ごめん それでも愛してる 7

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「今日、1日で1年分のキスをした気がする」

言われて照れたのは俺の方。

差し入れた舌先にぎこちない反応。

キスにも慣れてないのがわかる初々しさ。

これでも手加減した。

俺の方が年下だぞ!って・・・関係ないか。

どう考えても場数を踏んでるのは俺の方だ。

葵のデスクを背にしたまま二人で並んでる。

少し動けば触れ合えるのに5センチほどの距離が今の俺達の関係って感じがした。

「今、気になることがあるんだけど?」

「なに?」

俺を見上げて見つめる瞳は相変わらず真面目で遊びがない。

その表情を崩したくなる。

「なんで今までこんなにモテてなかったんだと思ってな」

「モテなかったわけじゃないからね」

「付き合おうと思える人が現れなかっただけで・・・」

俺から目をそらしたまま視線は床に向けられて、声も小さく途切れるように変わった。

「俺とは付き合う気があるんだよな?」

「なきゃ、キスなんて出来ないわよ」

「きっと俺に出会うまで待ってたんだよな」

首を斜め右に向けて葵を見る。

「すごくクサイ」

「他の人が言ったら笑ちゃう」

小さく口角を上げる口元は照れてる様に映る。

「そんなときは、あなたに会うために生まれてきたのって言うもんだ」

「言われたことあるの?」

眉が顔の真中に寄せられた。

「ない」

そこまで夢中になれる女はいなかった。

「お前に会うために生まれてきた」

「よく照れずに言えるね」

そこ笑うとこか?

「すげー傷つく」

ため息をついて肩を落とすフリ。

「ごめん!そんなつもりじゃなくて・・・うれしいから!本当に!」

焦った顔が食い入る様に俺の目の前に迫って・・・

「プッー」

声が我慢出来ずに噴き出した。

「食事でもいこう」

葵の腰に腕をまわして一緒に歩く。

ドアを開けた途端に葵が俺から離れた。

「会社の中じゃ困る」

別に俺は困らない。

「本社の噂じゃ私が押し倒したことになってたんだから」

不満そうな声。

俺もまさか女に押し倒されてることになってるとは思わなかった噂。

「噂はそんなものだろう」

けしてそれが本当じゃない事の方が多いのが噂というものだ。

「今は部下だから・・・」

一気に真面目な鎧が葵の全身を包み込む。

もう・・・

仕事終わったぞ!

今の俺は呆けた顔をしていそうだ。

さっきまでその神聖な仕事場でキスしてたのは誰だ!

そのあともいい雰囲気で・・・

部屋を出た途端にモードが変わった。

ホテルの部屋は一緒と言えない雰囲気が・・・ある。

前途多難!いや!

前に司をけしかけていた俺と総二郎。

今自分にしっぺ返しがきてる気がした。

くさいセリフを言わせてみたい。

あきらだったら何を言われても「ポッ」となれそうな気がするんです。

拍手コメント返礼

きんた様

本命は『類』なんですね。

ここでは『司』と『あきら』にニンマリ。

いや~うれしいですね。

ドンドン浮気してください♪