秘書西田の坊ちゃん観察日記 24(Fools Rush In )
この物語は Fools Rush In 5 のside storyとなります。
*「心臓が二つだと」
道明寺本社ビル最上階。
必要以上に広い無駄なスペースで向かい合う私と代表。
「代表の心臓がですか?」
そんな訳はないと知っていながら言葉を返す。
じろりと睨み返す様なまなざし。
なんとなく冷たい空気が流れた。
デスクに置かれた英字新聞も読む気にならないと言う様に代表はそっぽを向いたまま座った椅子がクルッと反回転して私に背を向けた。
「双子だそうでおめでとうございます」
「なぁ、西田」
私の声をスルーしてわずかなため息が交る声。
「ハイ」
「心臓が二つ動いてたって言われてそれが双子の説明なんだと分かんねぇと思わないか?」
「はい?」
代表はなにを言いたいのか・・・・。
なにを言ってるのか・・・。
確認するように記憶した言葉の意味を頭の中で繰り返す。
妊娠の確実な妻から言われたらどんな夫でも気がつくはずかと・・・。
思った思考が思わず止まる。
さっきの私が言ったジョークをそのままに返したとか?
坊ちゃんなら・・・
有り得る。
「お腹の子にな心臓が二つあると思わないか?」
それは私に同意を求める様な強要するような強い視線。
さすがに自分に心臓が二つあるとは思わないですよねと安堵のため息。
坊ちゃんの心臓は熱い鉄の壁に覆われてるところに鎮座してる。
そうでなければ人に聞くにはあまりに恥ずかしい勘違い。
羞恥心なんて坊ちゃんにはありませんでした。
と・・・納得してしまう勤続30年の歴史。
どこをどう聞いたら人間が二つ心臓を持ってると思うのか。
腎臓なら分かりますけどね。
「それで・・・なんと答えられたのですか?」
「一つのもんが二つなら問題ないと思ったんだが・・・」
「応える前に百面相とか変な事考えてる?とかあいつに言われた」
つくし様の方が代表の反応を理解されているようだ。
「その後に二人いるみたい、双子だってって俺に教えるんだぞ」
「回りくどい言い方しやがって」
つぶやく声はわずかに震えて喜びをもらしてる。
相変わらず素直じゃないが・・・
それも坊っちゃんらしい。
「勘違いした俺に、あいつーーーッ」
「ごめん、あなたは普通じゃなかっただと」
なかなか要を得た答えだと感心。
つくし様の呆れた様な顔がそのまま明るく笑顔を作るのが見えた気がした。
突拍子な思いつきの坊ちゃんをそのまま受け入れるつくし様。
これだからお二人はうまくいくのでしょう。
だが・・・
さすがにこの勘違いは群を抜く。
お子様が大きくなったら聞かせてあげたい勘違い。
「すいません」
笑いを押し殺すために慌てて代表に背中を向けていた。
「肩震えてるぞ」
不機嫌そうな声が後ろから響いてきた。
こう様の『二つの心臓の話をしたらどうなる?西田さんに同意を求めて『坊っちゃん…』と肩で笑われるパターン』このコメントで想像した場面を久しぶりに西田さん日記でUPしてみました。
こう様、こんな感じの西田さんはどうでしょうか?
やっぱりどうあがいても爆笑ものですよね。
拍手コメント返礼
お久しぶりです♪
こちらの西田さん日記も久し振りで♪
書きたいと思いつつ流してしまってました。
そろそろ梅雨に入りそうな気配。
お互いに体調に気をつけて過ごしましょうね。