思い出は夢の中で 38

終わりが見えてきた♪

ルンルンとなってる私。

あと2回程度の予定です。

このお話去年の10月から書き始めたんですよね。

何気ないある日の一コマ(つかつく編 17)からの流れ。

「赤札を貼ったころの二人に見せてやりたい」というコメントからお話が膨らんで今日まで来ました。

長いですよね。五か月余り。

その間お付き合いいただいてる皆様に感謝!

*

「なに、やってんだよ」

部屋に言った途端、するりと俺の腕の中から抜け出された。

目の前で掃除機を操る牧野。

「いなくなるんだからきれいにしておかなくっちゃ」

「私たちの形跡が残っていちゃまずいでしょ」

「飛ぶ鳥 あとを 濁さず」

口も手もしっかり動かして牧野は俺に背を向ける。

元いた世界に帰った俺を、待ち受けてるのは膨大な仕事。

「楽しまれたでしょうから、十分ですよね」

なんて、したり顔の西田が頭の上に浮かんだ雲の中に見える。

「あのなッ、俺たちが居なくなった後で、西田が業者にやらせるよ」

そんなところに割く時間があればもっと密な時間が作れるはずだ。

キュッと背中から牧野を抱きしめた。

胸元で交差する腕に当たる膨らみ。

過去の俺は顔を押し当てて・・・。

今の俺の状況より上質じゃねェかッ!

「ちょっ、邪魔」

身体で押されて牧野から外れる俺の腕。

「邪魔ッてな!」

「すぐ終わるから」

「少しでも俺といたいって思わねェの?」

「一緒にいるじゃん」

わざとなのか、わかって言ってんか・・・。

「部屋にいても無視されてたら意味ねェだろう」

「無視してるつもりはないけど・・・」

「一緒にする?」

俺の目の前に掃除機を差し出す牧野。

一緒にするって・・・掃除?

本気か?

一緒にすることってほかにもあるだろうがぁぁぁぁぁ。

俺の買ったスキンもまだ残ってるぞ。

未来に帰ってもまだ使えるのかな?

賞味じゃなかった消費期限とかあるのかな?

あったら・・・

牧野のキライな無駄になる。

目の前でにっこり牧野が微笑んだ。

つられて差し出された掃除機を素直に握ってしまってる。

牧野に言われるままって、そんなの俺じゃない!

道明寺司だぞ!

この俺に掃除機を渡すやつは牧野以外誰もいねェよ。

今までに渡された最低の品だ。

本気で掃除させるつもりか!

いまだに一度も自分の部屋も掃除したことねぇぞ。

「するわけねェだろうッ」

そのまま掃除機の柄を床に投げつけた。

「二人ですれば早く終わるのになぁ」

俺の掃除させる女はお前ぐらいだよ。

早く終わるに期待してノセらた。

過去に来てどれだけ俺は単純になったのだろう。

自分が投げ捨てた掃除機の柄を拾ってもう一度握りなおす。

「どうするんだ」

「ここがスイッチね。吸い出したらヘッドをこう動かして・・・」

床を上下するヘッド。

俺の指先を包むように牧野の指先がまとわりつく。

鼻先には牧野のストレートの髪が触れる。

「簡単でしょ」

「あぁ・・・」

何を聞いても頭に残ってるわけがない。

「やっぱ無理」

「えっ?」

身体を動かしたと同時にバランスを崩した牧野が倒れて俺の下敷きになった。

「い・・・っ」

「いきなりなに!」

両腕を床について自分の腕を支えてる体勢の俺。

その両腕の肘のあたりを牧野がつかむ。

「さっき、キスしてきたのおまえだよな?」

「・・・」

「あいつに胸・・・触れせてたし・・・」

「だから、あれは仕方なくて、それに触れさせたわけじゃないからね」

「あれで、ガキの俺なら完璧に動揺するし舞い上がるぞ」

「えっ?」

「あのなッ、胸の感触はしっかり残るだろうがぁ。牧野の胸に触れたのはあれが初めてだろうし・・・」

考え込む表情はそのまま赤く頬を染める。

その初々しさが俺を強引にさせる。

「そんなものなの?」

「今の俺じゃ、あのくらいで動揺はしないだろうけどな」

「童貞の俺には刺激が強すぎる」

黙り込んだまま瞳だけが大きく見開かれ俺を見つめてる。

「高校生の私もあんなことしないよね・・・」

茫然自失気味につぶやいてガクッと力が抜けてぱたんと牧野の腕が床に落ちた。

「どうするの!」

復活したように牧野が半身を起き上がらせる。

今の俺は牧野に馬乗り状態。

出来るならベットの上が良かった。

「何が!」

牧野を見下ろしながら不満気味につぶやく。

ここは甘く声を出して、もう一度押し倒すつもりで迫るべきだった。

「もしもだよ・・・。高校生の道明寺が、勘違いして高校生の私を押し倒したら!」

危ないでしょう的な視線が俺のまじまじと牧野を見つめてる視線とぶつかった。

押し倒しても問題ないと思うけどなんていつたらぶっ飛ばされそう。

「バカにするな。嫌がるお前を無理やりってことはしねェよ」

絶対出来ねえと思う。

今は嫌って抗うのも最初だけで俺をすぐに受け入れるってわかってるから押し倒すことができる。

高校のお前が鉄壁なのは知ってる。

簡単に手が出せないから、一つになるまで時間がかかった。

あれは大学二年の俺と大学1年の牧野。

高校生の俺じゃ牧野から抱きつかせるなんて無理だ。

つーか、絶対先を越されたくねぇー。

自分に対抗意識もってる俺って・・・バカ?

「ある程度の勘違いはするかもしれないけどな」

「勘違いって?」

「牧野は、やっぱり俺のことが好きなんだって、強引に迫る」

「それなら、たいして変わんないじゃん」

安心したように牧野が小さく笑い声をあげる。

「そんなに強引だったか?」

「自己中で迫ってきたでしょう。まあ、性格が性格だから、自分じゃ気が付いてないんだろうけどね」

「たく、言いたい放題だな」

牧野の上から離れるように体を回しそのまま姿勢で床に腰を置く。

飾り気のない言葉にフッて口元を緩められてしまってる。

「今思えば、強引な道明寺が気になって好きになったのは変わりないって思うけど・・・」

「過去の私たちは少し早く仲良くなれるかもね」

楽しげな顔が俺を見つめてる。

「やっぱ、お前に抱き寄せられてぇ」

それで、過去の俺に抱き付いたことは忘れてやる。

「えっ!ヤダ!無理!」

少し俺から離れるように上半身を牧野が引いた。

「やれよ」

強引気味の強気の声。

「やれって言われてすぐに動けるものじゃないの、無意識だもん。意識したら無理」

表情を隠すように横に向く顔。

きっと真っ赤になって頬が膨らんでるはずだ。

「過去の俺にできたんだからできるだろうッ」

腕を回して抱きしめた背中。

耳朶にゆっくりと吹きかける息。

心なしか自分の口から零れる息が、熱い。

「高校生の道明寺は、やらしくなかったんだもん」

牧野の身体がピクッと硬くなった。

「ギャー」

結局、我慢できずに牧野を押し倒したのは俺だった。

☆をつけない程度のお話でした。(^_^;)

拍手コメント返礼

なおピン様

こちらでもこんばんわ♪

メールありがとうございます。

十分甘いとコメントを頂けて私もにやけています。

>今日は、頬紅しなくて良かったかもぐらい、朝から私まで頬を染めさせていただきました~!!

きゃ~そこまで楽しんでもらえたら本望~。

実際こんないちゃいちゃぶりが最近なぜか書きたいのはドラマ「ラッキ~」の雰囲気の影響です。

駿太郎の見つめる先につくしちゃんを想像してる私です。

名前も駿が付くから愛着があるんですよね。

なんとなく勝手にですが、つながりを感じてます。

今日最終回ですね。

今頃は視聴の真っただ中ですよね?

早く見たいなぁ。

b-moka

☆をつけなくて十分甘いと言っていだき、うれしいです。

しばらくこの路線でいこうかな♪

こっちの方がサクサク書ける♪

西田さん日記も気に入っていだきありがとうございます。

やっぱり西田さん日記は欠かせないパーツですね。

過去に行ってる間の西田さん日記がリクエスト!( ..)φメモメモ