ごめん それでも愛してる 10

このお話はつかつくサイドのお話になります♪

ここでは初だ~。

*

「中華が食べたい」

何気なく心の声が喉の奥から飛びだした。

「昼過ぎたばっかだぞ」

相変わらずだなって、人をおちょくる様に言って目を細める道明寺。

「思っただけだよ」

やさしそうに見つめられてつい口を尖らせてしまう私。

「この前30000円設定で中華料理を食べるテレビがあったの」

数人で料理頼んで一番金額が遠い芸能人が全部の支払いをする番組。

お昼のラーメンを食べて思いだす私はごくごく一般の庶民レベル。

「んなの、いつでも食べさせてやるよ」

道明寺がまるで私の保護者みたいな大人の表情を作る。

午後の講義が中止になって時間を持て余したところに道明寺から携帯に「暇か?」と連絡が入った。

二人して平日に会える時間が持てるのは珍しい。

年に1回あるかどうかの貴重な時間だ。

待ち合わせの喫茶店。

スーツ姿の道明寺はいつもより大人っぽく見える。

店の中に行った瞬間に視線を集めるのはいつもの事でその存在感は隠しようがない。

道明寺の視線は店の中を自分に向けられる熱い視線をものともせず隅っこで隠れるように待つ私を捉えた。

どこに私が居てもすぐに見つけ出せるのはすごい。

「すぐに見つけてくれるからうれしい」

一度前に言ったら「愛の力」なんて照れもせず言われた。

「今日の夕食は決まりだな」

「えっ?」

「行くぞ」

「行くって、まだ夕食には早いよ」

私の声は聞こえない?じゃなくて無視して伝票を持ってさっさと支払いを済ませる道明寺。

この強引さにも慣れた。

500円のジュース代に財布の中から出す万札。

財布の中にちらりと見える万札とカード。

相変わらずそれ以外は入ってない。

お釣りをもらわずに行こうとするから私がしょうがなくそれを受け取って道明寺を追いかける。

「お釣り」

「重たくなるからいらねぇ」

「1円が大事なんだから」

スーツのポケットの中にお釣りをねじ込んだ。

「いらねぇー、邪魔だッ」

ポケットの中に手を突っ込んでブツブツとうるさいやつ。

「捨てたら口きかないからね」

舌打ちして道明寺が黙った。

止めてある車に二人で乗り込む。

「どこ行くの?」

「心配するな、中華食べに連れてっているだけだから」

「今から行けばちょうどいいだろう」

今から車で行ってちょうどいい場所ってどこだ?

考えあぐねている私を無視して車は走る。

・・・て、ここ空港じゃないか!

「私をどこに連れていく気なの?」

道明寺といると少しのことじゃ驚かなくなった。

不安の方はどうしようもなく蓄積されるけど。

「本場」

「本場って・・・中国!」

食事だけの為に海外!

さすがに私の足は歩みを止めた。

「ついてこい」

数メートル前を行く道明寺が振り返って私の目の前まで引き返してきた。

「4時間もあればつくだろう」言いながら腕を取られた。

中華食べに4時間・・・

それも自家用ジェット・・・

どれだけ高くつく料理になるのよーーーッ。

「パスポート持ってないんだけど・・・」

「俺が持っている」

道明寺は持ってるだろうけど・・・

私のパスポートは高校の時NYの道明寺に会いに行くために取得した。

その時作ったパスポートはそれ以来使うこともなくひっそりと私の机の引き出しの底に眠ってる。

そろそろ5年の期限も切れてるはずだ。

「お前のも俺がもってるつーんだ」

「どうして他人の道明寺が私の持っているのよ」

「他人じゃねぇだろう」

目の前の顔はニンマリとふてぶてしく笑う。

その意味に気がついてつい頬が熱くなる。

「ほら」

渡されたパスポートは道明寺つくしの名になっていて・・・

ぬっ?

これって、完全に公文書偽造だぞッ。

大学で渡されたキャッシュカードの道明寺つくしよりやばくないか?

それにこのパスポートの写真いつ撮ったんだよ!

どうみても最近の私だ。

パスポートって本人がもらいに行かないといけないんじゃなかったけ?

考えることもないか・・・

道明寺の力で無理を利かせて私のパスポート作らせたんだ。

そのくらいどうとでもなるって顔しているもん。

もう追及する気も失せた。

「来年はすぐに必要になるだろうからな」

やけにうれしそうだ。

悪びれた様子の全くない道明寺を結局受け入れて私も苦笑するしかなくなった。

ジェットが降り立ったのは夕刻の香港。

向かった先は道明寺経営のホテルメープル。

このまま今日は日本に帰れそうもないと気がついたのは、フロントで慌てるように飛んできたぺこぺこと頭を下げる

支配人に部屋の手配を言いつけている道明寺を見たからだった。

それもやっぱり当たり前の様に一室。

珍しくここまで計算している?

明日は土曜日、大学も休みだ。

逃げられそうもない。

レストランで食事を終えて素直に向かう最上階。

「あきらも、このホテルに泊まっているらしい」

「美作さん?」

「仕事で来ているって支配人が教えてくれた」

「そんな情報簡単に漏らしていいの?」

「俺とあきらの仲は知っているからな」

そんな問題じゃないと思うけど・・・。

「なあ、驚かさないか?」

「誰を?」

「あきら」

「あいつの部屋で待ち伏せして驚かす」

「私たちの部屋で待ってるんじゃなくて?」

「それじゃ面白くねぇだろう」

私の目の前で一枚のカードキーをひらひらさせる道明寺。

「ダメだって!」

「かまわねぇよッ」

背を伸ばして必死に手を伸ばてピョンピョン飛び跳ねてもカードキーまでかすりもしない。

この身長差はどうにも埋められるはずがない。

道明寺を喜ばせているだけだ。

それでも食い下がる私。

そして道明寺は楽しそうに笑っている。

このーーーーーーバカ!

まるで子供だよ。

昼間の大人な感じはどこ行った!

「司!なんで、お前らがいるんだ!」

美作さんの声に私たちはやっと静かになった。

道明寺つくし名義のキャッシュカードをつくって司が渡したのは初期のころのお話で・・・

あの頃はこんなに書けるとは思っていませんでした。

楽しみにしてる等のコメントに拍手にアクセスランキング。

すべてが私の作品のエネルギーになります。

いつも感謝!

お付き合いありがとうございます。

拍手コメント

よいこ様

私の頭の中には実際につかつくが存在してます(笑)

こちらこそ有頂天になりそうなコメント感謝です。

ありがとうございます。