FIGHT!! 7

いよいよ入園式当日です。

あくまでも主役は駿君ですよ♪

*

駿の入園式当日。

いつにもまして屋敷内はにぎやかだ。

ブレザーに半ズボン。

英徳の制服を着こんだ駿を見て「司様のお小さい頃にそっくりだ」と涙を浮かべる運転手の里井さん。

「親子二代の入園式に運転手を務めることができるとは光栄です」と、一人で感激に浸っている。

その横で司は渋い顔を作っていた。

「坊ちゃん写真を♪」

部屋から玄関にたどり着くまでそう簡単にたどり着けそうもなく使用人たちに取り囲まれている。

タマ先輩までその中にいる。

そして司と駿を並べてその真ん中でタマ先輩が写真に納まった。

「これで思い残すことはありません」

「まだ、舞も翼もいるぞ」

司が口角をわずかにあげてフッと息を漏らす。

少し離れた場所からゆっくりとその中に私は入って行った。

司の用意してくれたワンピースにジャケットの装い。

私の首元にはダイヤの輝くネックレス。

落ち着きのある輝きはその存在を誇張することもなく上品に胸元で収まってる。

値段は・・・

聞くのはよした。

「似合ってる」

耳元でつぶやく司の声がなんとなく照れくさい。

「自分が選んだものを似合わないとは言わないわよね」

「バカ、こんな時は素直に喜べ」

言葉とは裏腹に優しい笑顔が私に向けられる。

つられるように笑顔になってコクリと私も素直に頷いた。

「駿おめでとう」

膝を曲げて駿の肩に置かれたほっそりとした手のひら。

「わざわざ入園式に帰ってくるっておふくろも暇なのか?」

「暇なわけないでしょう」

「大事な孫の晴れ姿おばあちゃまだって見たいわよね」

駿がにっこり笑ってお母様の前で「うん」とうなずく。

司も昔ほど棘のある言い方はなくなったが、お母様の機嫌を損ねないかと嫁としてはハラハラしてしまうのは仕方がない。

「ご自分の入園式、入学式は人任せで楓様がいなかったからって拗ねてるんですよ」

「本当に大人げないんだら」

「タマ!誰が拗ねてるんだ。そんなんじゃないからな」

荒げた司の声が廊下に響く。

その声にビビることなくクスクスと笑い声がどこからともなく上がった。

「朝からにぎやかだな」

美作さんは周りを魅了する微笑みを周りに向ける。

「おっ!駿かっこいいぞ」

紋付袴姿の西門さんはこれ以上に着物を着こなす人はいないというほど様になっている。

この屋敷で着物姿に違和感がないのはきっと西門さんだけだと思う。

「確かに司を思いだず」

「司ほどわがままじゃないのが尚更かわいいよな」

優しさがあふれる花沢類の笑み。

正装したF4がそろうとそこだけがスポットライトを当てたように輝きだすのは昔から変わらない。

25才を過ぎて大人の色気というか、自信にあふれる魅力は目を引くには十分すぎる感がある。

新入園の幼児席より保護者席の方が人目を引くのは間違いない。

目立つのはしょうがないと諦めてはいてもやっぱりヤダーと心が叫び声をあげた。

「なに泣きそうな顔してるんだ」

いつの間にかF4に取り囲まれてる私。

その一番近いところで司が怪訝な顔で腰をかがめて私の顔を覗き込んできた。

「駿と一緒に座りたい気分だなぁ~なんて思ってね」

「俺もそっちがいい」

そんなことができるわけがないとは分かっていて思う私も相当あきらめが悪い。

「司が傍にいたら意味ないじゃん」

「俺がいなくてもお前だけでも結構目立つと俺は思ってる」

道明寺つくしというとてつもない大きなネームバリューにはさすがになれた。

それ以外でも英徳高校で伝説化してる『F4に楯突いて道明司を虜にしった』

今となっては恥ずかしすぎる話は幼稚舎まで広がってるのだろうか。

「道明寺の御曹司の入園というだけで今年はいつもより警備が数倍厳重になってるらしいぞ」

美作さんは他人ごとのようにつぶやく。

それって私たち以外に自分たちも出席するからじゃないのか!

入園式の招待状に有名な歌手のプレミアムチケット以上の値が付いたとかの噂を玲子さんから聞かされたのは3日前だ。

私も行きたいと言い出す玲子さんに入園式には呼べなくてもパーティーには招待しますからと何とか納得してもらった。

わざわざ幼稚園の入園でパーティーを企画するのは流石だというしかない。

発起人はお母様だから楯突けるはずがなかった。

駿の入園の噂から、今回は西門さんの講演の話題が上がり道明寺司だけでなくF4がそろうという話は花火が上がるより派手に漏れてしまってたらしい。

「そろそろ時間じゃない」

花沢類が腕時計を確かめるように視線を下げる。

「もしかして・・・みんなで一緒に行くの?」

「やった!」

声を上げた駿をみんながにこっと見つめる。

「行くか」

駿を抱き上げた司が颯爽と先頭で歩き出す。

そのあとをゆっくりと進む3人。

入園式からじゃなく車を降りた瞬間から黄色い声が上がりそうだと私の口からはため息が漏れた。

拍手コメント返礼

b-moka

やはり総出演してほしいですよね。

道明寺御一行♪

いよいよ入園式です。

nonno様

喜びすぎて鼻血まで~。

出そうですよね(笑)

チケットゆずれればゆずりたい!

頭の中の妄想で我慢を~~~~~。

なおピン様

こんな豪華な入園式うらやましいですよね。

駿君はなんとも思ってないかもしれないけど・・・。

大きくなってすごかったよななんて感想を持つのかしら?

こうこう様

次の展開への期待感がひしひしと伝わってきてプレッシャーですよ~。(^_^;)

頑張ろう。