意識が現実に戻ってきたように胸元に置かれたつくしの指先が俺を拒む様に動いた。

「ジェットの中の1日に帰る前の慌ただしさ、5日ぶりだよ」

「久しぶりってほどでもないと思うけど・・・」

頬は高揚したまま遠慮がちに動く唇。

吸いつきたくなる。

俺にしたらすげ~久しぶりな気がするんだよ。

心の中で舌打ちしたまんまキスを落とす。

息も絶えだえになる様なキス。

夢中になりすぎて息をするのも忘れそうになる。

俺の首にしがみつくように回されたつくしの腕が合図の様に腰を抱く腕に力を込めた。

押し倒したデスクの上。

露わになる白い肌。

触れるたびにはぎ取られる理性。

膝を割って押しつける欲望。

「まって・・・ここじゃヤダ」

躊躇するようにつくしの腕が俺の肩を押しのけた。

数㎝離れた空間ではだけた胸元を慌て隠す様に動いた。

関係ねぇつーか、結構そそるもんあるぞ。

昼間の続きみたいな感覚。

「ここでやったら仕事ができなくなりそうだもん」

それなら好都合ってもんじゃねえのか?

ここでやったらって言葉だけでにやりとしてしまってる。

「かまわねぇよ」

「私が構う」

潤みかかった瞳からこぼれそうになる涙を隠す様にキッと睨まれた。

いつもより感じる色気。

煽られてる場合じゃない。

完全に息を吹き返された。

「ったく、おとなしく素直になれねえのか?」

手のかかるとこにも惚れてんだよな俺。

「キャッ」

俵を担ぐようにつくしの身体を肩に乗せて歩く。

こんな時は部屋が広いのは不自由なものだと感じずにはいられない。

目の前に広がるベットにつくしの体を横たえた。

「これなら文句ねぇよな」

覆いかぶさって見下ろすつくしはまだ困惑気味の表情を見せる。

「観念しろ」

「集中できないかも知れないし・・・ゆっくり後でとか・・・」

「続きは帰ってからて言ったよな?」

「返事してないし・・・」

相変わらず諦め悪い奴。

本気で拒めないのは経験上分かってるつーの。

「バカー、心配すんな。夢中にさせてやるから」

そのまま押し広げた胸元に顔を埋めた。

「もーーーーッ。何もできなかった」

俺の横で膨らむ頬。

指先でツンと突っついた俺を非難するように見つめてる。

「何もできねぇってことはねえだろう」

「そっちじゃないでしょう」

そしてまた頬が膨らんだ。

話を進めるつもりでしたが、もっと甘いの~ということで追加気味にUPして見ました。

お茶をすすりながら甘いものをいただく感じでまとめてみました。

PWのお話はお預けということで(^_^;)。

拍手コメント返礼

すぎすぎ様

余震大変そうですよね。

私の住んでるところは全く被害がないのでその点は安心です。

たりません?

生転がし~。

いや~まいったなぁ~次回は必ず!

b-moka

司が充電できてればいいんですが(^_^;)

モノ足りなかった方が結構多い様で♪

喜んでいいのかしら?