七夕に願いを込めて

七夕のお話の第二弾です♪

駿君の本当のお願い事は・・・

*

これなんだ?

笹の節の奥、葉っぱに隠れるようにつるされた短冊。

つたない平仮名で書かれた「おかあさんとけっこんできますように」

駿だよな?

「プッ」

俺に見られないようにこっそりと一人で笹に吊るしたかと思うと笑いがこぼれた。

マジで駿につくしは俺と結婚してるから無理だって相手したら、つくしに不満げな顔をされた。

「子供相手に何言ってんの」

横っぱら肘で押されたのは数週間前。

まあ、俺も大人げなかった。

「見ちゃダメ」

ドアが開いて俺のそばに駆け寄る駿。

「駿の願い事ってそれが一番か?」

ダメだって言ったのにって拗ねた目で見られた。

「うん」

警戒気味に駿が頷いた。

「なんで、おかあさんと結婚したいんだ?」

腰を落として駿に視線を合わせる。

ゆっくりと手のひらを駿の頭の上へ置く。

「大好きだからず~と一緒にいるの」

目を輝かせてうれしそうにほほ笑む駿。

子供にこんな顔させられるのってやっぱ母親だよな。

父親はかなわねぇ。

「駿、お前は結婚しなくてもず~とお母さんと一緒にいられるんだぞ」

「おかあさんと結婚しなくても駿はおかあさんの宝物だし、駿がお母さんをヤダって思うまでず~とだ」

「そんなこと思う訳ない」

必死に言いきる駿が無性に面白い。

「お父さんの場合はお母さんを怒らせると一緒に住めなくなる危険がある。だから結婚してるんだ」

心配そうな表情になって駿が考え込んだ。

「それじゃ、しょうがないからお母さんとお父さん結婚してもいいよ」

もう結婚してるってッ。

「ああ、ありがとな」

笑いをこらえるのもつらいもんだ。

これあげるって『けっこんできますように』と書かれた願ごとの短冊を駿が俺の胸に押し付けた。

「お父さん、お母さんに嫌われないようにって願ごともした方がいいんじゃないの?」

「心配するな」

怒らせる事はあってもあいつが俺を嫌うはずねぇしッ。

「駿、ここにいたんだ」

リビングでにぎやかにそろう家族。

つくしの呼ぶ声に促される様に駿がつくしに駆けよってしがみついて呟いた。

「僕、ず~とお母さんといる」

そこに父さんも入れてくれ。

俺も・・・

一応・・・願っとくか。

つくしが俺を嫌いにならねぇようにって・・・。

ずっと愛してる。

窓辺から見える夜空には無数の星が輝いて天の川が広がっていた。

たまにはパパらしい司で~というお話でした。

拍手コメント返礼

b-moka

なんだかもう最近駿君が我が子の様な気がしてきてます(笑)

危ない現実逃避だ~。