イルの憂鬱 4
忘れていた訳じゃないんです。
ただいま90%花男で残りの10%が天河でして・・・(^_^;)。
お待たせいたしました久しぶりの更新です。
*「もったいぶらなくてもいいだろう」
それは脅しでなく少し拗ねたような言い草。
初対面の私に気を許してる。
まあ・・・どうみても子供にしか見えてないだろうから身がまえる必要はこの人にはないのだろうけど。
「名前」
「えっ?」
「名前を聞いてない。教えてくれ」
人懐こい笑顔を浮かべてオルクと男は名乗った。
名前って・・・
どうしよう。
ユーリと名乗ってもイシュタルだと気がつかれないだろうか?
躊躇してるのを気がつかないままにオルクは怪訝な表情をうかべる。
「俺には教えたくないのか?」
「そんな訳じゃないけど、ここにいるのがばれたら困る」
「屋敷を黙って飛び出した坊ちゃんてところか?」
身体はマントで覆っているけど・・・
まだ男に間違えられるって、そんなに色気ないか?
思わずマントとの中身を袂から覗いて確かめる。
さすがに少しふくよかになった胸に丸みを帯びた腰はマントを脱いだらばれないはずはない。
「ユーリ様ッ」
オルクを通り越した遠く先で近づいてくる砂煙。
叫んでるのはハディでその後方左右で手綱を握りしめてるのはカッシュ、ミッタンナムワ。
宮廷の女館長に戦車隊隊長と歩兵隊隊長。
この格好であの距離から私だと気がつくのはさすがだ。
私じゃなくてアスランが見つかれば十分ばれる。
カイルじゃないだけまだいい?
「どうみても高級将校だよなあの二人」
私の横でオルクがさすがに呆然と立ちすくむ。
馬から降りて私の前で膝間付くその高級将校。
「ユーリ様、なに考えてらっしゃるんですかッ」
完璧に頭の上から湯気が出てるハディ。
「ばれる前に戻った方がいいよね・・・」
さすがにバツが悪い。
「ばれてるに決まってじゃないですか!」
だから俺達でまで駆り出されたんですと言いたげなカッシュとミッタンナムワ。
「御身お一人のお身体じゃないんですからね」
ハディーの身体が数倍になって私にのしかかる。
「ごめんなさい・・・」
消え入りそうな声になった。
「お前、なに者だ!」
鋭い声を発したのはカッシュ。
「カッシュ、面倒見てやって、軍人希望だって」
「ユーリ様、どこの奴とも分からないものをすぐには無理です」
オルクは驚きの表情のまま私とカッシュを交互に見つめる。
「カッシュ、私の近衛長官の任は解かれてないはずだけど」
「・・・ッ」
「・・・分かりました」
カッシュが恭しく頭を下げる。
「この国第二位の地位にあるタワナアンナであることもお忘れなくユーリ様」
ハディーの声に腰を抜かしたようにオルクが座りこんだ。