ごめん それでも愛してる 27
そろそろあきら君登場!?
嫉妬丸出しだと司と変わらないし。
私としては冷静な対応を見せるあきら君が見たい!
でも必死で取り返そうとするあきら君も見たい!
どっちでいこうかな~。
答えはすぐこの後で♪
*部屋を出てすぐにエレベータの前へと走る。
一足違いで乗り遅れてしまった。
葵の乗ってるはずのエレベーターは急速に下降して地上に近づく。
もう一基のエレベーターが最上階に到着するもどかしい時間。
エレベーターの速度が変わるわけではないのに何度もエレベーターを呼ぶボタンを押した。
1階に到着したエレベーター。
ドアが開くのを待ちきれずにわずかに開いたドアに肩を押しつけるようにして無理やり体を押しだした。
休憩時間のエントランス。
少しざわつくフロアーは休憩時間の穏やかな時間が流れてる。
明るく楽しげに出口に向かう社員。
焦って必死の表情は俺くらいのものだろう。
驚く顔を見せる社員の動きが止まって俺に注がれる視線。
それから逃れるようにフロアー内で葵を探して歩く。
「キャー、社長だ」
いつもなら女子社員の声に軽く笑顔を向けるとこだがそんな余裕があるわけない。
エントランスの中を必死で葵の姿を探したが見つけられずに入口のドアへと走った。
「どこ行った?」
オフィス街の周りに立ち並ぶ飲食店は一つ二つじゃない。
ランチメニューの看板の前に立ってそれを眺めるOL。
探してる間に時間だけが過ぎる。
感じたまま走って店の窓から見える範囲に店の中を覗き込む。
携帯にかけた方が早い。
気が付かないほど気が動転してるみたいだ。
携帯を取り出してボタンを押そうとしたとき見覚えのある女子社員が店から出てくるのを見かけた。
「やぁ」
「社長!」
「君たち東条の友達だよね。東条は一緒じゃなかったの?」
偶然を装い直球の質問。
東条を探してたのがバレバレすぎないか?
「一緒にランチとってたんですけど、今は邪魔しない方がいいと思います」
3人が交互に視線を交し合い何か言いたげな雰囲気で笑顔を俺に向ける。
女子高生がまるで恋の話を楽しげに会話してるようなガールズトークの雰囲気。
妹たちが話す恋愛の話。
聞かされてうんざり気味になる俺。
これに似てる。
「邪魔って?」
「葵、今珍しくもててるんですよね」
「えっ?」
「うちの男性社員の一人にデートに誘われてましたから」
彼女たちから視線を店の中に移す。
二つほどの先のテーブルに座る葵。
テーブルの上に置かれた手のひらを男がつかんでいるのが見えた。
「あいつ、里中?」
「社長知ってるんですか?」
「少し、香港でね」
香港でも葵を食事に誘ってた男。
葵に気があるのはあの時から気が付いていた。
「私たち、もう時間なんで」
険しい顔になるのをごまかすように笑顔を作って「気を付けて」と女子社員を見送る。
姿が見えなくなった女子社員を確認して店の中に入った。
「いらっしゃいませ」
明るく俺を迎えるウェートレス。
何気ない日常の一場面。
俺に注意を向ける客は誰もいないことにホッとなる。
葵の座る席の後ろに席を一つ挟んで座る。
観葉植物に挟まれて俺の姿は葵から見えない位置。
話声だけは聞こえる距離。
葵の前にそのままいかないのは俺の冷静な部分。
嫉妬の気持ちだけが視覚と聴覚を葵のそばで研ぎ澄ます。
「もう一度チャンスをくれないか」
聞こえる里中の声。
チャンスって、香港の食事に行けなかったからか日本でもう一度のチャンスか?
「チャンスって、私を振ったのは先輩ですよ」
一息呼吸を置いて聞えた葵の声。
振られたってことは葵が昔好きだった相手ってことか?
振られたっていつだ?
「僕は振ったつもりはない」
「先輩の彼女って人が私に会いに来て横取りしないでって」
「君はそれを信じて大学で僕を避けてたのか」
「僕は君に本気だったんだ」
「私の中では終わってますから」
葵の表情が見えない分声が聞こえるたびにドクンと胸が高鳴る。
葵の好きだった男。
それも過去のこと。
大した付き合いじゃなかったのは俺が十分知っている。
それでも不機嫌な気持ちが浮かんでくる。
「それに今は好きな人いますから」
「きっと先輩のことがその彼と同じくらい好きだったら彼女の言葉をそのまま確かめずに自分からあきらめたりしなかったと思います」
「もしその人の私以外に付き合ってる人がいて・・・」
いるわけない!
声をあげそうになってあわてて息をのむ。
「その女性に付き合わないでって言われてもあきらめることなんてできないと思うから・・・」
「きっと彼が私のこと必要としなくなるまで離れられないとそんな気がしてるんです」
抱きしめた腕のなかで愛してるって言われるより数倍も甘く聞こえる声。
きっと俺が思うより俺は葵に愛されている。
感動で動けなるってあるんだな。
「君のそんな顔は初めて見た」
「すいません、自分ばっかりしゃべっちゃって」
「いや、かまわないよ。思いっきり振られた気はするけど」
「先輩のおかげで自分がどうすべきかわかった気がします」
「それって、もう少し俺が慎重に君を誘えば可能性はあったってこと?」
「そういうことではないんですけど・・・」
「友達としては付き合ってくれるよな?無視はするなよ」
そのあとの二人の会話はそのままあたまの中を素通りしてほとんど残ってない。
俺が葵が必要としなくなるなんてことはこの先永遠にあるはずがない。
だから結婚しよう。
頭に浮かぶプロポーズ。
照れくさくなって体が熱くなる。
高鳴る胸を抑えるようにテーブルにうつぶせる。
「いつからそこにいたの?」
顔をあげた先で困ったような表情で葵がつぶやいた。
絶対つかつくでは書けそうもない展開を考えたらこうなりました。
私のあきらのイメージはこの物語を書いていて固定化されつつあります。
賛同を得られるとうれしいのですけど。
拍手コメント返礼
のあゆけ様
ベスト!と喜んでいただきうれしいです。
あきらと&葵を応援してもらってるんだなと気持ちが伝わるコメント本当にうれしいです。
nonno様
夏風邪大変でしたね。
お大事にどうぞ。
葵の本音を聞けてきっとあきら君はほっとしたところでしょう。
司なら飛び出すとこでしょうけど(^_^;)
その前に本音聞き出す間もなくつくしを奪うでしょうけどね(笑)
愛を確かめ合うって・・・
hanairo様
葵だからの対応ですよね。
このままいい雰囲気で終わらせたいんです。