春光の遥か 3
お話はここから進みます。
どうなるのかな聡ちゃんの相手・・・
ただ今物色中。
お知らせ
スマートフォンのブログテンプレートが使用できるようになりました。
設定変更してますが、どんな感じで見れるのかスマートフォンを持ってない私には確認できません。
以前のままの場合がいいのか、それともスマートフォン専用の方が見やすいかお知らせいただければと思います。
ぽんぽこ様
PW申請をされたぽんぽこ様メールアドレスの記載がなかったのでもう一度ご連絡をお願いします。
*「あの・・・若い女性の方が門の前で・・・」
部屋にいた俺に知らせに来たのは内弟子の一人だった。
女性が俺を待ち伏せて屋敷の前にいるのは今に始まったことじゃない。
それを知ってる家のものがわざわざ知らせに来るのは不思議なことだ。
もしかして置き去りの赤ん坊に関係ありか?
その思いをにじませて廊下に正座する内弟子を眺める。
なにも言わずに視線を逸らせるように額を床に押し付けた。
幸いにも今この屋敷には俺しかいない。
「誰にも見られないようにここに連れてきてくれ」
飛び出して確かめたい衝動は抑える。
もし雑誌の記者でも張っていたら今世間を騒がせてる噂に油を注ぐことにもなりかねないからだ。
数分の時間の流れももどかしい。
わずかに廊下に響く足音が近づいてきた。
ここでドタドタと足音を立てる人間は久しぶりだ。
あの牧野でさえも最初の頃に響いてた足音はすり足を覚えて消えてしまってる。
案内されて来た女性はあいさつもせず部屋に入りこむと目の前に正座して座った。
・・・外人?
あの赤ん坊白人の特徴あったっけ?
あんまり記憶がないというか置き去りの赤ん坊をまじまじとは見てない。
金髪の肩を覆うストレートの髪は華やかで透けそうな肌の白さが引き出たされる。
大きな瞳はブルーがかった湖。
伏せたまつ毛は音がしそうなくらい長い。
派手な化粧をしてるわけじゃないのにそれでも人目を引く美人。
美人に慣れてる俺でも興味が湧く。
「あのこ・・・かえして、ください」
たどたどしい日本語。
「君があの子の母親なの?」
この女性なら俺の身は潔白だ。
「あっ・・・」
わずかに考え込む困惑の表情。
そして「YES」と小さな声が聞こえた。
「あなた、パパです」
へ?
パパ?
俺が?
誰の?
赤ん坊の大きさ、発達状況から逆算した妊娠時期。
司と牧野の婚約発表のバカ騒ぎあった頃、俺は日本にいなかった。
茶道の普及のための海外講演のために。
あの時こんな女と会っていたか?
こんな美人は忘れないと思える。
「俺、記憶がないけど。本当に俺が父親?」
「ひきょうです」
言葉とともに右の頬に痛みが走る。
どう考えても考えが答えを見つけ出せずにいる。
一夜を共にした女性が妊娠したと訴えてきたのならわかる。
会ったこともない女性にあなたの子供ですっていいがかかりにしても神がかかりだ。
その上殴られるって、納得できるか。
目の前で高揚して上下する細い肩。
怒りを浮かべる瞳は情熱的な熱い熱を持つ。
引き込まれそうになるくらいの蒼い瞳。
子供のことがなかったら口説くと思うほどに。
「連れてくるよ。その前に名前くらい教えてくれないか」
立ち上がって彼女に背を向け部屋を出ようと障子に手をかけたままつぶやいた。
「ジュリア キャボット」
ジュリア・・・
やっぱり覚えがない。
俺の子供って言い張るつもりならおもしれぇかも。
苦笑気味に部屋を出て障子を静かに閉めた。