甲斐君のつぶやき 3 (抱きしめあえる夜だから)
あ~だ、こ~だと考えながら甲斐君目線のお話の第三段!
いよいよ公平君の登場です。
オリキャラ主役でお話を進めることができるなんてなんて幸せなんだろう。
一つ気が付いたのは玲子さんのキャラを演じられる女優さんて誰なんでしょうか?
天海祐希は年齢が設定より上だしな・・・。
こんなところで頭を悩ませてる場合じゃない!
それでは続きをどうぞ~。
抱きしめあえる夜だから 18の番外編となります。
*勢いよく事務所のドアが開け放たれた。
あれから30分程度の時間の経過しか経ってないことを腕時計で確かめた。
早すぎないか?
逃げてきたかと考察する。
良く逃げられたものだと妙な感心。
逃げる逃げないってどんな夫婦関係だか。
俺に詰め寄る興奮気味の顔。
「甲斐さんのせいですからね」
「道明寺に言われたからって簡単に了承しないでください」
「そうおっしゃいますけど代表に拒否の態度示すのは自殺行為ですから」
代表夫人に敬意をこめて改めた丁寧な口調。
からかいたくなるのはつくしちゃんの人柄の為。
俺のせいじゃない。
「つくしちゃんに任せるのが安全策だ」
横で玲子さんもからかい気味に同意を見せる。
「代表に奥さん、猫にまたたび」
「本社じゃ常識だよ」
楽しげな気分を上乗せする様につぶやいた。
そんな常識知りませんとでも言う様に口をあんぐりしたまま大きな目を見開いて言葉をなくした代表夫人。
感情がそのまま飛び出す反応。
だから面白い。
「そのうち代表の機嫌を損ねるたびに呼び出しがじゃんじゃんつくしちゃんにきちゃうのも時間の問題かもね」
俺の上を行く玲子さん。
それ・・・本気でしょう。
言いたくなった言葉を笑いと一緒に何とか呑み込んで必死で蓋をした。
「ブハハハハハハ」
横から遠慮なく声を上げたのは松岡公平。
その笑い声を非難するように見つめるつくしちゃん。
「相変わらずだな、お前のとこ」
「相変わらずって何よ」
「惚れられてると思ってね」
「俺のつくしに近づくなって強力な威圧ムービー向けられる。命が縮みそう」
「それにつくしが気がつかないからまたすげー目で睨まれる悪循環」
完全にこいつもつくしちゃんんをからかって遊んでるのがわかる。
「公平!勉強に来てるの?それとも私をからかうため?」
「両方とか?」
なんとなく・・・
ただ・・・なんとなく・・・。
感じる二人の関係。
愚痴る様な言い方も信頼しきってる感情がにじんでいる。
それを受け合ってる松岡には優しい表情が浮かぶ。
タダの友達じゃねえだろう。
これ見たら・・・
松岡の側に彼女を置いておきたくない男の気持ちも理解できた。
波が立ち、風が吹いて、うねりが起きても仕方がない代表の気持ち。
つくしちゃんが鈍感な分、性質が悪い。
俺なんて可愛いもんだ。
「もう仕事に戻る」
諦めた様に俺の隣の席に腰を下ろすつくしちゃん。
松岡は無視だと言う様にデスクの上を凝視している。
それがかわいっていうか無邪気って言うかおかしさがこみ上げる。
「思ったより早く解放されたわね」
玲子さんもクスッとした表情で話しかけている。
「あんまりからかわないでください」
ふてくされ気味に膨らむ頬。
「いつもいいもの見せてもらって感謝してるんだけど」
「会社に来る楽しみが一つ増えた感じだよな俺たちには」
玲子さんに追従する俺。
「仕事じゃ統率力、判断力抜群で容赦ない冷血な態度の代表でお偉方の重役も縮みあがると評判の代表なんて
つくしちゃんの側じゃ見たことないもんね」
『仕事以外で発揮さる威圧感はつくしちゃんに向かう虫よけ。
すご~く優しい、いかにも愛してる~って視線。
穏やかな表情はつくしちゃんを見てる時だけ。
これ以上緩まないくらいに緩んでる時もある。』
箇条で玲子さんと交互に並べる代表の今まで知らなかった意外な一面。
「私たちが一番見れるもんな代表の意外性~」
最後のとどめの言葉に「もうわかりましたから終わりにしてくださいッ」
これ以上には無理だろうと言うくらいに赤く染まる頬。
「うらやましい」
玲子さんの声に今にも火を噴きそうだとつくしちゃんの体温が上昇中なのが肌に感じる。
消火できるか?
心配しながら「グフフッ」と声が漏れた。
昼前、1時間借りるからなとつくしちゃんを連れ出す代表を見送った。
この後「つくしちゃん2週間休みだから」と所長に告げらる。
2週間って期間はなんだ?
この事務所につくしちゃんを置いておきたくない理由。
松岡対策とか?
玲子さんと見合わす顔。
「松岡、代表となんかあったのか?」
松岡の首を絞めあげる様に右腕を巻き付けた。