Fools Rush In 9

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妊娠6カ月目に突入。

駿がいた時の8カ月くらいのお腹はしてるとお腹を撫でながら思う。

「ウォーッ、もう生まれるんじゃねえのか?」

2週間ぶりに出張先から帰ってきた司の第一声。

2週間でそんなに大きくなっか?

お腹は大きくても胎児は成長過程で機能も未発達だ。

今生まれては問題がある。

後、最低2カ月はお腹の中にいてもらわなきゃ困る。

それよりもさすがに6カ月からこのお腹はきつい。

仕事も休みに入ったが、一人と二人じゃお腹の中の胎動が違うと気がついた。

真ん中でグルッと動いてた駿。

左右にしっかり定位置を確保してる双子達。

片方が動きを止めたと思ったらもう片方が動き出す。

いつもお腹がグルグルいっている感じだ。

寝ていても上向きにしか寝れない体勢。

横を向くと下の子供に上の子が乗っかるから胎動が激しくなると言うことが最近分かった。

やっぱ狭いよね。

このお腹に二人だもん。

産まれたら無駄に広い部屋ばかりだからゆったりできるぞ。

「大丈夫なのか?」

生まれると思ってまだ心配そうな表情を見せる司。

「大丈夫だって」

「でも駿の時はこんくらいで生まれただろう?」

「休み取らなくてもいいか?」

西田に連絡するって携帯を握りしめる司から慌てて携帯をとり上げた。

「まだ生まれたら困るの」

「それこそ生まれそうになったら入院しなきゃいけなくなる」

「とにかく今回は帝王切開になるだろうから生まれる日も決まってるの」

「帝王?・・・節介?」

「俺がお節介?俺が生ませるなんて出来ないぞ!」

なに訳の分かんないこと言ってるのか・・・。

「あのね、手術であかちゃんをとりだす方が安全なんだって説明受けてるの」

「手術!?」

「腹切るのか?」

「そうなるね」

「痛いぞ」

手術の経験はないから分かんないけど出産の痛みを考えたら我慢できないものはないと思う。

司の顔が痛そうな表情を見せる。

「今からそんな顔しないでよね」

でもその心がうれしい。

「心配になってきた」

「えっ?」

「駿の時は無事に生まれるかってそればかり考えていたけど、今度はお前の体にメス入れるんだよな?」

「自分が切られるより痛い気がする」

考え込む表情に変わった。

だからって・・・

なにを考えてる?

まさか自分が代わる!なんてことは無理だ。

最高の病院と医者を手配するとか?

この辺が妥当?

「駿の時より多めに休みをとる!」

「えっ?」

「いい考えだろう」

・・・って、今度は出産の日も決まってるからその日だけ休めればいい訳で・・・。

駿の時は初めての事で心細さもあったから、手を握って励ましてくれたのはとてもうれしかった。

今度は手術だから私が陣痛でがんばる必要はない。

ずっとついててやると言われてもその方がつかれそうな気がするんですけど・・・・。

「あのさ、生まれてから休んでもらうだけでいいと思うんだけど」

「お前は安心してればいい、俺にすべて任せとけ」

だから、あなたに任せられる事ってないでしょう!

私の不安を察知したようにお腹の中の双子が激しく動いた。

「イッ」

「大丈夫か」

私を抱き寄せるように寄り添う司。

これだから目が放せねェって・・・

もう!

ほんとうにバカなんだからッ。

ほどほどでお願いします。

お腹をさすりながら諦め気味の気分。

なにをやっても私の為だと思ってるんだからしょうがない。

司を見つめながら頬が柔らかく緩んだ。