涙まで抱きしめたい 17

このお話二人の恋愛から途中下車してます。

プロポーズできるのあきら君!

それまではもうしばらく時間をくださいませ~。

新しいPCブログテンプレートいかがでしょう?

スマートホンだとデザインが崩れるようです。

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ご活用を~。

*

一之瀬がツカツカとヒールの音を当ててデスクの上のPCのスイッチを入れた。

軽いリズムでキーを叩く指。

相変わらず楽しそうにほほ笑んだままの表情は変わらない一之瀬。

どうぞとでもいう様に一之瀬が俺にPCの前を譲った。

立ち上がったPCには淡いピンクの背景画面。

薄く映る柄は薔薇?

ナチョナル、ロマンチックな感じの色合い。

スクロールする画面。

恋はここから生まれた・・・

ひとまわり大きな文字で目を引く題名。

社員しか見れないはずの会社のHPには似合わないタイトル。

結婚なんて不幸な契約にサインする気はさらさらない。

長身でスタイルのいい美人と気軽に一夜を楽しめたらそれでいい。

モデル並みの容姿でほほ笑んで女性を悩殺する若き経営者。

その相手は数知れず。

数行で気が付いた。

「この主人公は俺か?」

結婚を不幸とは思ってねぇよ。

おふくろみたいなタイプは疲れると思っているが、いつかはしなきゃいけないと漠然と思っていた事柄だ。

「社員のアクセスがすくないので広報が苦労しているようでいろんな工夫をしてるみたいです」

「会社で一番の人気も注目度もあるのも社長ですから大目に見てください」

一之瀬の俺に言い聞かせるように含んだ声。

子ども扱いされてる気分。

このくらいで目くじらたてるほど軟じゃない。

事実と離れた噂には免疫がある。

「フェクションのお話が盛り上がってるようで、ノンフェクションになりそうですけどね」

先を読むように一之瀬が目くばせ。

「それでは」と頭を下げて一人部屋に残された俺。

若社長が連れ歩いていた入れ替わる数多の美女の姿を見なくなったの半年前

飛び込んだ文字に座りかけてた椅子から飛び上がるように画面に食いついた。

俺はそこまで会社で女性を連れ歩いていたことないぞ!

これじゃまるきり貞操のない女たらしじゃないか!

これは総二郎の役割だ。

それより半年前って・・・

葵と真剣に付き合いだした頃の俺。

ここだけなんで正確なんだ?

そして視線は文字を追う。

ある日の会社の昼下がり

すれ違いざまに触れ合う肩。

Tは持っていた書類を両手でギュッと抱きしめた。

触れ合ったというにはあまりにもわずかな接点。

それでもドクンと心臓が音を立てる。

「なに意識してる?」

彼女の反応を見抜いたようにMが耳元で小さく息を漏らす。

TにM。

東条に美作、誰でもわかるだろう!意味がない。

壁にTの華奢な体を押し付けるように抑え込んだ肩。

その横には部屋に通じるドア。

迷いなくMは腕をドアノブに延ばす。

ガチャッと開いたドアから誰もいない会議室へとTを押し込んだ。

「・・・仕事できなくなる」

抗うつもりでつぶやいた声は抵抗にならない甘えた声。

この先やばくないか?

似たようなことを葵が言ってたような記憶。

あれは・・・

自分の予測した通りの反応を示さない女は葵が初めてで・・・。

俺から逃げ回ってるような態度の葵に「俺に関係ないって態度を取るなら、このまま腕組んで社内を歩いてもいいぞ?」なんて脅してた過去。

「逃げる」

「俺が追いかけるって言ったら?」

「追いついたら見物人の前でそのまま抱きしめてやるよ」

今もやってることは変わり映えなし。

それに気がついて苦笑する。

「・・・仕事できなくなる」って困惑したように顔をしかめてた葵。

この場合の仕事は甘い関係に流された結果じゃなく俺との関係で仕事をやめる羽目になったら困るの意味。

小説のように色っぽい場面じゃなかった。

・・・って!

笑ってる場合じゃない。

葵がこれを読んだら発狂するぞ。

スクロールは後尾まで行って止まる。

NEXTの文字の上に移動するマウスの矢印。

クリックするかどうか迷ったのは一瞬。

この中の俺たちがどうなってるのか気になるのはしょうがない。

カチャッとクリックの音が小さく鳴って切り替わる画面。

高い位置から伸びてきたMの手は長テーブルの上に倒れかかったTの髪に触れる。

テーブルの上に押し倒されるのを防ぐようにTは両手をついて自分の体を支えた。

「困るんです」

見つめるTにMは柔らかく微笑みかけた。

「君は十分に魅了的だ」

MがTの神に触れていた手を滑らせて、その頬を包み込んだ。

Tの反論する言葉が詰まる。

これ以上触れられたら抗えなくなるとテーブルについていた腕をTは動かしてMの手首を手のひらで握った。

それは優しく包み込む程度の力の加減でしかない。

上向いた顔をさらに上げさせるのになんの抵抗にもならない。

身をかがめて近づく顔は燃えるような熱い瞳と生まれてから一度も見たことがないと思う整った顔立ちに目を奪われて、苦しいほどのどをそらせた姿勢のままTは息を止めた。

唇が触れる瞬間にため息をつくようにMが呟く。

「愛してる」

「えっ・・・でも・・・」

問いただそうとした唇がMの唇でふさがれた。

覆いかぶさるように動いたMの体はTの自由を確実に奪っていく。

深く合わせられた唇から熱い吐息が漏れる。

嫌だと言おうとして開いた唇からMの舌が入りこんでくる。

いつの間にか開かれたシャツの襟元。

合間から差し入れられる指先がブラの上からふくらみをなぞる。

「あっ・・・」とされるがままのTが苦しい息をついた。

この先を読でも大丈夫か?

つーかやばくないか?

これ読んで楽しんでる社員はどのくらいだ?

文章自体は興味本位のアダルトというよりは綺麗に出来上がってる感がある。

男性より女性向きの文体。

大富豪とか、皇族と恋愛ロマンス。

あと社長と秘書の関係の社内ロマンス。

相手は一般家庭の女性がほとんどでシンデレラ物語が底辺で見え隠れする。

ツンデレ気味の傲慢なタイプの男たちが物語の中で恋をする。

よく知ってるよな俺。

男性アイドルグループに男装した女の子との恋愛ドラマも流行っていたはず。

男性数人の中の女性一人。

俺たちと牧野。

リーダーの司と相思相愛になったのも似てるよな。

女性の中に女装の男子。

これで恋は生まれるのだろうか?

ネタを提供したら俺が女装させられる!

女性は葵に一之瀬、秘書課の4人。

女装の俺が葵を押し倒す。

おもしろくない。

数日前に受けた対談『最近の恋愛事情、一押しの恋愛小説』

「似たような話の体験はないですか?」

そう俺に振った女性のアナウンサー。

「物語の様にはいきませんよ」

にっこり微笑んだ脳裡の裏でプロポーズを断り続けられてる俺が浮かぶ。

本当に物語どうりにはいかないものだ。

情事の描写はそのまま画面の中で続いてる。

俺たちがモデルになって出来上がってる小説。

笑い飛ばして見なかったことにするには葵は初心すぎだ。

葵は知ってるのだろうか?

俺の妹たちだってこのくらいは読んでいそうだ。

そう思いながら画面から外す視線。

見たい気持ちと幻想だと無視したい感情。

俺たちのことが書いてあると思うから笑えないんだ。

これは俺たちの事じゃない。

会社で葵を抱く必要はない。

こんなにスムーズに行ったら苦労しない。

小説の中の俺がうらやましくなった。

このお話の続きは~

とても書けません!

きっと二人は見たくないと思いながら見てるんだろうなぁ・・・

遊んでごめん!(笑)

拍手コメント返礼

ゆめ***様

こんなお話の展開は想像してませんでした(^_^;)

書きながらの流れで思いついた小説の中の小説。

面白×2とコメントいただけてうれしいです。