ソラノカナタ 25

いよいよ日本上陸!

最大の危機が訪れる!

って・・・誰の事♪

PWに関するお知らせ。

東山様たびたびのご連絡申し訳ありません。

PCとスマフォからもメールを送ったのですがやっぱりエラーになっちゃいました。

*

「いらっしゃいませ」

玄関から1歩入ったその先で三つ指をついて廊下に頭を擦り付けてる3人衆。

それも横並びに一列で座るには幅のたらない狭い廊下。

キュウキュウにせっついてる肩。

真ん中のパパが数センチ前に押し出されている。

「なにやってるの?」

「なにって、お出迎え」

すくっと頭を上げてママがほほ笑んだ。

「気を使わないでいただけますか」

後ろについてきたアルが大衆向けのする満面の笑みを浮かべてる。

我が家の玄関は上質な人物を出迎えるには狭すぎて、ただ靴を脱ぐためだけに存在する。

リビングとをつなぐ短めの廊下から数センチ下がった冷たいセメント質の広さは縦横1mにも満たない。

玄関のドアを閉めた拍子に私の背中にアルが身体が密着してる。

くっつくなって言えないつらさ。

アルの言葉に3人同時に立ち上がる。

「肩が抜けない」

その拍子に私の前に押し出されるパパ。

男二人にサンドイッチ状態になった。

「ギャッー」

「ごめん、つくし」

謝りながら狼狽えてるパパ。

「いいけど・・・」

クツクツと後ろで笑いをこらえるアル。

我が家の印象はきっと最悪だ。

「どうぞ、あっ、靴は脱いでね」

部屋に行くように進めてアルに一言付け加える。

道明寺も一番最初は土足でツカツカと畳の上を歩いてきたんだからッ。

私の前を通り抜けパパに案内されてアルが前を歩く。

「道明寺さんとは違ったカッコよさだね」

何気にママがはしゃいだ声を上げた。

「なに、道明寺と比べてんのよ」

ママの脇を突くように肘を付く。

「綺麗なものを見ると若返るわ」

「うちの男どもは2人ともくたびれてるしね」

確かに並んでみるには忍びない。

おなかのぽっちゃり出てる寸胴のパパ。

進はパパ似の人のよさそうな表情でアルを尊敬のまなざしで眺めてる。

王子の単語に弱いのはママだけじゃないらしい。

和室のこたつの前に座らされてるアル。

きっと長めの脚はこたつに中に窮屈そうに曲げられてるんだと想像がつく。

二つ折りに膝を曲げてるって言うより三つ折りくらいになってそうだ。

それじゃ、足が折れるつーの。

こたつに入った3人はそのまま言葉を発せずアルをじっと見つめてる。

この無言の空間はなんだ?

「やけにおとなしくない?」

「だって、僕、日本語以外しゃべれないし」

「アルは日本語ペラペラなのッ。さっき、日本語でしゃべったでしょうッ」

「なんだ~」

間延びした進の声にパパとママからホッとしたため息が混じる。

「世話をかけるがよろしく頼む」

凛としたアルの声。

ははぁッて慌ててこたつから出て畳に頭を擦り付けてるパパとママ。

昔見た時代劇の終わりの場面。

お忍びのお殿様に助けられた農民親子。

委縮し過ぎでしょッ。

我が親ながらブランドに弱いんだから。

悪代官は誰になる?

なんて馬鹿なこと考えてた。

「日本の家って狭いって聞いてたけど・・・」

見渡すには1秒もかからない速さでクルッと部屋を見渡してアルがつぶやいた。

「トイレより狭いって言わなくても分かってるから」

「確かに言われれば」

そう言ってアルは楽しそうに笑う。

「狭い部屋もいいと思う」

「いいって、ここが?」

意外な反応。

「家族と密接な時間が持てそうだ」

「僕なんて両親と会うのも簡単じゃないから、うらやましいよ」

広い家の中にぽつりと一人で待たされる時間は私も落ち着かない。

こたつの中で進と「狭い」って、脚を蹴り合う時間も楽しいって道明寺と付き合ってますます感じてる。

触れ合える距離って大切だってわかる。

アルはそれを初めて実感してるのだろうか?

ピンポン!

ドン、バン!ボス!

玄関のベルが鳴ったと思ったら立ち上がって反応する間もなく音を立てるドア。

やくざの取り立て!

今は我が家に借金はないはずだ。

「おい、牧野ッ」

ドアを叩く音より響く低い声。

道明寺!

確かに3時間後に日本に着くって西田さんは言ってたけどぴったり過ぎだッ。

「進・・・出て」

「え~っ。でも道明寺さんでしょ?お姉ちゃんが出た方が・・・」

「逆らうなッ」

ワンクッション置いておきたい気持ちを気がつけ。

睨みつけた私にしぶしぶと立ち上がって進は玄関に向かう。

カシャッ!

玄関の鍵が開いた。

バン!

ドアが開いた。

バシ!ドテッ!

これはきっと道明寺に押しのけられて進が床に転がった音。

ドタドタと足音は直ぐに近づく。

ゆらっと動いた影は膝を曲げて私の目の前を覆う。

立ち込める暗雲。

悪代官って道明寺?

「あっ・・・お帰り、早かったね」

強張ったまま笑うしかない。

「怒ってねぇのか?」

ムスッとしてるように見えた口元が一言発するたびに音色が柔らかい色を付けてしていく。

「へっ?」

怒ってるって思ってたのは私の方だ。

肩に置かれた道明寺の腕からフッっと力が抜けて行くのがわかる。

「こんなに焦ったの初めてだ」

道明寺の胸元に抱き寄せられる左腕が私の頭を抱き込んでいく。

「俺に、無茶させんなよ」

無茶って・・・。

なんだ?

日本に帰ってくるのって、そんなに無茶なことなのだろうか?

「なななに?」

目の前の影がはれたって思ったら道明寺の腕が苦しいくらいにギュッと私を抱きしめた。

「この俺が、エコノミーだぞ」

「?」

ごめん・・・

言ってる意味が理解できてないんだけど・・・。

きょとんとなって見つめていた私のおでこに道明寺がコンと自分のおでこを付きあわせる。

「ゆっくり説明してやる」

フッと緩んだ口元。

道明寺の目が優しくなって私を見つめてた。

拍手コメント返礼

b-moka

王子と二人っきりって負い目がありますからねつくしちゃん。

道明寺も知らない女といたんだからって対抗しても、司の我儘ないい分のほうがつかれるかも。

これがプロポーズの直後の二人ならまた違うんでしょうけどね。

Gods&Death様

別れた時のことを考えれば司の反応は当たり前で、つくしちゃんが簡単に忘れすぎですよね。

それがらしいと思ってしまってます。

ここからアルとの一騎打ち!

つくしに牧野家を追い出されるよ~。

なおピン様

すぐに会わせちゃってます♪

2人が離れ離れだと楽しくないですよね。

状況的にはまだまだあんしんはできませんよ~。

ひつじ様

状況をしっかり把握しないと危ないことに・・・。

俺様な司には無理かも~。

ゆげ様

カタールに出張お疲れ様です。

いや~思わず中東のイメージが♪

ハーレム[emoji:v-398]

無理やりつくしを自分の国に連れ帰るアル王子を想像。

必死に奪還を目指す司。

話が・・・違う!

司のエコノミーの感想は聞きたいですね。

つくしちゃんにクドクドとぶーたれる司なんてツボかも♪