駿君の家族日記 9(夏休み編 3)

駿君にとっては牧野家で迎える夏休み2日目。

いったい何泊するのでしょう。

わが家は今日は映画だそうで・・・

こち亀かカーズ2を見るか迷ってる様で・・・

どっちでもいいよッ!

*

「駿すごいだろう」

プールサイドにおじいちゃんと並んで立つ。

足を肩幅に開いて、腰に手を当てるおじいちゃんは自慢気に言った。

「流れてるんだぞ」

真ン中のウォータースライダーぐるっと囲むように作られたプール。

僕の家にもある。

これより小さいけど流れるプール。

泳いだら隣の人に足が届きそうないっぱいの子供に大人がプールの中を流れてる。

そっちの方が僕を驚かせた。

僕のおうちで泳ぐのは舞と翼と僕の3人。

そして時々お母さんとお父さん。

お父さんがプールに居る時はなぜかお母さんはプールに入ろうとしない。

そのお母さんを無理やり引っ張ってプールに落とすお父さん。

僕らも一緒になってお母さんをプールの中に引っ張る。

家族で遊ぶプールが一番楽しいんだ。

「あの高い滑り台すごいだろう」

滑り台って・・・ウォータースライダーのことか。

「おじいちゃん、僕はまだ小さいから滑れないよ」

「だったら、あのキリンさんのがあるぞ」

キリンの首がプールまで伸びて滑り台になっている。

あれは舞や翼、幼稚園児専用だ。

僕はあの小さな滑り台で喜ぶほど小さくない。

「とにかく泳ごう」

「その前に準備運動な」

僕と向かい合ったおじいさんが腕をぐるぐる回し始める。

しょうがないから僕はおじいさんの真似をする。

腕の次は足をぶらぶら。

こんな運動は初めてだ。

これで準備運動になるのだろうか?

ちょっぴり心配だ。

「なにやってるの」

進おじさんがイルカの形の浮き輪を膨らませて持ってきてくれた。

「これに乗って流れに乗ればばっちりだ」

ポンとプールの中に投げ入れたイルカの浮き輪がプカッと浮かぶ。

バシャっと水しぶきを上げて進おじさんが飛び込んだ。

僕も真似をして飛びこむ。

「こらっ!飛びこむな!」

進おじさんと僕の上げた水しぶきはバシャっとおじいさんの顔にかかってしまった。

浮輪には一人では乗れなくて進おじさんに手伝ってもらった。

ゆらゆら揺れてしっかり左右の取っ手を握ってないとイルカの背中から落っこちそうだ。

「僕、本物のイルカに乗ったことあるよ」

「すごいな」

進おじさんはいつでも僕が話すことを大げさに思えるくらいにびっくりしてくれる。

「でもこっちの方が面白い」

「わっ」

気を抜いた瞬間に水の中に僕は落っこちた。

足のつかない僕を進おじさんが抱きあげて助けてくれた。

「進、お前らだけで楽しむな。おじいちゃんも駿と遊びたい」

浮輪の真ン中にスッポリはさまったままのおじいちゃんが僕の傍まで流れてきた。

「おじいちゃんは泳げないんだ」

進おじさんに教えられてもう一度おじいさんを見る。

「トドが浮輪を使ってるみたいだろ?」

僕の耳元で小さく進おじさんがつぶやいた。

想像して僕は「グフッ」と笑うのを我慢できなくなった。

拍手コメント返礼

b-moka

時間があれば毎日でも更新したいんだすけどね。

懐かしい気持ちでいろんな話を考えています。

映画は夏休み中あと1個くらいは見に連れていく約束をさせられました。(;O;)