LOVE AND PEACE 19

西田さん登場♪

やはりしっかりこの人に裏で動いてもらわないと楽しみが半減と思ってる管理人です。

そのつぶやきは改めて観察日記でお伝えする予定です♪

*

「司、その格好で威嚇するのは止めてくれ」

グハハハと俺の横で聞こえる総二郎の笑い声。

急に目の前が明るくなって広がる視野。

着グルミの頭はあきらが持っていた。

「その格好も笑えるな」

ククッと笑いをこらえるあきら。

舌打したまま着グルミから身体を抜け出させた。

「折角の機会でしたのに・・・」

西田の淡々とした表情。

機会って・・・なんだ?

牧野のエスコートを類にさせることがか?

それとも俺が着グルミ着る機会?

んなことは何の足しにもならない。

「そろそろつくし様が司様から離れて公の場所に出席することも必要かと思っていたのです」

「それで、なんで類なんだ」

「いきなり一人ではつくし様も心細いでしょうから」

「こいつらがいたら、俺といるのとかわんねぇだろうがぁぁぁぁ」

分かってらっしゃらないとでも言う様に眉を西田が眉間に寄せる。

「二人で出席される時はほとんどつくし様の傍を代表は離れられないでしょう」

「女性ならではの役目もございます。坊ちゃんが側にいてはその役目もうまく作用しないと言うところでしょうか」

俺の呼び名が代表から坊ちゃんに代わって諭す様な西田の口調。

一緒に居てなにが悪い。

俺として牧野が俺の婚約者として世間に認識されればいいだけだ。

「司の場合は牧野の側による男性を殺す様な目線で警戒してるもんな」

「あれは警戒じゃないくて威嚇だ。唸り声まで聞こえてきそうだしな」

「司の婚約者としての知名度は上がっても道明寺財閥総帥のパートナーとしての評判は上々とは言えないだろう」

西田のかたを持つようにつぶやく総二郎とあきら。

小言を聞くのは西田だけで十分だ。

「パーティーでの付き会い方を学んでいただくのも必要ですから」

「別に結婚してからでもいいだろうがぁ」

自分の気持ちを押さえられないまま声を荒げる。

「結婚しても司の態度はたいして変らないと思うけどな」

「逆にもっと独占欲が強くなる可能性もある」

俺の後ろでこそこそと小さく聞こえる二つの囁き声。

「お前ら、最初から西田と企んでたんだな」

身体の奥から絞り出る低い声は冷気を帯びるように響く。

「人聞きの悪いことを言うな」

「俺達がお前の為にならない様な事をすると思うか?」

物ごころついた頃からの付き会いのこいつらは俺の不機嫌さにも動じなくて、扱い方も慣れている。

腹は立ってもそこまでで、結局そこには怨みも憎しみも存在しない関係だ。

「さんざん遊んで楽しんでるだろうがぁ」

完全に拗ねたガキの状態の俺。

「まさかここまで楽しませてくれるとは思ってなかったけどな」

「最初から、牧野のエスコートは司に譲る予定だったから」

部屋の隅にかけられたタキシード。

「たっく、手の込んだことするよな」

タキシードを手に取りながらつぶやいた。

「こうでもしないと素直に牧野を送りださないだろう」

「今日も素直には送りだしたとは言えないよな」

「まあ、類と牧野のパーティーの出席を容認したのは認めてやるか?」

持ち上げたりけ落としたり好き勝手にやられてる気がする。

「次は、俺に牧野をエスコートさせてくれ」

呟く総二郎に「かさねぇ」と強く声を上げる。

「コホン」

俺達3人のじゃれ合いに終止符を打つ西田の咳払い。

「これに懲りたらしっかりとうまくつくし様をエスコート出来ますよね」

もし同じようならと脅しを忘れない西田。

相変わらず抜け目がない。

他の男と腕組ませるよりましだが、俺の我慢には変わりがない。

それでも解かったと返事をしなければならないのだから情けない。

「西田、お前には負ける」

「お誉めいただきありがとうございます」

口角がわずかに左右上がって西田がつぶやいた。

西田は笑ってるのだろうか?