秘書西田の坊ちゃん観察日記 26(駿君の家族日記)

久しぶりの西田さんサイドのお話です。

この物語は『駿君の家族日記 5」 のサイドストーリーとなります。

 *

穏やかな昼下がり、何事もなく順調に時間は流れる。

日本経済、いや世界経済の最先端を行く道明寺グループ。

世界を動かす経済人100人のTOP10にも選ばれる我が総帥。

お子様も3人生まれて順風満帆。

なんの不安も問題もない日常だと思っていた。

デスクの上に並べたクレジットカード。

腕組みで先ほどから眺めているご様子。

眺めてると言うよりは睨んでる感じだ。

クレジットカードの使用を止められた?

使用を止めたのは坊ちゃんが未成年だった頃の話し。

つくし様と別れさせるために楓様が打った手段。

「牧野におごられるなんて情けない!」

落ち込まれていた事を思い出します。

限度額いっぱいに買い物をした?

限度額なんて最初からあるはずがない最高クラスのブラックカード

「西田・・・」

「ハイ」

「ブラックの色以外のカードってどんなんだ?」

「シルバー、ゴールド、とかですか?」

ことのほか怪訝な表情を代表に向ける。

「それがいる」

代表が現在持っているカード以上の物を請求されても困難ですが、それ以下のものが必要な意味が私には分からない。

「大体のものは代表のお持ちのカードで問題ないと思います」

「俺のもってるカードは使えないんだと」

「はぁ?」

「駿と無駄な店つーのに行くんだ」

「つくしがブラックカードは使えないって言ってたから他のものを準備しとく必要あるだろう」

「いいから作れ」

「代表・・・無駄な店とは?」

私のあり余る知識でもどんな店か分からない。

無駄な店とは店名?

なにが売ってるのか?

考えられるのは代表の得意技の勘違いか?

私の分析はそこに行きついた。

「飴とかガムとかすげ~安い値段で売ってるらしい。子供は楽しいらしいぞ」

もしかして・・・

駄菓子屋?

そう言えば先日駿坊ちゃんが類様と駄菓子屋に行ったという様な事を私に教えてくれました。

その対抗心と言ったところか。

駄菓子屋ならブラックどころかクレジットカードが使える訳がない。

せいぜい千円札一枚でもことは足りる。

私も小さい頃30円を握って走った思い出があります。

舌に色が着色するのがおもしろかった飴だま。

赤や緑になった舌を友達と見せ合って面白がったものです。

カードを集めるのに必死になった日々。

私の集めたのはテレビのヒーロー。

あの頃は私も子供を楽しんでいました。

いつからこんな堅物になったのだろう・・・。

きっとこれは道明寺に就職したからに違いない。

楓様の傍で仕事を学び、代表の傍で必要以上に神経をとがらせた。

つくし様とご結婚されて、お子様が生まれて、私の心労もずいぶん軽くなったものだ。

後は静かに定年まで勤め上げたいだけが私の望みだ。

駄菓子屋では現金のみだと思います。

・・・と、今、教えるつもりはない。

ここで私が訂正するよりも実際の経験の方が代表には必要だと思われる。

駿坊ちゃんと同等での社会学習も一興。

私の見たところ駿坊ちゃんの方が代表より時としては分別があるように思える。

代表がされた人並みの体験と言えばつくし様との恋愛だろうか。

それが一番重要で大切なこと。

ここからがすべての始まりで今の代表があるのだから。

人を愛す気持ち、せつなさ、つらさ、楽しみ、悲しさ、戸惑い、我慢、すべての人間の感情を代表は知ることができたのだからこれ以上の経験はなかったはずだ。

つくし様にとっては生半可な事ではなかったでしょうけどね。

ここからはお子さん同様に代表もつくし様に育ててもらい、世間の常識と一般論を身につけてもらう。

今からでも遅くはないと思いたい。

「お父さん、それじゃ買えないよ」

代表をたしなめる駿坊ちゃん。

ほのぼのとしたやりとり、私も見たいものです。

「早速手配しておきます」

「すぐ頼むぞ」

坊ちゃんは満足そうにほほ笑んだ。

この結果は駿坊ちゃんに教えてもらいましょう。

今回はいただいたコメントを参考にUPしてみました。

駄菓子屋の懐かしい思い出ありますよね。

拍手コメント返礼

すぎすぎ様

ありがとうございます。

何で勘違いしてたんだろう・・・(^_^;)

西田さんの家族は確か既婚者にしていたような気がしますそれとインコのピー助。

まだいるのかな・・・。

匿名様

ここで西田さん考えてませんでした?

そんなコメントもうれしいものです。

ふらまる様

確かにどんどん西田さんいいおじさまになってますね(笑)

貴重な存在。

バカップル上等のつかつくが私もとっても大好きなようです。

お仲間が増えるのはうれしいですね。

気楽にクスッと笑える作品を今後も書いて行きたいと思っています。

むさぴょん様

相変わらずの西田さんで~♪

何時までも司の側で頑張ってもらいたいものです。

花様

何度もすいません。

メールが返信できなくて・・・。

司を尊敬しますと言ってる西田さん。確かに貴重かも知れませんね。

きっといつかそんな日もあるかと思います。

b-moka

西田さんの子供の頃ってどうなんでしょうね。

想像できない・・・。

穏やかな定年は迎えられるのか・・・

無理だと思います(笑)