思い出は夢の中で 9
書き出した時はどうやって初恋奪回作戦を発動するかそればかり考えておりました。
それがコンドーさん争奪の巻きになってバイト編へ流れてます。
どうすればそう続く?
このお話まとまるのかしら?
*「違う!」
睨まない!
すごまない!
怒鳴らない!
絨毯の上に座り込んで見詰め合ったまま30分は過ぎた。
「いらっしゃいませ」
それが言えずに時間だけが過ぎる。
「バイトくらい訳もねぇ」
そこから始まったシュミレーション。
私が客に扮してソファーに座る。
テーブルの横に立つ道明寺。
「まず最初は?」
「あ?」
「ウェイター!」
何すんだみたいな顔で目を見開く。
たぶんそれだけで目の前の女の子はポ~となるだろう。
「席に案内して、水を持って行って、 注文をとって、料理を運ぶ!それが仕事でしょう」
道明寺が黙って突っ立ったままじゃそこから絶対時間は流れない。
きっと彼女たちは見とれたままの状況でも十分楽しめるはずだ。
「いらっしゃいませとにっこりね」
「いらっしゃい・・・」
続けること10分。
口角が上がったまま戻らない口元。
いらっしゃいませに上乗せされる横柄さ。
「もっ!」
ソファーから立ち上がりそのまま絨毯に座り込んだ。
「あーーー笑えねぇーーーッ」
最初に音を上げたのは道明寺。
やっぱり無理だ。
厨房に隠してもらおう。
お皿を洗ったりコーヒーを入れる道明寺。
お皿に盛り付け?
割れた皿に残飯が増えそうだ。
バイト・・・
私だけって無理かなぁ・・・。
西田さんは本気でさせるつもりか?
ライオンが優しくウサギを誘導して歩くまでの遠い道のり。
猛獣使いでも無理だと思う光景。
道明寺にサービス業は無理だ。
せめて人間相手じゃないバイトを選んでくれればよかったのにッ。
現場作業とか、清掃とかの重労働!
そっちの方が体力的には合格なはず。
私の精神面もそっちの方が助かったと思えるのは微妙だけど。
「もう・・・寝る」
頭が痛くなった。
すくっと立って道明寺の前を横切る。
「おい、どうすんだ?」
「ん?」
「これ?」
道明寺が指さしたのは長方形のパッケージ。
テーブルの上に数個ポツンと立てて並んでる。
さっきコップに見立てて置いた箱。
「いらっしゃいませ」と頭を下げて道明寺の前にコップのつもりでポンと私が置いたのだった。
手っ取り早くやってしまった。
「あっ・・・」
その時は意識してなかったが、ズームで私の目に飛び込んできたのは超薄型の文字。
まともに見ると恥ずかしすぎる長い風船の先端によく似た図柄は60度で斜めで立って存在感を示してる。
ついでににっこりと笑った目と口が付いている。
パワーアップってその下に解説付き。
そんな効用があるの?
何のパワーだぁぁぁぁぁぁぁ~
うっ・・・
私の考えをばらす様に体中が熱くなる。
なにも縦に立てなくても良かったのに。
立てているから尚更リアルに迫ってくる。
横に置いたらまだマシだった気がした。
クッと唇を噛んで道明寺を見つめる。
きっと、いまの私は、涙がこぼれだす手前まで来てる。
せっかく俺様が買ってきたんだ!
無駄にするなと怪しく道明寺の瞳が輝いた。
「すげーつかれた」
「・・・それなら早く寝よッ・・・」
「俺を一人で寝せる気じゃねえよな?」
ゆっくりと立ち上がった道明寺の一歩に後ろに足を引く。
ガタッ!
安易に壁に追い込まれてしまった。
壁に押し付けられて身動きできない身体。
頬に触れる熱い息。
「幸せを感じたら笑えそうなんだけど」
ズルくつぶやいた口元は不敵な笑いを作る。
優しく微笑みかけなくてもそれだけでドクンとなる高鳴る思い。
この顔が一番道明寺らしい。
我儘で横暴で傲慢で自己中で・・・
その奥に見える優しさにたまらなく触れたくなる。
「明日は早いんだからね」
漏れた声は道明寺を受け入れてしまってる。
私の顎をゆっくりと道明寺の細い指先が持ち上げた。
わずかに顔を傾けて近づいた整った顔立ちが瞼を伏せた。
きりっとした眉にスッと伸びた鼻筋。
閉じても目の大きさを表すまつ毛の長さ。
そのまつ毛がわずかに震えてる。
鼻先が頬に触れた瞬間に私は目を閉じる。
唇がゆっくりと重なった。
コンちゃんの活躍があったのかなかったのかはご想像で~♪
このお話の司目線は つかつく24 『その気、何の気?気になる気』でどうぞ~
拍手コメント返礼
Gods&Death様
あっちもこっちも気になりますよね(笑)
司のバイト・・・
接客出来るのでしょうか~(^_^;)
no***様
バイト無理です!みんな即答ですよね。(笑9
それなのに♪あ~それなのに♪
なぜこの設定♪
それはリクエストがあったから♪
大量のアレ・・・
どうなったんでしょうね?
もちろん使えないサイズもあるだろうから・・・全部は無理か(^_^;)