君じゃなきゃダメなんだ 3
清清しい秋の青空。
きっとこの二人もすがすがしい朝を迎えたことでしょう♪
だったらいいな~。
*うつぶせで預けられた身体。
規則的にこぼれる息は暖かく胸元に触れる。
シーツからはみ出して見える白い背中に残る赤い痕。
カーテンからわずかにこぼれて目元を照らす光を嫌がるように葵の手のひらが動いて遮った。
いつもより狭いセミダブルのベット。
それでも互いの体温を感じるには広すぎると抱き寄せる。
「・・・んッ」
「起きた?」
指の隙間から覗き込む瞳は眩しそうに俺を見つめる。
恥ずかしそうに染まった目元を隠すように葵がシーツの中に潜り込んだ。
今さらなんに照れてるのか。
愛情と欲情と絡み合って、労りよも優しさよりも俺に溺れさせたいと思って抱いた夜。
「・・・もう、許し・・て・・・」
途切れる息の中で葵のつぶやいた声は今もなまめかしく俺の身体に残る。
「キャッ」
シーツをはぎ取ってそのまま体を抱き寄せた。
「どうした?」
「なんだか、顔がまともに見れない」
はじめて葵を抱いた時と同じ恥じらいを見せられた。
俺の方がどう反応していいかわからなくなる。
葵に脱がされた俺の服は床に放り投げられたまま。
夜の積極さはどこかに隠れてしまってる。
俺がせがんでやらせたんだけど、従順で覚え込みが良くて時々俺を焦らせる。
「俺から離れられないって思わせるって言ったよな?」
「・・・それは分かってるけど・・」
胸元からわずかに見あげる視線は困った表情を作った。
「シャワー浴びてくる」
「じゃあ、俺も一緒に」
照れたままの葵をからかう俺の声。
「シャワーを浴びるだけじゃ済まなくなる」
そのまま一人で葵は逃げるように部屋を出て行った。
片膝をついてベットに起き上がってクスッと零れる笑み。
開いたカーテンの先には雲一つない青い空が広がる、日曜の朝。
休日の時間をどう過ごそう。
このまま1日中ベットの中だというのもありだと思う。
そういえば婚約指輪もまだ買ってない。
抜けてるよな。
プロポーズしようと思った時点で準備しなきゃいけないものだ。
この外れた調子の悪さはどこまで続くのか。
このままではダメだと自分に発破をかけながらリビングにでた。
リビングのテレビから聞こえる音。
「・・・すごい」
呟いたままテレビの前で立ちつくしてる葵。
画面一杯に映し出されてるのは司の満面の笑み。
「わたくし、道明寺司は、来年の春、正式に結婚することにしました」
壇上に用意されたグレーの革張りのシングルソファーに座る堂々とした姿。
いくつものフラッシュがたかれる熱気を帯びた会場。
牧野との結婚を発表をするとは聞いていたが相変わらず派手な奴。
それでなくても週刊誌でスクープされていたから時間の問題と言えば問題だったんだけど。
「これって、相手はつくしちゃんだよね?」
葵と同様に事前に何も知らされてない牧野も驚いてるはずだ。
牧野がハトが豆鉄砲を食らったような表情を浮かべてることは安易に想像できる。
婚約者の写真でラーメンを口に詰め込んだのを映し出されたらその顔はもっと面食らうだろう。
類に総二郎に俺の3人は冗談であの写真を1枚選んだけど、司は満足そうにそれに決めた。
UPで司の後ろの巨大スクリーンに映し出された写真は牧野じゃなくても恥ずかしいと卒倒する写真。
「ブファー」と大きな笑いに包まれる会場。
本当にこの写真を使うとは思わなかった。
ごめん牧野。
司の性格を考慮してなかった。
でもすーげーインパクトはあるぞ。
きっと今までもこれから先もこんな飾り気の全くない写真を使われる女性はいないはずだ。
慰めになんねぇよな。
俺たちはきっと牧野に一生恨まれる。
「・・・ねぇ」
「んっ?」
笑いを押し殺して振り向いて葵を見る。
「こんなに派手なの?」
それは私たちも?とでもいうような困惑の色あいを乗せている。
「道明寺は世界でも有数の資産家だからな」
それにあいつは派手目が好きなタイプだ。
俺はそこまで派手にやるつもりはない。
「美作だって似たようなものでしょう」
泣きそうな顔で葵が叫んだ。
だから!
俺は司ほど派手好きじゃない!
せっかくの甘い雰囲気を司に壊された。
こんなとこで出てきて邪魔するなッ!
久々にFのお話につながる設定。
ここで司の婚約会見を見せられたら・・・!(^^)!
葵の性格なら「私も~」なんて絶対なりませんよね。
写真を決めるまでのFの会話は『ある日の一コマ』でお楽しみを~
拍手コメント返礼
no***様
すいません(^_^;)。二人の夜はご想像にお任せします。
週末は周りの目があるもので・・・
二人で指輪でも買って~の予定は間の悪い司の婚約発表でどうなるの~。
葵ちゃんついていけるでしょうか?
ゆめおばこ様
葵ちゃんつくしにお祝い言えるでしょうか?
それより自分のことでいっぱいいっぱいかも~。
b-moka様
いらっしゃいませ~
お待ちしておりました♪
コンド~さんのお話は笑ってくださいませ~。
お話もサクサクと更新していきます。
ゆり*様
あきら&葵も声援をいただいて続いています。
うれしい限りで♪
お子さんが横から!
キャー大丈夫かときょろきょろ
私がきょろきょろしてどうするッ!