LOVE AND PEACE 14
パーティー♪パーティー♪
その前に~。
*側にいるはずの愛しい身体に手を伸ばせば・・・
指先は空振って冷たいシーツの感触だけを確かめる無情さ。
身体をベットから起こして横を見つめて、あいつの幻影に出るため息。
結局牧野の機嫌は直ることなく別々の部屋で朝を迎えた。
あいつが俺の部屋に泊まらなかったのは久し振りだ。
牧野が寝てるはずの部屋をノックする。
「・・・牧野、入るぞ」
きちんと整頓された部屋。
「牧野!」
反応することなく自分の声だけが静かに響く。
「おい、牧野は?」
部屋の前を通りかかった使用人に確かめた。
「朝早く、お帰りになりましたが・・・」
俺の迫力に押される様に萎縮気味に震える声。
「クソッ」
使用人から視線をそらして不機嫌に声が出た。
「失礼します」
逃げるように俺の前から姿を隠す使用人。
屋敷の者が久々に見せる俺を敬遠する態度。
それさえも忌々しいが、相手にしてる暇はない。
なんで俺がこんな思いしなきゃならねぇ。
もともとは類だぞ!
俺を通り越して類が直接牧野に頼んでも、あいつは絶対引き受けてたはずだ。
それも俺にはナイショとかの条件付けてな。
そうしたら機嫌を悪くするのはやっぱり俺だ。
どっちにしても俺はそんな役回りじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ。
あいつら・・・
いつもみたいに俺をからかってる?
遊んでる?
すんなりとは楽しませねェーーーーーッ。
すぐさま西田へ連絡を入れた。
「その日は、重要な会議が入ってます」
無機質に機械的に響く声。
「だからどうにかしろと言ってるんだろう」
「無理です」
「その大使館からは招待も受けてませんし、坊ちゃんが行くほどの道明寺との社関連はありませんから」
「つながりがないところをつながりを持つのも大事だろうが」
無言の携帯から聞こえた西田のため息。
「坊ちゃん、建前はいいですよ」
「類様がそのパーティーのパートナーをつくし様に頼まれたことは聞いてます」
「なんで、お前が知ってんだ!」
「あきら様から引き受けてくれて感謝すると坊ちゃんに伝えてほしいとの連絡を私にいただきました」
あきらの奴!
西田に知らせる必要どこにある!
俺に直接頼んでおいて今さらお礼の伝言なんて見え透いてる手口だ。
先手を打たれてしまってる。
「坊ちゃんがそのパーティーに出席されて心穏やか過ごすのは無理かと思いますが・・・」
「今から波風立ってるよ」
当日になれば嵐になりそうだ。
「側で見ない方が平和だと思います」
言い終わって切れる携帯。
西田をあてに出来なくなった。