君じゃなきゃダメなんだ 10

12月も残り半月。

早いな~。

まだ正月を迎える準備ができてません。

その前にクリスマスもやってくる。

楽しみにしてるのは子供だけ。

はぁ・・・。

あきら君のため息も聞こえてきそうな展開になってるかどうかは続きでお楽しみを~。

*

オイダサレタ・・・。

「女の子でだけで話すんだから!」

葵はもう女の子の分類には入んないだろう。

なぜかその中にはおふくろも参加して妹たちと機嫌よく相槌を打つ。

なにが、「ネッ」だ!

葵の困ったような表情。

それでも俺に向けた視線は大丈夫だからと伝えてくる。

俺の方が大丈夫じゃない。

俺はこの家に恋愛関係の女性を連れてきたのは葵以外にない。

それでも女性が変わるたびに妹には嗅ぎ取られた。

「今度はシトラスの香りなんだ」

「昨日の香りとは違うんだ」

小学生でも女性は敏感だ。

葵も移り香とか気がつくのかな?

付き合いだして葵以外の女性をそばに置いたのは仕事がらみ以外はない。

思わず両腕に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。

あどけない中学生を相手にしてると思ったら大変だぞ。

「久しぶりにわたしに付き合え」

妹達の部屋に貼りつきそうな俺の腕を取ったのは数か月ぶりに話した父親。

「身辺整理しておけ。結婚相手を決めたから」の命令口調。

「今まで好きにやらせていたのだから十分だろう」

威圧的に俺を黙らせた。

おふくろや妹たちの前でもその態度見せてほしいものだ。

葵と知り合って数か月後の「俺のおかげだろ」って、目の前の父親は目じりを下げる。

父親とグラスを交えても落ち着かない。

そわそわと椅子から腰が浮き上がる。

「そんなに心配か?」

「・・・別に」

両手の掌で覆ったグラスに視線を落として息を一つ吐く。

クスッと笑う口元を隠す様に父親の指先は上唇を静かになぞった。

「楽しそうですね」

「お前も楽しそうにしたらどうだ。結婚相手を紹介するために来たのだろ」

「反対するつもりもないのに」

「父さんが進めた相手ですよ。反対されるなんて思ってません」

少し冷めた低音の声。

父親に反抗する感情は久しぶりだ。

「絵夢、芽夢も親以上におにいちゃまのことは知ってるからな・・・」

間延びするような口調で父親がつぶやく。

完璧に俺の腰が椅子から浮き上がった。

「飲み物でも持っていってやるか?」

面白そうに父親は遠慮なく笑い声を上げる。

その声を背中に感じながら俺はらせん階段を2階へと駆け上る。

貼りついて声が漏れ聞こえる様な安い造りはしてない部屋。

それなのに片方の耳をドアに押し当てて聞き耳を立てる。

かすかに感じたのは人の気配だけ。

取り返す。

そんな気分でトントンとノックをして返事も聞かずにドアノブを回す。

「おい」

開いた先の4人は顔を見合わせて黙り込む。

そしてすぐに上がる笑い声。

「5分で来ちゃったわ」

絵夢がつまらないと口をとがらせる。

「10分くらいはもつんじゃないっかって賭けてたのにッ」

芽夢から悔しそうに俺は睨まれた。

「あなた達がいつもあきら君のデートの邪魔してたからでしょう」

それ・・・

今日一番の爆弾発言のような気がする。

葵の感情が気になって仕方ないのに躊躇する心。

視線が定まらない。

「思ったより仲がいいじゃん」

両腕をまきつけて左右に抱き寄せたのは双子たち。

一番触れたいモノは手を出せずにいる。

「絵夢、芽夢だけズルい」

無防備に開いた胸の中に母親まで飛び込んできた。

「葵ちゃんもどう?」

母親が無邪気に振りかえって葵を誘う。

この状態で葵を抱き込むスペースがある訳がないだろうッ。

苦笑気味に葵に向けた視線。

「私はいいですから」

早口のまましゃべって葵は首を振る。

どう反応していいかわからずに葵は戸惑ってる。

「葵を抱きしめるなら俺は身体全部で抱きしめるから」

「もう、あきら君たら」

葵より母親の方が照れくさそうな表情を作った。

妹達の逆襲もなくスンなりと進んだ葵の紹介。

「疲れた・・・・・」

車のシートにぐったりと体を沈めた葵。

「お人形みたいでかわいいよね」

妹?おふくろ?どっちとは聞けない。

「これで、結婚に進めるよな?」

「う~ん」

そこで考え込まれるってなに?

「コレ、もらったんだけど」

「ん?」

やけに分厚い封筒。

写真・・・。

中学生の俺?

葵は俺の子どもの頃の写真を見て楽しんでる雰囲気じゃない。

少し棘のある投げやりな態度で渡された写真。

一枚の自分の写真を見てそれを軽く後ろの写真の下に回した。

次に出てきたのは見覚えのある若い女性。

誰だっけ?

記憶の断片をつなぎ合わせて声を上げそうになった。

中学の時の家庭教師。

数枚をさっと見た後は見るのが怖くなって封筒の中に写真を戻した。

あいつらなんで知ってるんだ!

俺と関係があった女性達。

最初の家庭教師はあいつらがまだヨチヨチ歩きだった頃だぞ。

葵は車の窓に顔を向けたまま黙り込んでしまってる。

読めない表情。

不機嫌!

怒ってる!

呆れてる!

諦めた!

詰られた方が言い訳しやすい。

絵夢!

芽夢!

爆弾大き過ぎだッ。

ドS 倶楽部の発動があきら君に移動中?

最近司君はいい目を見てますからねぇ。(笑)

拍手コメント返礼

b-moka

おはようございます。

今日は今年初でストーブを点火しました。

やっと冬らしさが到来って感じです。

ドS倶楽部は移動してます。(笑)

どこかで稼働中っていったいどんだけ好きなんだか~。

ゆめ***様

ここまでうまく運んでいきなりの爆弾投下。

嵐にもなりますよね。

木枯らしくらいで済めばいいけど(^_^;)

han****様

お疲れ様です。

今日は日本列島一段と冷え込むようですね。

我が家でも「お母さんはいいな~」という目で子供が学校に向かってます。(^_^;)

来週いけば冬休みだ~~~~~。

写真何人なんでしょう?

そっちの方が気になったりして~。

葵はしっかりチエックしたのでしょうか?

ゆげ様

美作家であきらの情報網をしっかり持ってるのはパパさんの言うとおり双子たちだったという結果ですね。

ここからどう立て直すのでしょうか。あきら君♪