ごめん それでも愛してる 8

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東條って呼ばれるより・・・

葵って呼ばれる方がうれしいと感じたのはいつからだろう。

笑顔を向けられるだけで・・・

はしゃいだり、喜んだり、幸せになる。

他の人に向けられるやさしさにかなしくなったり、怒ったり・・・。

そして・・・

自分に自信を失ったり・・・。

告白された事が未だに信じられなくて・・・

現実じゃない気がして、頬をつねった。

きっと・・・

嫌いだと思った瞬間から気になって・・・

気になって・・・

気になって・・・

惹かれてた。

二度目の恋は簡単に諦めきれそうもない。

今はまだ仕事だ!

私は部下であいつは上司!

必死で言い聞かせながらグラスの中の水をグッとのどに流し込む。

食事を楽しむ余裕なんてどこにもなかった。

「おいしくないのか?」

「えっ!おいしいです」

慌てて自分の皿に大皿から料理をとる。

二人前にしては食べきれない中華料理。

意識するなって言ってもやっぱり無理だーーーーー。

この出張が終わったら、一緒に帰るマンション。

仕事でも一緒で家に帰っても一緒。

どう接すればいいのかわからない。

どこかで線を引くってことも大切だ。

今は部下だ!

部下!

部下!

部下!

部下!

「おい」

「部下!」

「えっ?」

「なななんでもない」

口の中に誤魔化す様に箸を運ぶ。

「辛いッ」

「辛いのダメなんだ」

クスッと笑ってグラスをあいつが渡してくれた。

「俺達、まだ知らないこといっぱいあるよな」

あなたがやさしいことは嫌というほど知っている。

気が利くことも、人に気を使い過ぎる性格も。

マメすぎる男は女にモテルって誰か言ってなかったけ?

私が初めてじゃないのは分かる。

そしてその過去が気になってしょうがない。

初日から女性の影をちらつかされてるのだから気になるなという方が無理がある。

この先どれだけやきもきさせられるだろ。

恨みったらしくなりそうな気持ちを切り替えるように外の景色を眺めた。

「香港ってやっぱり夜景がきれいだね」

完全に話題を逸らしたい。

「ホテルの最上階から眺める夜景はもっと綺麗だぞ」

思わず固まった。

それって誘ってる?

大人だし・・・。

一応恋人?

でも・・・。

その・・・。

普通の恋人同士なら、告白して付き合うと決めて、デートの約束して・・・

その段階がない!

いきなり一緒に住んでるしッ!

告白はしてくれたけど、この食事が初デート?

キスされて舞い上がってるのも事実で・・・

思いだすだけで体温は数度上昇する。

それでも・・・。

いきなり何もかもぶっ飛ばして行く段階には私がついていけない。

今日は朝から考えていたのは出張を終えた後のマンションで二人で過ごす夜。

今までみたいに「じゃあ」って簡単に自分の部屋に引きこもる事は出来るはずがない。

まだ3日は考える時間があると思っていた。

裸を見られて・・・

好きだと言われて、好きだと返事してキスされた。

そしてほかの女性とキスしてるあいつに怒って、結局許して・・・。

いきなり一緒の部屋・・・。

寝れるのか?

「俺の部屋来るか?」

「え?」

キターーーーーーー。

どう返事する?

行きたい様な・・・行きたくない様な・・・

やっぱりいきなりって、早すぎるような。

もじもじとなって浮き足だってしまってる。

「あのな、心配するな。」

「寝室は二つあるし無理やり襲う様な事はしないから」

「えっ・・・まあ・・・それなら・・・」

ほっッとしながらも残念な気持ちも・・・。

って・・・

発情してる?好奇心?

ますます動揺して落ち着きが取り戻せなくなった。

今回は葵ちゃんサイドからのお話です。

葵ちゃんからはきっとあきらはすごく落ち着いた感じに思えてる事でしょう。

そしてこの後は・・・

すんなり行ったら司がいじけそうで~(笑)

拍手コメント返礼

けい様

>『無理やり』じゃなかったら、い~んだよ~

「その気にさせる自信はある」葵の前で言えるでしょうか?(グフッ)

リンゴ様

百戦錬磨の口説きテク・・・

私もみたいです!

でも葵やつくしの人種に通じるかどうかが疑問ですけどね。