FIGHT!! 8
そろって入園式会場に向かうF4&つくしと駿君。
ド派手な入園式の幕開け?
どうなるんでしょうね。
*リムジンは俺たち6人を乗せて音も立てずに静かに進む。
都内に建つ壁に囲まれた広々とした英徳の敷地。
大学、高校、中学と建物は駿の通う幼稚舎までと円を描いて並ぶ。
高い茶色の壁は関係者以外を排除するように威圧的だ。
「誰か壁をよじ登ってるぞ」
車の窓からあきらがその方向を指さす。
「カメラを持ってる」
「あっ、警備員に取り押さえられた」
「大学の門にも張り付いてる」
「そこからじゃ幼稚舎は遠いよな」
いちいちと現場を報告するアナウンサーを想像させる総二郎と類の声。
「あれ警察?」
「いや機動隊」
「嘘ッ!」
車の窓につくしの顔面が貼りついた。
念のため手配しておきますと警視総監から連絡を受けたのは昨日の夜。
「爆弾でもしかけられたら日本の経済界は終わりです」
なんとも緊張感を漂わせる電話の向こうからの響き。
建物中をチエックして入園式の始まる直前まで警察犬まで出動してるらしかった。
官邸以上の警備体制。
つくしに言えるわけない。
幼稚舎の門が静かに左右に開く。
車は止まることもなくそのまま敷地内へと進む。
車も事前に登録したナンバーしか通行できない厳重さ。
俺たちの後ろの車は止まって車の中でも確認されている。
「入口から特別なんだ」
「当たり前だ」
つくしが今日何度目かのため息をこぼす。
「少しは楽しそうにしたらどうだ?」
「楽しみたいけど楽しめそうな気分じゃないでしょ」
窓に張り付いた顔が拗ねるような表情で俺に向けられた。
「本当なら入園式って書かれた看板の前に親子で立って記念写真とかとるものでしょ」
「そんな雰囲気全然ないし・・・」
つくしの入園式の楽しみって・・・・・それか?
門の前に立てかけられた英徳幼稚舎入園式の看板は誰にも気に留められることなく素通りされている。
あんなところに立ったら騒ぎになるのは間違いない。
さっきのカメラの奴らのいい餌食だ。
車が止まって開く後部席のドア。
最初に降りたのは総二郎。
幼稚舎の玄関ホールの入り口は子どもよりなぜか大人の姿の方が多い。
そこから「キャー」と湧き上がる声。
にっこりと笑みを浮かべる総二郎の慣れた反応に感嘆の声は大きくなる。
あきら、類と続いて降りて華やかさは数倍に膨らんだ。
「私こっちから出る」
玄関と反対側のドアを開けて慌てたように駿とつくしが飛び降りた。
追いかけるように俺も車から降りた。
車を挟んで、総二郎とあきらと類の3人が立つ。
その反対には駿を真ん中に俺とつくし。
完全に草原の真ん中に突如現れた様なミステリーサークルが出来上がっている。
しーんと静まりかえったのは一瞬で、すぐに「かわいい」「そっくり」と黄色い声の中に占める声はだんだんと大きくなる。
「駿も結構目立ってるな」
「この子・・・手を振ってるし・・・」
「なんか慣れてる・・・」
ハーと大きく息をついてうなだれるようにつくしが頭を垂れる。
「よし!」
「覚悟を決めた!」
頭をもたげて右手をキュッと握りしめてつくしがこぶしを作る。
喧嘩しに行くわけじゃねえぞ!
心の中でつぶやいて「クスッ」と俺の口元から声が漏れた。
なかなか式典まで行き着かない・・・。
拍手コメント返礼
なおピン様
ですよね。最高ですよね。
うらやましい状況なのを一番わかってないのはつくしだ~。