ごめん それでも愛してる 20
今回は葵目線でのお話になります。
絶対S発動にはしませんから~~~~~
*耳元で聞こえる声は優しくて、甘くて・・・。
ドクンと身体が震えた。
私を触れる指先。
そこから発した熱は体中に広がる。
熱を帯びた眼差しで見つめられるたびに引きこまれていく。
そして・・・
嫉妬は戸惑いに変わる。
初めから仕組まれた出会いだとしたら私の価値はどこにあるのだろう。
恵まれた容姿に生まれながらに確立された地位。
すべてを持ってるこの人に張り合える様なものは何一つ持ち合わせてない自分。
好きだと言われるたびに熱くなる想い。
この人に上げられるものは何一つない様に思えて悲しくなる。
「俺の事だけ考えてくれないだろうか?」
好きだと言う気持ちだけでこの胸に素直に飛びこめるほど私は若くはないのだ。
どう答えればいいのか・・・。
すぐに素直になれるほど私は弱くなくて・・・。
すべてを拒むことができるほど私は強くなくて・・・。
言葉を見つけられないままに目を伏せた。
抱き寄せられればきっとそのまま落ちて行く。
わずかな二人の距離がそれを拒む。
「・・・急がないで」
小さく呟いてゆっくりと顔を上げた。
淋しさの色を浮かべた瞳。
両肩に置かれた手のひらは移動して優しく肩を抱く。
「待っててもいいのか?」
自信なさげに聞こえた。
甘えられた様な気がしてキュンとなる心。
やっぱり好きだ。
考える必要もないほど心の底からあなたを想ってる。
抱きよせられた胸元でコクリとうなづく。
よかったとでも言う様に首すじに触れる吐息。
ウッ・・・
敏感に感じて身体が熱を持つ。
これ以上触れられたら身が持たない。
触れられるのをさける様に胸に置いた両手を伸ばした。
きょとんと私を見下ろす表情。
「仕事中です」
熱くなる頬を隠す様に抱かれた腕から離れる。
「確かに仕事中だった」
クスッと笑った顔はいつもの自信に満ちた余裕の色を浮かべてる。
「日本に帰るまでは我慢する」
頬に唇が触れそうな距離で甘く囁く声。
腰にまわされた腕は行こうと言う様にわずかに私の腰を押し出す。
「・・・短すぎです」
その横で小さく強めに声が出た。
うれしそうな表情を見せたまま私の前を数歩先にあいつは歩み出す。
今日の夕方には日本に着くのにッ。
まだ怒ってるんですから。
心の中で言ってはみても信ぴょう性には程遠い。
それだけは確か。
日本に帰ればどうなるんだろう?
分かってるはずなのにそれでもこのまま進む勇気はないと立ち止まる。
悪あがきだ。
興味と好奇心と不安が入れ混じったままあいつの背中を見つめながら後を追った。
拍手コメント返礼
hanairo様
あきらと葵は確かにつかつくより落ち着いてますよね。
穏やかにはぐくむ愛というようなコンセプトでしょうか?
もう少しお話は続く予定です♪