春光の遥か 8

すっかり更新が遅くなりました。

1か月以上のほったらかしでした(^_^;)

総ちゃんからつかつくに移行したまま本来の主人公に話を戻すことを忘れてました。

以前のお話は忘れちゃってますよね?

そんな感じでしょうが続きです。

*

「ごめんなさい、結衣が見つからないの」

彼女は窮屈そうに長い脚の膝を折り正座をして頭を畳に擦り付けた。

少し薄めの茶色の髪の毛は金色に輝いて雰囲気が変わってる。

「君・・・金髪だったんだ」

上げた瞳も黒色からブルー変貌。

「目立つとダメって結衣が言ったの」

気まずそうに伏せたまつ毛。

憂いを帯びたような表情は彫の深い顔の陰影を浮かび上がらせて西洋の美を輝かせる。

「それで髪の色も瞳の色まで変えたのか?」

コクリとうなずいて瞬きもせずに青い目が俺を見つめる。

髪の色や瞳の色を変えても彼女の華やかな容貌の輝きをなくすのは無理だと思える。

多民族国家のアメリカと違って日本でどれだけ人目を引くかわかってない無頓着さ。

確かに今の姿の方が視線は倍増するだろう。

言われた通りに変装する無邪気さ。

人が良すぎだ。

目立たないって理由は理由にならない。

きっとほかに目論見があったはずだ。

金髪のまま彼女が現れたら俺は置き去りの赤ん坊と関係あるって思わなかった。

赤ん坊の母親だと勘違いしたから家の中に招き入れた。

彼女を子供の母親と勘違いさせたかった。

そう考えた方がしっくりといく。

最初から胡散臭いと思った話はますます胡散臭くなっている。

「結衣が私に嘘をついていることはわかったから」

「分かったって?」

「大学にもアパートにもいないし携帯もつながらない」

「子供を置き去りにいなくなるなんて信じられない」

俺に初対面で向けられた怒りは結衣って子に移動したようだ。

感情表現の素直な性格らしい。

俺を父親だと告げられれば疑いもせずに俺の前に現れる。

大体頼まれたからって母親じゃなく彼女が俺に会いに来る事態がおかしな話だ。

子どもを置いてきた自分が迎えに行くのは気が引けるとか大事な用事で身動きが取れないって説明で納得できる単純さ。

「それじゃ私が文句を言って子どもを取り返す」

啖呵を切って言い出しそうなのは牧野だけかと思ってた。

人を疑うことを知らない彼女が利用されたって考える方が筋が通る。

じゃあ、俺は?

何のために?

子どもの父親に仕立てる必要性が皆目わからない。

すぐにばれる様な偽装。

すぐにはばれていないか・・・。

俺の家族はいまだに俺の子だと思ってる。

仕返しか?俺に?

女性関係で恨まれるのは女性だけとは限らない。

彼女を俺に取られた男の復讐。

これでモテなくなるとか?

幼稚すぎる。

派手に書かれた週刊誌も用意周到。

騒ぎを大きくしたい根端が見える。

今のところ実害がある訳じゃない。

親父がもってきた見合いの話が先方から断られたのだから俺として利を得たことになる。

もともとジュリアだけに結衣って子を探せているわけじゃない。

しっかり手は打ってる。

西門総二郎を甘く見るな。

俺だけじゃなく警察も陰で動かすことのできる司。

裏社会にも詳しいあきら。

類も商社の力で情報の収集には当たってくれたるはずだ。

どこに隠れてもいぶり出すのは時間の問題。

「君が謝らなくても大丈夫だから」

女性を不安にさせるのは俺の性分じゃない。

自然に慰める様に肩に置いた掌。

驚くようにピクリと揺れる細い肩。

瞬きをして怪訝な表情が俺を見つめてる。

大きく見開いた瞳は深いブルー。

引き込まれそうな瞳。

鮮やかな蒼に魅入られそうになる。

このタイプには慣れてない。

今までのパターンから行けば・・・

軽くキスの一つでの落として「すぐに見つけられる」と背中を優しく抱きしめる。

襟足に顔をうずめて身体をすべて預けて投げ出してくる女性を待つだけ。

それが・・・

頬を染めるとかドキッとする感情は見当たらなくて

何って?表情だけが俺を捉えてる。

俺を目の前にきょとんとしたまんまの無邪気さ。

振り向かせたいって思ったのは俺の自尊心。

胡散臭い事件の事は一瞬忘れてしまってた。

拍手コメント返礼

ゆげ様

おはようございます。

こちらこそいつも拍手コメントをいただき楽しく読ませてもらってます。

確かに総二郎は冷めた感じありますよね。

こと恋愛に関しては司より俺様かも♪

司とあきらとは違う反応を考えてるんですけど、きっとあの二人ほどでれ~とはならないようなタイプだと分析してます。

オトナのうさぎがわかるようになった舞に翻弄される司。

Upできるのは来年かなぁ。