秘書西田の坊ちゃん観察日記 28(ある日の一コマ 家族編)

ち**様に『ある日の一コマ (家族編2)』でいただいたコメント

西田さんが見たら、部屋をでて誰もいないのを確認してめったに見れない大爆笑をしそうだなぁ~(笑)

でもって、フト気づくととなりにタマさんがいて、ギク!っとしたりする』

駿くんのオシッコをかぶる司総帥。 西田さんが目撃したらどんな反応? ということでリクエストにお応えして書いてみました。

*

「代表お時間です」

部屋のドアをノックして、ドアを開ける手の動きが途中で止まった。

「わーーーー止めーーーーッ!濡れるッ。今するなッ」

「・・・やられた」

丸裸の駿坊ちゃんの両脇を持って抱きかかえる代表の足元にはすたすたと黄色い水滴がこぼれおちている。

スラックスを引力のままに伝い落ちて皮靴まで濡らしてた。

「フフッ。急に止まらないよね」

やさしく笑みを浮かべるつくし様が代表から駿坊ちゃんを抱きとった。

「駿のカタ持つんじゃねぇよ。笑うな」

少し拗ね気味の代表

それはまるで子供が母親に甘える様なあどけなさを浮かべる。

「着替えさせる前で良かったじゃん」

「俺が着替えなきゃいけなくなったぞ」

「ありがとうネッ」

「ありがとうじゃねぇッ」

つくし様に礼を言われて照れくそうに染まる頬。

「ブッー」

笑いが飛びでるのがこらえ切れなくなって慌てドアを閉めて、部屋の外に出る。

口を手のひらで押さえても防ぎきれない声。

震える肩は隠しようがない。

「おやおや、あんたにしちゃ珍しいね」

年の割には張りのある聞き覚えのある声にやっと笑いが止まった。

「見てたんですか?」

「ちょうどあんたが部屋を飛び出すところからね」

「人が悪い」

道明寺家の生き字引、長老にはさすがの私も勝てません。

「あんたも、私にとっちゃ赤ん坊だよ」

言われいたのは20年前、秘書の仕事についた頃からの付き合いだ。

楓様の性格から好きなもの嫌いなものすべて最初はタマさんに教わったものだ。

私も「先輩とお呼び」と言われたものだった。

今はタマさんと呼んでも不満な顔をされなくなった。

カタカタと杖をついてそっとドアを開ける。

「駿坊ちゃんの世話をされてたんだね」

目を細めて見守る様なタマさんのうれしそうな表情。

「駿坊ちゃんにそそうされても笑ってられる坊ちゃんは意外です」

「よいものを見せていただきました」

「最近はオムツを替えたり、ミルクを飲ませたり甲斐甲斐しいもんだ」

「会社でもミルクの後のげっぷをさせるのが難しいと眉を眉間に寄せてた事が・・・」

執務室に飾られた家族の写真。

それは駿坊ちゃんの成長とともに入れかわる。

「こんな日が来るとは思わなかったね」

「全く同感です」

「西田、あんたもやさしい顔が出来るようになったもんだ」

もしかしてさっきの言葉は坊ちゃんの子煩悩ぶりではなく私の事ですか?

聞ける勇気はない。

タマさんには相変わらず私もまだ子供扱いされてる気がした。