甲斐君のつぶやき 4 (抱きしめあえる夜だから)
甲斐君目線のお話の第四段!
いよいよ甲斐君の対象は公平君へ。
どんなお話が飛び出すのか!
こうご期待!
期待してないって言わないでお付き合いをお願いします。
*これでも場数は踏んでいる・・・と・・・思う。
弁護士としての5年の経歴。
人から話を聞き出すのは商売だ。
司法修習生よりは上だろう。
最初は高をくくってた。
「俺がつくしを好きなの道明寺さん知ってますから」
さすがにこれには俺も驚いた。
最初の意外性で主導権を握る。
その鉄則を先にやられる。
そんなことはお構いなしに俺の横で目を輝かす女性が約一名。
「修羅場はあった?」
さすがは単刀直入型の玲子さん。
もっとオブラートに包む聞き方はないものかといつも驚く?脅かされている。
いつから好きなのかとか・・・。
どうして代表にばれたのかとか・・・。
つくしちゃんは松岡の気持ちを知っているのかとか・・・。
その辺からが落としどころじゃないのだろうか。
まあ・・・。
あのつくしちゃんの態度から予測すると松岡の気持ちは知らないと断言できる。
知っていてあんな態度見せられるはずはない。
鈍感なのは時としては罪だ。
松岡もそれを楽しんでいるから明るく接していられると言うところか。
玲子さんの一言でこれで土俵上での睨みあいは五分五分だ。
玲子さんの瞳は輝きを増している。
こうなると満足するまでしゃべらされるぞ。
こういうことはこの事務所一番に長けている人だからな。
そのままなだれ込むように社員食堂の目だ立たない隅っこの席を三人でぶんどった。
つくしちゃんがいない分俺達を気にする社員は皆無だ。
「知り合ったのは大学だろう?」
おでこを寄せて小さくなる声。
「俺、つくしが道明寺さんと付き合ってること知らなかったんですよね」
あっけらかんと笑い声を上げる松岡。
「学部が一緒なんで顔は知ってたんです」
それは聞かなくてもわかる内容だ。
「三年の時に専攻が一緒でよく一緒に講義を受けるようになったんですか、可愛い子なのに全然男が声かけないっていうか、近寄らないから不思議だと思ってたんですけどね」
懐かしいがってる温和な顔を松岡が浮かべる。
こいつなりにつくしちゃんへの想いは断ち切っているのだろうと分かってホッとした。
未練はないみたいだよな。
あの代表からつくしちゃんを奪おうなんて自殺行為だ。
奪おうと思わなくても声をかけただけで抹殺されそうだもんな。
昔からそうだったのだろうか?
松岡の話じゃ一目置かれていた感じはひしひしと伝わる。
大学の学生の分際じゃ、威圧感に存在感が半端なくある代表には太刀打ちできなかったはずだ。
存在を知っていたらつくしちゃんに近づこうなんて怖くて出来るはずがない。
「同じ法学部の仲間からお前勇気あるなって言われても意味がわかんなんくて、薄情にもつくしの彼氏が道明寺さんだなんて教えてくれなかったんですから」
いい思い出だみたいな表情を松岡が作る。
こいつ・・・大物かもしれない。
「つくしの彼氏が道明寺さんだと気がついても、今さら気持ちはどうにもなんないって感じだったな」
「人を好きになるのって理屈じゃどうにもなんないし、あいつは気がついてくれないし・・・」
淋しそうな表情はすぐに隠れて、「俺も死にたくありませんから」と余裕の笑みを浮かべる。
「つくしちゃんの大学時代ってどうだったの?」
状況を見ながら少しずつ自分のテリトリーの中に誘い込む玲子さん。
この人もさすがだ。
「いろいろ伝説は残ってますね。ほとんどが道明寺さんがらみですけど」
聞きたいですか?
みたいな勿体ぶったやらしい表情をにやりと松岡が浮かべる。
聞きたいに決まってるだろッ!
これは興味本位じゃなく今後の対応の為だと考える理屈。
「ここまで来て教えないないって薄情なことするなよな」
頼み込む心の内を必死で隠して頬に力を入れる。
『教えて下さい~公平君』
心情は情けないけどこれに近い。
内心はもう先輩としての威厳も余裕もなくなってしまってる。
「ブフフッ」
こらえきれなかったみたいに俺の横で吹き出した玲子さんをギョッとなって眺めてしまってた。
ここからどんな武勇伝が始まるのか!?
代表のイメージを崩すことにならなければいのですが・・・(^_^;)
もう十分に甲斐君と玲子さんにはばれてますよね。
「は~あ」とつくしの溜息が聞こえてきそうです。
拍手コメント返礼
annie様
武勇伝♪
恥ずかしいお話になりゃなきゃいいのですが・・・(^_^;)
NAN様
面白いと感想いただき素直に喜んでいます。
甲斐君の苦悩、悶絶編に恋愛編。
陰の主役になれそうですね♪