下弦の月が浮かぶ夜28
*「いったい何なのよ!」
まだ納得していない表情。
今は気にもならない。
「あきらはもういいって言ってるんだから、お前が考え込む必要がどこにある」
その不満そうな顔が必要あるのか?
「わざと言わせたって感じなんだもん」
拗ねる様に唇を尖らせる。
「それじゃ聞くがお前は何がしたいわけ?」
「今の状況でお前が出来ることあるのかよ」
「女の扱いであきらが失敗することはないだろうし、逆にお前が首を突っ込むとややこしくなるだけだろうが」
今まで記憶にあるトラブル全部並べてやった。
「そのどれも道明寺が絡んでるけどね」
こいつも口では負けていない。
「私の同窓会の時も勝手に行くなって言いだして嫉妬してめちゃくちゃにした」
・・・っていつの話だよ。
変な爺さん出てきて類の婚約者に仕立てられたことよりはましだろうがぁ。
「人のマネキン作って抱きついてたの誰ッ」
「それは若毛のいたりで、それに抱き付いちゃいない!」
それにあんときはまだ牧野と・・・んな・・・ことやってなかったし・・・。
「若気でしょう!」
「やらしい笑い浮かべるなッ」
「何も思い出してなんかないぞ!」
見合った視線の先で見る間に色ずく頬。
そんな生優しいものじゃない。
怒り心頭の湯気を上げている。
「何を思い出してるのよ」
目の前すれすれで牧野が振りおろした腕を掴んだ。
「いつもやられると思うなよ」
そのまんま両腕で動けない様に拘束する。
「離せ」
「離すわけねえだろう。殴られるのはごめんだ」
自分が思うより落ち着いた気分でゆっくりと声が喉の奥からこぼれる。
「あきらのことは心配するな。気にしてるのはお前だけじゃないから」
ふっと腕の中の牧野の身体のこわばりが抜け落ちていく。
俺に身体を預ける様に重心が胸元に動いた。
「あいつが本当に困っていたら俺も類も総二郎も本気で助ける」
「だから内緒で勝手に行動しようなんて思うな」
「・・・分かったから、離して・・・」
潤みを帯びたまま見上げる黒色の瞳。
離してって言われても離す気にはなれない。
もう少しこのままでいたい。
その気もちのまま抱きしめる腕に力を込める。
鼻先をくすぐる清純な香り。
俺と同じシャンプーというだけで頬がゆるんでくるのはどうしようもない。
待て・・・。
俺、何か忘れてはいないか?
牧野が俺と一緒の理由・・・。
無理やり牧野に飲ませた理由。
『あきらとのことがけりがつくまで俺と一緒に居ること』
決着したら牧野は自宅にご帰宅。
牧野は忘れてる!
んなことねえだろうなぁ。
すっかり忘れてた。
今思い出しただけでもの勲章ものだ。
一緒にベットに入る夜・・・。
いつも押し倒すの俺の方だけどな。
まだ一緒に風呂にもいってくれてねぇしなッ。
朝目覚めて抱きしめられる華奢な体・・・。
牧野が居なくなったら誰が俺を起こすんだ?
じゃんけんして恐る恐る俺のベットに近づく使用人の震える声に起こされる日常の日々。
目覚めが悪くなる。
「つくし様がいると安心です」
牧野に居てくれと切実に思っているのは俺以上に使用人達の方かも知れない。
「もう少し様子を見る必要は有るかもしれないな」
邪な気持ちには勝てずにバカなことを付け足した。
自分でトラブルを引き寄せてないか?
俺、牧野のこと言えねぇーーーーーッ。
久しぶりに自分が何を書いてたか思い出しながらUpしてみました。
相当アホなこと書いてますね。(^_^;)
いいのだろうか・・・。
拍手コメント返礼
けい様
UP早々の拍手ありがとうございます。
私も邪魔ものがいない間のUP~。
週末は辛い。
しずく様
あんなことやこんなこと♪
頭をよぎりすぎると収拾がつかなくなるよと司クンを心配んしてしまいます。
b-moka様
よく思い出したといううか思い出させてと言うか・・・(^_^;)。
つくしチャンのこととなると頭が働く様です。
実は私もこのことすっかり忘れていました。
また最初から読み直して物語を仕立て直しているところです。