駿君の家族日記5
最後はやっぱり本当のパパとのお話ということで司パパの登場です。
これにて終了?
それはどうだろうか・・・(^_^;)
*「あのね今日、類パパと駄菓子屋さんに行ったの・・・」
「だがし・・・や?」
「知らないの?」
「バカ言うな、お父さんに知らないものあるわけねぇだろう。駄菓子・・だろ?」
少し考えてお父さんが言った。
「無駄な菓子!」
むだって・・・
役に立たないとかの意味じゃなかったけ?
意味が分からなくて考え込む僕。
時々お父さんの説明は僕をこんがらがらせる。
「無駄なお菓子買ってどうするの。1個10円で買えるガムとかアメとかを売ってるお店よ」
お母さんが僕の代わりにお父さんに説明してくれた。
「そんなの食えるのか?」
「おいしいよ」
でもそれよりもくじが当たった時がうれしいんだ。
いつもより大きなあたりの飴。
お金を払わなくてももらえるガム。
お父さんにいっぱい必死で説明する。
「なにが面白いんだ?」
不思議そうな顔でお父さんがお母さんに聞いていた。
「私が駿くらいの時は楽しかったけどね」
「何でも1等賞だとうれしいもんね」
お母さんに「うん」と大きく返事をする僕。
「お父さんは今までいつも1番だからな」
「競争する前に競争相手排除してたんじゃないの」
「俺様のライバルになる奴はいないだろうが」
お母さんの声に怒った様子もなくおとうさんはソファーにふんぞり返ってる。
「いるよ、類パパに総パパにあきらパパ」
「だね」
お母さんはにっこりと笑ってくれた。
「あいつらに、俺が負けるわけないだろう」
「駿、今度お父さんが連れてってやるよ。その無駄な店」
「えっ!」
僕より先にお母さんが不安そうに声を上げた。
「行くって・・・駿と司で?」
お母さんの目がまん丸になった。
「おう」
「駄菓子屋に?」
「なんだ、俺が連れていっちゃいけないのか?」
「・・・私も行った方がいいかなって・・・」
「俺と駿と二人で行く。お前は付いてくるな」
心配そうに僕を見つめるお母さん。
「店!買い取ったりしないでよ。
品物買い占めるのもダメ。
現金持っていかなきゃだめだからね。
ブラックカードも使えないから」
類パパが言ってた以上のことを心配してるお母さん。
僕の方が心配になってきた。
数日後僕は類パパと来た駄菓子屋の前に立つ。
今日は黒服のおじさんは付いてこなかった。
でも・・・
隠れてお母さんがついてきてくれてるのを僕は知っている。
だから安心なんだ。
「ここか・・・」
入り口で店の看板に駄菓子屋と書かれた文字を眺めてお父さんがつぶやいた。
「おや、今日はお父さんじゃないんだね」
店のおばさんと顔見みしりになっている僕。
「俺がこいつのパパだ」
お父さんがほっぺを僕にくっつけて顔を並べる。
「類をパパってありえねーぞ」
不満いっぱいの声が僕の耳元で聞こえる。
「そっくりだわ。おばさん勘違いしてた」
ケラケラとおばさんが笑ってお詫びだと飴を一個僕にくれた。
そしてお金を払ってくじを引く僕。
外れて小さなビックリボールを一つおばさんからもらった。
「あの大きいのが欲しいんだけどな」
床に投げると大きく上に弾むボール。
一等のは僕の手の中に入らない大きさ。
それを狙ってた。
でもくじをひくのは一回だけとお母さんとの約束なんだ。
何回もくじを引いて当たっても意味がないってお母さんは教えてくれた。
1回のチャンスで当てることが幸運。
いつも運がいいとは限らない。
その運を大事に使うのが必要で、お母さんはお父さんと出会えたことが幸運なんだと教えてくれた。
それなら何とか僕でもわかる。
僕はお父さんもお母さんも大好きだもの。
お父さんとお母さんの子供に生まれてこれたんだからそれが一番の幸運だと思う。
「よし、俺が当ててやる」
お父さんがくじを引く。
お父さんがもらったのは僕より小さなボール。
そして・・・
ドンドン小さいボールが増える。
「お父さん、もういいよ。たくさんあるから」
お父さんには運がないみたいだ。
それともお母さんと出会うことで運を全部使っちゃった?
「まだ一等が残ってる」
一等とだけじゃなくその横の五等までズラリと残ってる。
ここまで当たんないと悲しくなるよね。
お父さんの場合は怒ってるみたいだけど・・・。
一万円を差し出したお父さんにお釣りがないと言うおばさん。
釣りなんていらないと言うお父さんにそれは困ると言うおばさん。
次に、これで頼むとお父さんが差し出したカードにおばさんの目が点になった。
「この店でカード出す人初めてですよ」
「ブラックじゃなきゃ使えるんじゃないのか?」
確かにいつも見る黒いカードじゃなくてシルバーの色のカード。
「ここでカードが使える訳ないじゃない」
店の前のドアがバンと開いて飛び込んできたお母さん。
顔が真っ赤だ。
そしてお父さんの手の中のカードをサッととり上げた。
お父さんはカードを持つ指の形のまま動かなくなった。
「なんでお前がいるんだ」
「心配だからに決まってるでしょう」
「駿より世間知らずなんだから」
「本当にすいません、すぐ連れて帰りますから」
お母さんはおばさんに頭を下げる。
「まだ、帰らねえぞ。当ててねぇ」
お父さんの方が僕より夢中になってる気がする。
考え込んだお母さんがおばさんになにやら相談をはじめた。
お母さんがおばさんから受け取ったのは新品のくじ引きのお菓子。
「これ分けてもらったから、帰って子供たちとくじ引きしてみたら?」
たぶん・・・
お母さんにしては大奮発だと思う。
でも僕はくじがいっぱい引けてうれしいかもしれない。
「よし、今度は必ず当ててやる」
なんとなくお父さんが僕に挑戦的・・・
「負けねえぞ」って、言われた。
僕・・・六才だよ?
翼と舞は三才になったばかり。
僕は弟達には負けてあげるつもりだった。
一番のくじ引かせてあげないといけないのはお父さん?
お母さんはクスクス笑ってる。
僕よりお父さんが楽しそうだ。
「しょうがないパパだね」
お母さんがお父さんに聞こえない声で僕に呟いた。
司なら駿と同等で楽しめた方が面白そうだという発想です。
いかがでしょうか?
でも司も30歳過ぎてる設定なんですよね(^_^;)
道明寺財閥の総帥も家族の前では子供っぽさを見せるパパという事でご勘弁願います。
会社の人間には見せられませんよね。
拍手コメント返礼
なおピン様
大人げないけど憎めない。
本当にそうですよね。(笑)
家族シリーズはこのパターンが多いかもしれません。
b-moka様
駄菓子屋でカード出されても困るでしょうね。
カード使えないところで買い物なんてしないと思いますしね。
シリーズを自分で増やしてる気がします(^_^;)
うちでもゲームのカードがはやった時期ありましたね。
今は見向きもしない(^_^;)
ネットで売っていましたね。
さくら様
駿が連れていくとしたらどのお店がおもしろいだろうと考えついてまずはつれて行ってくれそうなのは類?
司もはまる可能性あるよなという流れで書きだしたお話です。
想像できると感想いただいてニンマリしています。