甲斐君のつぶやき 5 (抱きしめあえる夜だから)

甲斐君目線のお話の第五段!

早くも5話目になりました。

たくさんの拍手とコメントありがとうございます。

外野からの見たつかつくでここまで楽しんでもらえるとはうれしい半面プレッシャーが・・・(^_^;)

2週間だけじゃ勿体ないかもしれませんね。

 *

「俺、大学では道明寺さんと話したことも会ったこともないんですよ」

「噂はいろいろ聞いてましたけど」

勿体ぶった松岡の言い方。

こいつのペースにはまりこんでるのは否定できない。

英徳の陰の支配者F4とか言われていたが全然影じゃなかった。

誰も口を出せない英徳の皇帝。

女性からはアイドル並みの熱い視線。

F4がそろった日にはUPする騒音。

講義にも支障。

見つめながら卒倒した女性の逸話も残される。

話を聞けば聞くほど分かる代表の人気の度合い。

それは会社内の人気度の度合いとも結びついている。

「つくしちゃんよく代表と付き合うこと出来たなぁ」

そこには並大抵でない嫉妬と羨望の渦が渦巻いていたに違いない。

顔が良くて、金持ちで、頭も良くて、人を引きつける魅力は抜群な代表。

比べてみればつくしちゃんはバイトと奨学金で大学を出た苦学生、頭はいいが容姿はそれと言って目立つところはない。

人間としての魅力は俺も認める。

どちらかと言うと好感のもてる素直さが魅力だろうか。

こんなこと思ってるだけで代表にはぶん殴られそうな迫力がある。

「俺が守る」

なんてかっこいいことを言って代表がつくしちゃん守ったとかの話はあるのか?

それこそ女性がのめり込みそうなドラマの展開に期待してる表情を浮かべる玲子さん。

俺の表情をよみ取ったみたいに松岡が話を進める。

「高校の時に道明寺さんをぶん殴ったら気にいられたなんてあっけらかんと話されましたよ」

「あっ最初は赤札貼られていじめられたってことも」

高校時代は手が付けられなくて岬所長も後始末に翻弄させられたと聞いたことがある。

死人が出ないだけが不思議だった傷害事件。

司君の行動が落ちついたのはつくしちゃんのお陰って言っていた岬所長の言葉を思い出す。

それが嘘じゃなかったって裏付けが取れた様な気分。

いじめられて殴って・・・

ふつうそこから好きになるものか?

人の恋愛感情ってかどこから変化するのか分からないという見本みたいな恋?

想像がつかないというのが本心。

あの代表に手をあげられるつくしちゃんを俺は尊敬できる。

つーかやっぱりつくしちゃんもタダものじゃない。

「1度どこがいいの?って聞いてみたら、『道明寺だからいいのかな』って、照れながら答えてくれましたよ」

あれで諦めたみたいな松岡の顔。

こいつもいい奴だ~と思わず抱きしめたい衝動。

途中で止めた。

俺も俺だから好きみたいなこと言われてぇよ。

目の前で言われたら彼女への愛しさを全開で放出してしまいそうだ。

「大学2年の時だったかな・・・」

「道明寺さんが赤ちゃんパッケージのオムツ抱えて講堂に歩いて行くの見かけて似あわねーって思ったのが大学で初めて道明寺さんを俺が見た最初ですよ」

代表がオムツって・・・。

それに大きな縫いぐるみって松岡が思い出した様に噴き出した。

俺も似あわねぇーと思う。

オムツのCMにでも出たら速攻で売り切れそうだけど。

若い母親の受けはよさそうだもんな。

「普通噂になると思いますよね」

「でも誰も見てない!喋るなみたいな雰囲気があって、キツネにつままれた状況が大学全体を包んで誰も話題に上げないんです」

「なぜ道明寺さんがあり得ない様な取り合わせで歩いていたのかは不明のままで不思議に思ったまま卒業した学生もいたはずです」

「つくしと仲よくなってそのこと聞いてみたら、妊娠したって勘違いされたって相当つくし怒って話してくれました」

あれはきっと目撃した内容をばらすなって大学中が脅しをかけられたんだと思うって笑みを浮かべながら話せる内容じゃないはずだ。

学生時代からそこまでの権限を持つ人物はニ度と現れないと俺は思う。

つくしちゃんが妊娠したらオムツを抱えてる代表が目撃できるのだろうか?

それはそれで面白そうだが、怖いよなぁ。

「つくしと一緒に大学でよく一緒にいる様になったのは3年からであのころは道明寺さんもほとんど大学に来ることもなくて、俺はあの人に睨まれることなく大学生活は過ごせたわけです」

単に運が良かったとでも言いたげな口調

「どこでお前のこと代表は知ったんだよ」

今までのは序論だと言う様に強めに催促をする。

「修習所で初めて睨みあいました」

相変わらずの軽めの声。

そこからが何だか面白そうだと身を乗り出してしまってた。

妊娠騒動のお話は『第8話 From one's heart』を参照でよろしくお願いします。