涙まで抱きしめたい 15

昨日は雷が鳴っていてPCの電源が入れられず・・・。

今日もいまいちぱっとしない天気が続いています。

吹き飛ばすお話になってくれるといいんですけどね♪

*

出勤時間の人ごみ。

急ぎ足で会社に向かってる。

「おはよう」と明るく葵に後ろから声をかけたのは俺達の関係を知ってる葵の同僚3人組。

「じっくり話は聞くから」

葵に囁やいてチラリと俺に注がれる視線。

ぺコリと頭を下げて、クスッと笑い合って俺たちの横を通り過ぎていく。

「もう!」

横から少し不機嫌に俺を睨む瞳。

そのまますぐにそっぽを向くと足早に歩く。

数段の階段を一気に飛び越すようにパンプスで上るやつをはじめてみた。

スリットスカートがその勢いで少し上に動く。

わずかに見える太もも。

後ろにいるのが俺でよかった。

これ以上、露出させられる訳がない。

以前なら太股の上の方まで スリットが入って、足さばきをよくした色っぽい女性が好みだったんだけど。

ほかの奴には見せたくない感情。

どこまで独り占めしたいのか。

葵を追い越すように足早に歩いてそのまま葵の手を取る。

握りしめたままの手。

きっと今の俺は誰にも見せられない甘ったるい表情と不機嫌を混ぜ合わせた顔を作ってるんじゃないだろうか。

無言のままに会社のエントランスに向かう回転ドアを押した。

「おはようございます」

足を止めて頭を下げる社員。

その視線は怪訝に俺たち二人の姿を見つめる。

俺のものだと見せつけるように葵の腰に腕を回した。

「行こう」

腰を抱かれた葵はそわそわと落ち着きない。

逃げようともがく体を逃がさないように指先に力を込めた。

歩きながらも周りを気にするように体を、首を左右後ろにと動かして葵は視線を走らせる。

戸惑っても昨日の噂が本当だと確実になってるぞ。

さっきから葵は「えっ!おっ!あっ!」短めの発音しかしてない。

重役専用のエレベーター。

早い出社時間に乗り込んでいるのは俺達二人だけ。

「なに考えてるのよ」

やっと葵がまともな言葉を発して口をとがらせてた。

そっけない態度をとって俺達のことを否定したらどんな噂が立つか考えてないのがおかしい。

自慢じゃないが今まで俺は自分の部下に手を出したことはないんだ。

「遊ばれてるとか思われたくないし思わせたくない」

「・・・だからって」

まだなにか言いたげな表情のまま伏せたまつ毛。

少し濡れてる。

「まだ覚悟できないか?」

顎に添えた指先を動かして葵の顔をそっと持ち上げる。

「好きだって思った時から覚悟はしてるけど」

そうつぶやいた唇はそのまま頑なに閉じて動かなくなった。

そのまま止まったエレベーター。

スーッと開くドア。

使えないものだ。

あと1分の時間があれば・・・。

エレベータを降りる葵を一瞬の差でつかみ損ねた。

「私、こっちだから」

エレベータの前に立ち止まる俺をそのままに右へと体を90度回転させて葵は歩き出す。

背中からもこぼれ落ちている照れてる感情。

こっちまで照れ臭くなった。

社長室で腕組みをして待ち構えていたのは一之瀬。

「早いな」

「出勤時間ですか?それとも噂の事ですか?」

余裕の表情で一之瀬はにっこりと笑みを作る。

正反対に有無を言わせない威圧的な態度に見えるのは気のせいか?

「どんな噂になってる?」

「楽しい物語が出来上がっていますけど」

「物語?」

「東条さんが社長を押し倒した話よりはましですけどね」

「これからが大変ですわねぇ」

他人事のように一之瀬がつぶやいた。

「物語ってなんだ!」

返事もせずにくるっと背中を俺に向けた一之瀬。

完全に背中が笑ってた。

拍手コメント返礼

sa*****様

この二人にも目が離せない言ってもらえるのはうれしいです。

ファンが増えて3話まで描いちゃってるんですけどね。(^_^;)

このお半紙で終わるのだろうか・・・。

く*様

気になりますよね?

私も気になる~  この物語を知った後の皆様の反応(笑)

もうしばらくお待ちを~。

no***様

>イヨッ、あきら君 お・と・こ・ま・え!!!

思わず某国営の時代劇を思いだしました。

たしかタイトルが「おとこまえ」だったと・・・(^_^;)。

つかつくと似てるようで微妙に違う初々しさありますよねこの二人。

微妙な違いを表現するのって難しいのです。

その違いに気が付いてもらえるとすごくうれしいです。

「遊ばれてるとか思われたくないし思わせたくない」

司なら「何も考えず俺について来い!」かな~。

いろんなセリフを考えてニンマリしてると子供から白い目で見られる私。

今日も気を付けないといけない日曜日です。

ゆめ***様

次気になりますよね(^_^;)

早めにUP]する予定ではいます!