駿君の家族日記 14(夏休み編 8)
すっかり遅くなってしまった夏休み編。
これが最終話です。
もちろん金魚すくいのお話。
違った・・・道明寺家のお祭りになってるし(^_^;)
*「すごい」
しばらく立ち入り禁止だと幕で覆われた僕んちの庭。
お母さんと二人で目を見開いて驚いた。
左右に並ぶ屋台は焼きそばにたこ焼き、いか焼き、綿菓子のお店。
その真ん中にケーキに色とりどりに飾り付けられたお菓子。
生クリームを絞ってるのはおうちのパテシェ。
「どうしたんですか?」
パテシェの前でおかあさんがびっくりしたような表情を作る。
「司様の命令で屋台を出せと、私にたこ焼きはできません」
今にも泣きだしそうだ。
「すいません」
おかあさんが気の毒そうな表情で頭を下げる。
僕も遅れたけどお母さんの後に一緒に頭を下げた。
言いだしっぺは僕だけど僕は金魚すくいだけでよかったんだ。
悲しい思いをさせたのは僕のせい?
僕も泣きそうになる。
「わ~坊ちゃん。私も楽しんでますから」
パテシェのおじさんの声でホッとした。
周りのお店も家で働いてる人だと気が付いた。
タコ焼きの屋台で鉢巻を巻いているのは運転手の里井さん。
焼きそばは僕の部屋を掃除してくれるハルさん。
知ってる顔が並んでた。
みんな僕を見つけるとにこっとほほ笑んで「ぼっちゃん」と声をかけてくれる。
「屋台を呼んだわけじゃないのね」
「ああ作っただけだ」
つぶやいたお母さんの後ろから聞こえたお父さんの声。
「夜には花火も上がるから楽しみにしとけ」
家だけじゃなく、周辺も巻き込みそうな規模だ。
「よっ! 駿、牧野のおじいちゃんの家に行ってたんだってな」
ポンと僕の髪の毛をくしゃくしゃにするあきパパ。
「金魚すくいが気に入ったんだって?」
類パパは膝を曲げて僕の前に顔を下ろす。
「金魚すくいなら俺が得意だぞ」
総パパが自信ありげな笑顔を見せる。
「俺が駿に教えるんだから横から手を出すなよな」
「司、金魚すくいやったことあるのか?」
「やったことねぇけど俺にやれないことはない」
「さすがに金魚まで司の言いなりにはならないだろうと思うけどね」
「いや、司が睨めば威圧で金魚も動けなくなるかもしれないぞ」
お父さんとパパたちがそろうとすごく楽しそうな感じになる。
「そんなことあるわけないでしょう」
おかあさんが会話の輪の中に入ってみんな優しそうな声で笑うんだ。
金魚すくいだけじゃなくヨーヨー釣りにビックリボールが水の中に浮かぶ小さなゴムプール。
輪投げまであった。
最初は見ていただけのお父さんとお母さん。
お父さんのはポトンと紙がちぎれてヨーヨーが落ちた。
お母さんは赤と青とピンク、3つもとって僕と舞と翼に一個ずつ握らせてくれた。
「今度はまけねぇ」
「下手だね」
僕はお父さんとお母さんの後ろに追いやられていた。
「子供そっちのけだな」
「デートになってねぇか」
「二人で楽しんじゃってるしね」
僕の後ろには3人のパパたちが並んでる。
「お前ら3人は俺たちが面倒見てやるよ」
翼はあきパパに肩車をされて「キャッ」と声を上げる。
舞は類パパに抱っこされてにっこりとなる。
舞のお気に入りは類パパだって知ってるのはお母さんと僕だけだ。
「駿も肩車するか?」
「僕はいいよ」
本当はやってもらいたかったけど少し恥ずかしくて総パパの言葉に照れて断った。
パパたちに教えてもらって僕は金魚を1匹すくえた。
舞と翼は途中ですくうのを諦めて、止める間もなく金魚の水槽の中に入って金魚をバシャバシャと追いかけまわす。
「こら!風邪ひくわよ」
首根っこをつかまれて吊り上げられたような状態でお母さんに怒られてちび達は静かになった。
拍手コメント返礼
たま様
夏休み編は一応狩猟ですがこれからのお話は続きますのでお楽しみに♪
きんた様
コメントありがとうございます♪
舞が成長するにつれ妄想が♪
年の差なんて大丈夫!
たぶん司以外は~。
どうなるんだろう(^_^;)
nonno様
ハイ♪金魚すくいだけでは終わりませんでした。
今はつくしと楽しんでいた方がいいかと・・・
舞の気に入りが類だと分かった瞬間は見ものでしょうね♪
しっかり考えておいしいところに種を植え付けてる私です♪