SP物語 2(ソラノカナタ スピンオフ物語)
SP物語1ではたくさんの拍手ありがとうございました。
拍手の数って私のテンションを上げる原動力になるんですよね。
連載の数が多い分どうしてもその数で今日はこれにしようって決めるところがあるんです。
きっとこの新しい物語へ期待感を持ってもらえたのだろうと好感触でスタートできそうです。
それでは第2話を続きからどうぞ。
*あっ・・・歩いてる。
代表の後ろをゆっくりと歩く頭一つ小さい華奢な身体。
着ているものは既製品の大量生産の服。
あのブラウス・・・俺の妹も持ってなかったか?
ユ○○ロで安くで買ったって言ってたやつの色違いのブラウスに洗いざらしのジーンズ。
ジェットの中じゃ俺たちの仕事は意味がない。
飛行機がNYの空港に着陸態勢に入った頃から緊張が走る。
代表の前を歩く相葉先輩。
2人を後ろから見つめてる俺。
今は代表の婚約者がどんな女性なのか、好奇心を持ってしまってる。
暇な飛行機の中で牧野つくしに関するデーターは収集された。
『誕生日19××年 12月28日生まれ。
俺より6つ下。
身長160cm、体重48kg、血液型B型。
家族父、母、弟の4人家族。
ありふれた一般家庭の長女。
公立中学から英徳高等部に入学。
それも親の職業からしても相当無理があったと思われる家庭環境
現在英徳大学 法学部在籍中。』
「俺、どこかの社長令嬢って思ってました」
「二人が付き合いだした時は会長もずいぶん反対してたんだぞ」
2人のなれ初め的なことを相葉先輩は自分が見てたみたいに鮮明に僕に説明する。
高校での赤札事件が発端で初めて代表に反抗した高校二年の女の子。
殴られて頬が赤くなってる坊ちゃんを見て、その時そばにいたSP数人は顔を見合せたらしい。
「お前らがいないから」って、八つ当たりされることは当たり前。
「保護する相手に殴られる可能性のあるSPなんて聞いたことあるか?」
先輩はわざとらしく片腕に頭を伏せて泣く真似を見せる。
確かにそれはないと思います。
「今もですか!」
「いや、今は滅多にない」
滅多にってことは時にはあるってこと?
「心配するな、今回は彼女がいるから大丈夫だ、非常事態が起きない限り」
非常事態って・・・
その言い回しがやけに気になる。
「喧嘩して、つくし様が帰るパターン」
「今回はまず家に帰ることは無理だから大丈夫だろう?」
確かに、帰るには日本は遠すぎる。
「その時な、代表の親友、美作あきら、西門総二郎、花沢類、っているんだが、その3人に何があったのか聞いたんだよ」
「代表が頬を腫らしてるのを見たのは俺たちは初めてだし気になるのは当たり前だろう?」
「そしたら殴ったのがつくし様って聞いて、驚いたのは当たり前だけどな、俺たちSPは内心よくやったって喜んだものだ」
「事務所に戻ってSpだけでその殴られるとこ見たかったって盛り上がったんだ」
これだけで尊敬に値するって先輩は腕を組んで何度もうなずく。
先輩、代表に悪意もってませんか?
先輩だけじゃなくほかのSpも・・・。
あの雰囲気の代表を好きって言える心臓は僕にもありませんけど。
その出会いから6年目が今。
付き合ってすぐに別れて、1年後代表には別な婚約者がいて代表は記憶失くしていつのまにか今の彼女とよりが戻ってたっておおまかな話を聞かされた。
先輩から聞く話は恋バナから程遠く感じるのは先輩の説明が下手なだけなのだろうか?
6年前って言ったら俺も大学生。
あの頃の恋愛って結構穏やかで楽しいものじゃないのか?
同じキャンパスで育む恋みたいな?
親の目は緩むし、合コンで盛り上がって、彼女を作って、
ほかの女の子と「仲良くした」って拗ねる彼女。
慰める俺。
簡単な行き違いが大事件で・・・
仲直りをするたびにお互いの感情も深くなる。
みたいな恋。
どう聞いても穏やかじゃないだろう。
代表と彼女の恋物語。
俺なら別れてる。
2人を乗せた車の助手席に先輩が乗り込む。
俺はNYでの警備担当にアメリカ人3人と後続の車に乗り込んだ。
目的地の高級ホテルの前。
先に降りた彼女は両手を広げたままホテルの入り口から視線を上に向けた最上階を眺めて「すごっ」って声を漏らした。
無防備すぎる子どもみたいな表情。
素直すぎる反応。
「驚くことか?」
冷めたような声を吐き出してその口元はすぐに緩むような表情を見せる。
代表を包み込む空気が柔らかく変わった。
「わ~あ」
彼女は代表に腰を抱かれながら歩き出した歩みが今日二度目の感嘆符で止まる。
相変わらず俺は後ろからの番人。
数メートル前を歩く集団。
こちらと同じくSPにまわりが取り巻くVIPクラス。
その中心で流れる様な金髪の前髪を軽く手でかきあげる男性。
ハリウッドスター?
それ以上のオーラーを発してる。
女性がうっとりとするのも分かる華やかさ。
俺も仕事じゃなきゃサインくらいもらってても損じゃないと思ってる。
「王子さまってさ、童話の中だけかと思ってたんだけどな」
「王子さまって俺?」
後ろで聞いてる俺。
表情が見えない分、聞いてても大丈夫かって内心ドキリとした。
こんなバカげた会話が代表から聞けるなんて信じられない。
会話の途中で向き合う様になって見えた横顔。
二人が鼻先が触れるくらいに近くなってる。
クルッとした大きな黒色の瞳を優しく細めて潤んでるように見える。
「我儘、横暴、独裁者ってところがなければね」
「童話の中の王子様には性格は程遠いでしょ」
精鍛な顔立ちに一瞬ムッとなった表情が浮かんだ。
あの代表にすげー。
こんな時に俺にとばっちりが来るってことねーよな?
一瞬腰をかがめて身構える。
「どうかした?」
「なんでもねぇ」
彼女に言い返さずに正面に視線を代表が移した。
俺からはまた後ろ姿しか見えなくなった。
これで自分に対する危機は回避したって代表に対しての警戒を解く俺。
俺が神経をとがらせなきゃいけないのはこの二人より周辺への注意だッ!
気分を変える為に歩幅を緩めてこの二人から数歩あとの距離を取った。
ごまかす様に左右に警戒するような視線を向ける。
「俺以外にポッとなるなよな」
「ならないわよッ」
どもりそうになる彼女の声。
強がった声がかわいらしく聞こえる。
甘ったるいココアを無理やり飲まされた気分。
代表の豹変する様を少し垣間見た気がした。
拍手コメント返礼
マメ***様
応援メッセージありがとうございます♪
た*様
相葉先輩。
SPからの視点お話は数人出てくる可能性があります。(^_^;)
今回は千葉君ですが、そのうち相葉先輩も♪
シリーズ化できるほどお話が作れるように頭の体操をしてほぐしておきます。
なおピン様
一平君目線ほんまに面白いってコメントうれしいです。
私も書いてて楽しくて♪
西田さんとは違った味が~。
SP同士の会話・・・。
業務報告の裏側で代表の意外性発見!って情報交換もやってそうじゃないですか?
数年で積み上げられた『仕事を穏和に終わらせる方法』もしドラならぬ『もし牧野つくしがSPだったら』
マル秘マニュアルありそうだなぁ。
ミン**様
千葉君活躍できるでしょうか?(笑)
別な意味で活躍しそうですけど♪
ひつじ様
SP諸君いつもご苦労。
道明寺邸のSPだけは行きたくないって言われてたりして・・・。
ゆげ様
横道今からUPします♪
司君の暴走~どこまで♪
そこまでは書けません(^_^;)
まわりに目がある土曜の日中ですから~。
おばちゃんたちの噂話も気になるんですが・・(^_^;)
呼び止められたい♪(笑)
オリキャラ投票も設置しますね。
じゅ*様
SP業務以外でつくしと接点持ったら・・・
怖いような気がします。
二宮先輩~出てくるかなぁ(笑)