玲子さんの婚活物語 10
明日は七夕。
天気が心配ですが、つくしと甲斐君には星空を見上げるというそんな余裕はないでしょうね。
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しょうもない短編ですが気が付いた方ご一報を♪
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これからも時々UPする予定でありますのでお見逃しなく♪
*道明寺本社ビルに比べれば5階建の小さいビル。
先頭を風を切って歩くのは玲子さん。
「俺、どうすんだろう・・・」
玄関で立ち止って一歩踏み出せない私の横で甲斐さんがつぶやいた。
「今ならまだ、引き返せますよ」
「それで、ただで済むと思う?」
甲斐さんと二人自動ドアを難なく通り過ぎた玲子さんを見つめてた。
「きっと難しい仕事ばかり押しけてられて、無視されそうだし」
「玲子さんそんなことするんですか?」
「・・・いや、言われる前に俺から引き受けるの」
「プッーーー」
情けない表情の甲斐さんに思わず笑いが飛びだした。
「行こう」
覚悟を決めたように表情を引き締めた甲斐さんに連れられる様に玲子さんの後を追う。
受付の前で「遅い!」と玲子さんが一括。
「入会するそうです」と受付嬢の前に甲斐さんの腕を取って引っ張っていく玲子さん。
無理やり競りにかけられる子牛に甲斐さんが見えてきた。
値を吊り上げるようにプロフィールの手ほどきを甲斐さんに玲子さんはするのだろうか?
『趣味、仕事。
弁護士としての将来性はあると思う。
特技、玲子さんに頭が上がらない。
会社での甲斐さんしか知らない私。
仕事 会社員?
弁護士って書くのかな?
玲子さんが弁護士って書くとそこで引かれちゃうのよねって隠してた。
年収、?
私よりはもらってると思う。
性格 温厚、温和、穏やか。
司では言うことは一生ないと思う。』
条件的には結婚相手としてはプロフィール的には上等な方だろう。
しばらくして、受付に甲斐さんを残して玲子さんが私の側に戻る。
「さあ、これからが楽しみだよね」
玲子さんがにっこりほほ笑んだ。
「楽しみって・・・」
「つくしちゃん、何のためにここにいるの?」
「私は玲子さんにつき会ってるだけですから、忘れないでください」
「今日も相手選びのパーティー参加よ」
えっ?
今日は甲斐さんを入会させるだけの為に来たのかと思ってた。
「1度だけじゃないんですか!?」
「今日は甲斐がいるから大丈夫よ。つくしちゃんに張りつかせておくから」
・・・で、本人無視で参加決定?
最近なんだか玲子さんが司以上の強引さを見せてる気がする。
少し変?
大人で、知的で、気配りのできるタイプの玲子さん。
なんだか裏がある様な気がして、不安になっていた。