イルの憂鬱 5

続きを~の要望メッセージ頂いてます。

なかなか更新できずに申し訳ありません。

忘れてるわけじゃないんですが、文章がつながらなくてこのお話は生みの苦しみなんです。

あ~

やっぱり私の中じゃ旬は過ぎてるのかな・・・(^_^;)

*

「ユーリ様、お立場をお考えください」

後宮に向かう長い廊下の手前で待ち構えていたかの様なイルバーニがユーリを見つけるとすぐに低い落ち着きらった声が響く。

その声に警備に立つ兵士がガチャッと槍を垂直に持ち直した。

ユーリより兵士の方が緊張感を漂わせている。

「イルバー二様お立場より今は体調の方が心配です」

ハディーがユーリを庇う様に背中に隠した。

くどくどと長く続く説教と言うより簡潔に痛いところをつくイルの小言はユーリの耳の痛いところであるが、自分をかばうハディに守られて一息を入れることができる。

「見慣れない者がいるようですが・・・」

後ろでおとなしく控えて座るオルクにイルバー二が鋭い視線を向ける。

オルクの均衡のとれた体つきは一般の男より屈強で軍人で鍛え上げられたものだとイルバー二は直感した。

今はエジプトとの争いもなくなり久しぶりに落ち着いた国の営みがヒッタイトに戻ってきている。

それでも油断できるものではない。

ユーリ様もお分かりのはずだが・・・。

「町で知り合ったの」

無邪気なユーリの声。

もともとこのお方は人を疑うことを知らない性格だった。

イルバー二は今にも頭を抱えるような仕草で顔をしかめた。

「今更驚きはしませんが、御慎みください」

「ご心配はいりません、この先しっかり宮廷から抜け出させるようなことにはなりませんから」

ハディーは『ですよね』とくぎを刺す視線をユーリに打ち付ける。

イルバー二とハディーの強力なタックルはこうしてユーリの取り囲んで「ハイ」としか返事をできなくさせる。

二人の息は自然とうまくかみ合って威力を増す。

この二人に恋愛感情があってもおかしくないと思うのは不思議じゃないとユーリは思っているが、発展しそうな感じも受けないのはそれはそれでありなのかなとも思う。

「ユーリ様」

「えっ?」

何度目かのハディーの声にようやくユーリーは顔を向けた。

「大丈夫ですか?お疲れなのでは?」

ユーリーを気遣う心配そうな顔のハディーがいた。

「大丈夫だから、心配をかけてごめん」

「イルバーニ様、ユーリ様をお連れしてもかまいませんよね」

告げるだけのハディーの声。

それは形式的なものでイルバーニが拒む理由がないことはハディーの方が知っている。

イルバーニは無言のまま了解したという様に腰を折って頭を下げた。

「ユーリ」

後宮の前には執務室から戻ったばかりのカイルの姿があった。

長身の細身の体は絹の下に均衡のとれた筋肉質を隠している。

輝くような王者風格。

ただ立っているだけでもその周りは異次元のように見えて周りの者を傅かせる。

「すぐにでも私はお前を探しに行きたかったのだが・・・」

ゆっくりと動くカイルの腕に合わせて麝香の香りがユーリを包み込む。

そんな二人に遠慮するように周りには誰もいなくなった。

カイルがすぐにユーリを抱き寄せるのは周知の事実で女官たちも心得た対応を取る。

ほんの一瞬でユーリは視界に入ったものすべてに意識を奪われた。

抱き寄せられた腕の中で見あげる彼の貌は信じられないほど端正で穏やかに見つめる茶色がかった瞳は澄んで引き込まれそうになる。

高い鼻梁とノーブルな額にかかる金色の前髪がユーリの肌に触れる。

「あっ・・・」

カイルの熱に触れただけで喉元から自然と漏れる声。

体中からあふれ出す熱に抗えなくなるユーリをカイルは支えるように抱いた。

カイルのキスが額をかすめ頬を伝いユーリの唇に落ちた。

フッと漏れる吐息が肌をかすめる。

「私を一人にするな」

甘い響きの言葉と共にユーリの体に触れるカイルの指先の動きにユーリは崩れ落ちるように体を預けた。

この先は・・・

天河で☆マークは書いたことないのでこの辺で終焉。

それにユーリ妊婦の設定ですし・・・。

どうせならディル君出産の後でということで♪