SP物語 4(ソラノカナタ スピンオフ物語)

ソラノカナタを読んでる方はこの後の展開がどうなるか知ってますよね。

楽勝なはずの護衛がとんでもないことに、そのほとんどは君たちが引き起こしている!

裏には西田捜査官(操作官)がいるからなのですが・・・。

オリキャラ投票は舞ちゃんが今のところ人気で♪

その裏には司の慌てる姿が見たいって希望が見えるぅ~。

話を書くとしたら年齢はどの辺で行きましょう♪

小学生の舞でも楽しめそうな気がします。

*

ようやく登りきった非常階段。

重い扉をカチャッと開きかけたところで響く大きな音。

「バン」と響いた音は建物内で響いて必要以上に耳を刺激した。

耳鳴りが鼓膜に響いて、マヒしたように聴覚を遮断する。

銃の音だと判断して扉に背を向け腰を下におろす。

ここはアメリカだもんなぁ。

銃の乱射があってもなんの不思議もない。

わずかに扉を開けてその隙間から外をうかがう。

廊下を照らすライトも被害を受けてるようでいつもより暗めの照明。

こちらに歩いてくる数人の人影から逃れるように数個の段差を一気に上へと駆け上がった。

男たちは早口に言葉を発しながら非常階段を足早に降りていく。

その姿を完全に見送って俺は階段を降りて扉をゆっくりと開けた。

こんな緊張感はSPの仕事について初めてだ。

日本じゃ銃の前に身体をさらすことは滅多にない。

せいぜいサバイバルナイフとかくらいの刃物。

ドアから脚を踏み出した先で床がピチャッと音を立てる。

スプリンクラーがシュルシュルと回って落ちる水滴。

それが静かに床に敷き詰められた絨毯に吸い取られていく。

まわりを確認しながら目的のスイートルームへと急ぐ。

血まみれの被害者がいないことにホッとしながら部屋のベルを鳴らした。

中からの反応はない。

階段じゃ遅かった?

「こっちだ」

エレベーターの中からひょこつと顔を出したのは相葉先輩。

「なにがあったんですか?」

俺はエレベーターにすぐさま駆け寄った。

「俺が知りたいよ」

顎のラインをなぞるよう幾度も相葉先輩の指先がなぞる。

はっーと息を大きく吐きついて相葉先輩は落ち着きのない表情をのぞかせていた。

「俺が来た時は入れ違いで隣のエレベーターにつくし様が乗り込むのが見えた」

「そのとき、銃の乱射が始まって俺はエレベーターの中に引きかえして様子を見てた」

「静かになったからドアを開けたからお前が見えたってわけ」

エレベーターから降りて隣のエレエーターを相葉先輩が確かめる。

数字が点滅して下って行くのがわかった。

「大丈夫なようだな」

落ち着くを取りもどした冷静な態度に相葉先輩は戻る。

隣のエレベーターを追うために俺たちもエレベーターに乗り込んだ。

「いいか、ここで大事なのはつくし様に傷一つないってことだ」

「これが確認できるまでは気が抜けない」

「傷があったらどうなるんですか?」

聞かなくても分かるような気がする。

怒鳴られる!

どつかれる!

この辺までの覚悟は必要か?

業務を外されるほうが楽なような気がした。

「まあ、意識があればつくし様がかばってくれる」

意識がないほどの重症ならどうなるんですかぁぁぁぁぁ。

判決を待つ被疑者になった気分。

エレベーターが降りるたびに心音がドクンと上がる。

彼女が無事なことを必死で祈った。

パーティー会場についたのは代表が非常階段を上って行ったそのあと。

いくつかのエレベーターは止まって動かなくなったらしい。

俺たちを下ろした後のエレベーターもそのまま動かなくなっていた。

「行くぞ」

行くって・・・。

きょう2回目の非常階段。

先輩から遅れること数十秒、乱れる息のままに廊下に出る。

「どけっ」

短めの単語でも地響きが起こってる。

一瞬にしてざわめきがしーんと静まった。

代表がエレベーターの前でそのドアを無理やりこじ開けるように扉の閉まった中央部に指先を無理やりねじ込もうとしている必死の姿が見えた。

音をすべて失くした中に緊張の息遣いと全身の力が指先に集中してる迫力が見える。

「無理ですよ」

「それにエレベーターは15階辺りで止まってるみたいですしね」

「ここでドアが開いたら転落の危険性があります」

警官に左右の腕を挟み込まれて身体の自由を奪われた代表がようやく諦めたようにエレベーターのドアから体を離した。

「エレベーターの中と話せるか?」

落ち着きのある重々しい声。

「代表・・・」

間をぬって相葉先輩が代表に声をかけた。

俺なら絶対声をかけられない。

ゆるゆると青白い炎が身体全体を包んでる様な代表にまず近づけない気がした。

「牧野は閉じ込められたみたいだ。一緒に乗ってるのはお前らだって思ってたんだが、違うみたいだな」

わぁぁぁぁっ。

お前らの落ち度だって皮肉って付き放す冷たさの響き。

「一緒にいたのはアレックス王子とその従者のお二人でした」

冷気を感知してないのか・・・

空気を読み取ってないのか・・・

穏やかな相葉先輩の声に俺が緊張する。

「それで国際問題か・・・」

代表の口元に皮肉る様な笑みが浮かぶ。

それが以外にもさみしげな印象を代表から受けた。

「エレベーターの中とつながりました」

従業員から差し出された受話器を代表が受け取った。

ただ黙って代表の動作を息をのんで眺めてる。

チラリとみた相葉先輩の横顔を緊張してるのがわかる。

この電話で俺たちの未来が決まるって思うのは決して大げさじゃないはずだ。

「怪我してないか?」

聞えた声は穏やかで優しい響き。

相手を安心させるには十分で心を引き付ける。

代表にそんな声が出せるだって思ったのが率直な気持ち。

体にねじ込まれているネジが半回転緩む。

「よかった」

ホッとした代表の息遣いと小さな声。

彼女の無事な様子に代表以上にホッとしてる。

ネジは2回転ほど緩んで身体の緊張も解けかかる。

「なるべく早くそこから出してやるから、無理スンナよ」

「怪力でエレベーターをこじ開けようとか、壁をよじ登ろうとするんじゃないかって心配してるんだろうがッ」

「おとなしくしてろよ」

「・・・もしかして、ドアに蹴りまで入れたか?」

少し緊張した面持ちで少しからかい気味の音色。

相手の気分を和ませてる様な会話。

すげーやさしい。

彼女に対する態度は代表の意外性ばかりか印象を確実に変えている。

相手を想っている感情が周りにいる俺たちにもばればれで隠そうともしない。

大事にしてるんだって理解するには十分すぎる。

「確かに怪我の心配はなさそうだ」

クスッとした声が混じるが代表が心から笑ってないのはわかる。

いい男じゃないか。

女だったら惚れるよな。

「ごめん、一緒にいてやれなくて」

つらそうな声。

ギュッと握りしめた代表の指先は白く色を変えている。

「なぁ、一平、聞き間違いじゃないよな?」

代表を見つめたまま相葉先輩がつぶやく。

「なにがですか?」

「ごめんって聞えたよな?」

「ええ」

「あの代表が謝るの初めて見たぞ!」

「先輩ッ、苦しいッ」

左右の襟をつかんで相葉先輩は俺を激しく揺する。

俺は新種の珍獣でも発見したような驚きを見せる相葉先輩を初めて見た。

拍手コメント返礼

b-moka

雪が大変みたいですね。

朝のニュースでもやってましたね。

普段見れない司の表情にSP君たちがどう反応するんだろうなって考えたらなんだか楽しくて♪

スピンオフは癖になりそうです。

つくしちゃんを神と崇めるようになってしまうもはしょうがないと思います♪

ひつじ様

完全版をつい見てしまうって心境わかります。

それでなくても見たいものが結構ある私(^_^;)

司をいい男にしたのはつくしの力!

「もともと俺はいい男だ」って言われそう。

じゅ*様

ここまでは確かに穏やかでしたね。(^_^;)

このあとかぁ~。

豹変するの(笑)

SPの運命は!

分かってますけど・・・。

ゆげ様

一平君まだ慣れてないのに、大変な時にまた~。

癖になってもらえてうれしいなぁ~。

私もすぐに続きを書きたい!

後ろが詰まってるから押し出すのが大変だ♪

オリキャラ舞ちゃんがただいま突っ走ってます。

あはは、話の流れできてますね。

残念!

バレンタインは終わってる・・・。