星を掴むその日まで 1
このお話はめちゃぶりなキリ番リクエストにお応えしたものです。
天河といいこのお話といい私を泣かせますね。
けい様!(笑)← それを喜んでる節がある私
3回目のキリ番1000000リクエスト遅くなりましたが今日から連載開始です。
新人秘書西田さんの奮闘記!
いや恋バナでしたっけ?
次回は短編で終わりそうなお話のリクエストでお願いします。
2000000を狙ってるけい様にお願い♪
*「西田、今日のこのスケジュールならもう一つ契約が片づけられたはずよね」
屋敷に送り届けてすぐに向けられる鋭い視線と冷ややかな口調。
ここしばらくの多忙さから体を休める必要性を感じた私の気遣い。
いつもより早めの帰宅。
それは必要ないと簡単にたしなめられた。
回りくどい言い方が代表の一つの特徴。
その意味を瞬時に感じなければすぐに秘書から外される。
「申し訳ありません」
頭を下げる角度は30度。
入社3年目での秘書課への異動は大抜擢だった。
なんの成果も実績もない平社員。
それが道明寺のTOPのそばでその仕事を管理する代表の秘書。
数段飛び越した出世と言っても過言じゃない。
「今は経理削減より安全性を取るべきです」
事業の拡大へ向けての出資の調整。
会議で上司と言い合っていた私の意見は道明寺楓代表の鶴の一声で採用された。
次に発表された人事で一番の注目を浴びたのは予想外の出来事だった。
この人事の異動が私に幸運をもたらしたのか不幸の始まりかは今のところ評価はできていない。
あれから一年、いまだに叱咤の声しか楓様から聞いたことがないが、同じ指摘を受けたことはないと自負している。
「明日は9時にお迎えに上がります」
10時と言いかけた時間を早めて言ったのは今日の指摘を2度と繰り返さないため。
失礼しますと部屋を出たのは夜の8時が回っていた。
いつもよりは早い時間に帰宅できそうだと時計を眺めながら階段を下りる。
「きゃー危ない!」
最後の1段を降りた時に聞こえた声。
振り返った私にドンとした衝撃。
その声の主を抱きしめたまんま床の上にしりもちをついた。
一体なんだ?
「すいません」
倒れた私を跨いだまま座り込んだ若い女性は目の前で手を合わせて私を拝む。
「どいてもらった方が謝るよりこの場合は優先されるべきです」
「キャーッ」
二度目に聞いた叫び声と同時に体の重みがようやく外れた。
「西田邪魔するなッ」
傍で両手を腰に当てふんぞり返る坊ちゃん。
5歳の反逆児と心の中で呼んでいる。
立ち上がりスーツを数度手のひらで払う。
掃除の行き届いたこの屋敷の廊下で大の字に寝ても付く埃があるわけはない。
「これは坊ちゃんの仕業ですか?」
きっと我儘な要求をこの使用人にしたに違いない。
夕食を食べない。
風呂に入らない。
この辺で新人の対応を見るのは初級。
わざと割れやすいツボを作って使用人に触らせ落とさせて「お前の給料じゃ払えないぞ」
そう脅しているのを見たのは1か月前の出来事だ。
初めて見る顔の女性。
肌の艶にハリは10代後半か?
目鼻立ちの整った上品な顔立ち。
手すりをすべる芸当がなければそれなりに評価したはずだ。
「坊ちゃんあんまり悪戯が過ぎるとこのタマが許しませんよ」
後ろから音もなくぬっと現れたのはこの屋敷の使用人頭のタマ・・・先輩。
「先輩とお呼び」
はじめてあいさつした時にそう告げられた。
坊ちゃんをおとなしくさせる唯一の存在で皆に一目置かれてる存在だ。
「坊ちゃん行きましょう」
「稲美、遊ばれるんじゃないよ」
坊ちゃんの手を引きながら稲美と呼ばれた女性は頭を何度も下げながら廊下の奥へと消えて行った。
「初めて見る顔ですね」
「奥様が仕事関係の遠方の御嬢さんを預かったんだよ」
「花嫁修業をさせてくださいってね」
「結婚相手も決まってるらしい」
手を出すんじゃないよと無言の視線を向けてにっこりとタマ先輩が笑う。
私が?
女性に?
それも仕事つながりのある会社の令嬢。
なんの心配があるのだろうか。
くすっと笑って自分の足元に視線を移す。
ライトに照らされて床が銀色に反射してるのに気がついた。
腰を折って拾い上げて手にしたのは銀の鎖につながれたロケットペンダント。
あの子が落としたものか・・・
タマ先輩に渡そうと振り返ったがその姿はなかった。
なぜすぐに追いかけなかったのか・・・
分からないままそのペンダントをスーツのポケットにしまい込んだ。
拍手コメント返礼
b-moka様
西田さんの若い頃のお話までリクエストが来るとは思っていませんでした。
これも西田さん日記の反響だと思います。
どんどん西田さんの存在が大きくなります。
ここまで活躍する西田さんは今までに描かれているのでしょうか?
うちくらいかなぁ~。
ソフィ様
掘り下げるとどこまで行くでしょうか?
そこが面白いと思うんですよね。
つかつくから離れてるし・・・。
このお半紙ではちびF4は登場してもつくしが登場する状況はないわけで・・・(^_^;)
少し寂しいような~ついでにちびつくしも無理やりに~。
ゆげ様
拍手コメントありがとうございます。
西田さんの若かりし頃は未知数ですがこのお話もお気に入りに加えていただけるように頑張ります!