秘書西田の坊ちゃん観察日記30 ~着ぐるみより愛をこめて~
この物語は「LOVE AND PEACE 20」の番外編となります。
西田さんの着ぐるみでの視線のお話への拍手とリクエストありがとうございました。
今回の題名の提供はち**様で~す。
さっそく拝借♪
*暑い・・・
流れ落ちる汗をくい止めるため髪は白いタオルで覆い着ぐるみの頭を付ける。
就職して20数年、こんなところで学生時代のバイトが役に立つとは思いもしなかった。
その時はウルトラマンが私の割り当てられた着ぐるみ。
キックに投げ技を練習したものだ。
あのころの若さ体力は衰えているから優しい動きのこのネズミは助かる。
ネズミじゃなかったミッ●ーにミ●ィー。
少しでも着ぐるみになりきろうと頑張るのは自分でもまじめすぎると思いますが、手を抜けない性格はどうにもなりません。
ゆっくりと警戒しながら私に近づく子供たちに着ぐるみの腰のあたりで手を振る。
坊ちゃんより子供の人気者になってしまった。
あの坊ちゃんのドロドロとした人を寄せ付けないオーラが着ぐるみに完全にまとわりつていたら大人も警戒をするに決まってます。
視野の狭くなった穴からも坊ちゃんの様子を見逃さない様に注意を払う。
「ほら、あそこにミ●ィーがいるんだけど・・・」
気になるような表情をつくし様から向けられる。
「道明寺はここにいる訳だから、どうなってるの?」
そして司様と私を交互に見詰めてもう一度視線が私で止まった。
「あぁ、あの中は西田」
いたずらっぽい顔を作る坊ちゃん。
「西田?西田って、まさか!あの西田さん!?」
「おもしろいだろう。俺がやれって言ったんだ」
そうです。
あなたに命令されたんです。
中年のおじさんの体力も考えていただきたい。
1時間が限度。
「クスッ」
つくし様からの笑い声が伝染するように一際輝く男性4人の間にも流れる。
優しく暖かなオーラに包まれて人目を引く。
その時つくし様に近づく一人の男性。
坊ちゃんの眉が警戒するようにピクリと動いた。
ゆっくり背後から着ぐるみのまま近づく。
「ぼっちゃん」
少し音色を落としたままの坊ちゃんの行動を抑制するために発した声。
「おーッ、ビックリした」
振り返った坊ちゃんは言葉とは裏腹に、にやりとした表情を浮かべる。
「心配するな。しっかりこいつの役目はわかってるから」
「しかし、西田は何でもで来るんだな」
周りの視線が『西田』に、反応してぎょっとなったように私を見つめる。
その顔は私もよく知っている仕事関連の重役たち。
「仕返しですか?」
久しぶりに坊ちゃんを恨みたくなる気持ちのままつぶやく。
「やられっぱなしじゃ面白くねぇだろう」
突然明るくなる目の前。
クーラーの冷たい風が肌にあたって気持ちいい。
そう思ったのは一瞬だけ。
「西田さん?」
ちがう声色が連鎖するように周りから上がる。
「失礼しました」
表情を変えないまま坊ちゃんの手から着ぐるみの頭を取って頭にかぶせた。
拍手コメント返礼
なおピン様
久々に続けての西田さん日記でした。
書き出すと止まらなくなるときあるんですよね。
好きといってもらえるとなおさらで♪
実直な西田さん。坊ちゃんのためには何でもやります!
そんな感じですよね。
ののちゃ様
昔も着ぐるみ経験積みというのが面白いんじゃないかと思って、何を着せよう~
意外な取り合わせがおもしろいとつい想像してしまうんですよね。